主要な自動車市場がアジア、とくに中国へ移行したこともあり、近年の東京モーターショーは欧州メーカーの出展が減少傾向にある。実に寂しい限りだ。では本場の欧州ではどうかというと、ここぞとばかりにドイツやイギリスのメーカーが注目モデルを投入。去る3月にスイスで開催されたジュネーブショーを取材した、ライフスタイルジャーナリストの小川フミオ氏が、MEN'S Precious読者向けの魅惑の5台を解説する。

いまの自動車界を凝縮した老舗自動車ショー

 2018年3月にスイス・ジュネーブで国際自動車ショーが開かれた。ジュネーブショーとして知られるこのショー、今回で第88回という長い歴史を持つ。

 スイスは自国の自動車産業を(ほとんど)持たないため、自国のメーカーが幅を利かせるということがない。

 各国のメーカーが横並びで、小さな電気自動車から1000馬力を超えるハイパースポーツカーまで、いまの自動車界を凝縮したような展示を俯瞰できるのが特徴だ。

 近年の傾向として、ベンチャー的にEV(電気自動車)を作る小さな企業の出展が増えたことが挙げられる。

 いっぽうでGDPがどんどん拡大する中国や、業績好調の企業を多く持つ米国などに向けた、性能も装備もぜいたくなモデルも少なくない。

 ここでは百花繚乱の相を呈した2018年のジュネーブショーのなかでも、とりわけ目についたモデルを5台、厳選してみた。

1位 メルセデスAMG ・GT  4ドアクーペ

 

 2ドアのスポーツカー、GTシリーズが好調のメルセデスAMGが独自開発した4ドア。ショーの目玉のひとつだった。E63という既存車種のシャシーをさらに強化し、もっとも高性能なエンジンは639馬力を発生。「気になるモデルはアウディ・A7スポーツバックやポルシェ・パナメーラ」とメルセデスAMGの社長が言うように、サーキットも走れる、家族で使える、ゴルフにも行けるという万能ぶりが喧伝されている。内装も豪華で居心地がよい。

2位 レクサス・UX

 

 低燃費のハイブリッドパワートレインの恩恵もあり欧州でのセールスも上り調子にあるレクサスは、まもなく発売予定という全長4.5メートルのコンパクトSUVを発表。新開発の2リッターハイブリッドで、前輪駆動とAWDの設定があるもよう。全高は1.5メートルと、じつはトヨタ・C-HRより低い。開発責任者は女性で、「小柄なひとでも乗りやすいことも考慮しました」と言う。

3位 ジャガー・I-PACE

 

 2016年にプレス向け発表が行われ、いらいずっと話題にのぼってきたジャガーの電気自動車がついに市販された。全長4.7メートル、全高1.56メートルと比較的コンパクトな車体に、294kW、696Nmという大出力のモーター搭載。バッテリー出力も90kWhもあり、4輪を駆動して静止から時速100キロまでの加速がわずか4.8秒というのも、さすがスポーツカーメーカーのジャガーだけあると感心。

4位 メルセデスAMG ・Gクラス

 

 2018年1月にフルモデルチェンジしたGクラスに高性能のメルセデスAMGバージョンが追加された。こちらもジュネーブショーで大きな話題になっていたモデル。V12搭載のG65はフルモデルチェンジを機にカタログから落とされ、トップモデルは585馬力の4リッターV8を積むG63。サイドから突きだしたエグゾーストパイプをはじめ、内装も特別。フェンダー上部のウィンカーなど従来のアイコン的なディテールは守りつつ、リアのカメラ位置など使いやすい位置に変更。最強のモデルになった感あり。

5位 ポルシェ・ミッションE クロスツーリスモ

 

 ポルシェが開発中と言われる4ドアの大型EV、ミッションEのバリエーションとしてショー会場に展示されたマルチパーパスモデル。「クロス」の名が表すように車高が少し上げられて、悪路走破性の高さも狙っていることが謳われる。現在ポルシェが発表している数値は出力440kWで、静止から時速100キロまでの加速所要時間は3.5秒というから驚く。800ボルトの急速充電器に対応することが考慮されており、その際15分の充電で800キロの航続距離が得られるそうだ。

この記事の執筆者
自動車誌やグルメ誌の編集長経験をもつフリーランス。守備範囲はほかにもホテル、旅、プロダクト全般、インタビューなど。ライフスタイル誌やウェブメディアなどで活躍中。