「リヴ・ゴーシュ」に恋して
初めての海外ひとり旅は、パリ左岸地区だったという鈴木保奈美さん。好奇心の赴くままに、自由に…来るたびに新しく「好き」が更新される特別な場所を旅します。
何度この街に来たことだろう…! 華やかでゴージャスな印象の「右岸のパリ」と違い、「左岸のパリ」はまるで以前から住んでいた懐かしい街のよう。肩の力を抜いて、暮らすように…。旅の余白を楽しむパリ──鈴木保奈美さんと巡ります。
トレンチを翻し、デニムで闊歩!ノンシャランな気分で左岸へ
大きなエポーレットが特徴的なカーキのロングトレンチは、左岸を代表するメゾン「サンローラン」の真髄、アイコニックなスタイル。デニムを合わせ、自由を謳歌する左岸のムードを体現。
レトロ風味なワンピースでノスタルジックに過ごす午後
芸術家たちが「パリの自由」を謳歌した古きよき時代に想いを馳せて、ゆるやかな午後を味わう。鮮やかな赤のシャツワンピースは、縦ラインに沿ってさまざまな刺繍を施したサヴォアフェールを感じさせる一着。スカートのプリーツからのぞく鮮やかなブルーの配色も絶妙。
レザージャケットをお供に裏道まで徹底して歩く!
小さなブティックが連なるサン・ジェルマン界隈は裏道まで念入りに歩きたい。そんな日は、上質なレザージャケットをカーディガンのように、軽やかに着こなしたい。
無造作に重ねたシャツでリアル・ラグジュアリー
まるで暮らすように、滞在ホテルの部屋もお気に入りの花で飾ってみたい。いつもと同じリアルな普段着も、一歩進んだレイヤードで遊び心を。細いストライプと無地…2枚のブルーシャツを無造作に着崩して。
夕暮れの風景に溶け込むエアリーなドレスを纏って
陽が傾くまでのひとときをバルコニーで優雅に過ごして。ミントグリーンに繊細な花が描かれたドレスは、パフスリーブのブラウスをレイヤードすることで、シアーな裾のフリルが重なり合い、よりドラマティックな印象に。
後ろ姿にまで存在感を放つセンシュアルな黒を纏って
細かいドット模様を配したチュールレースのブラウスは、前立てに華奢なフリルがあしらわれ、旅先の夜に活躍しそう。黒なのに重くならず、程よく透けて見える肌の印影が、後ろ姿にまで成熟した大人の色香を漂わせる。
「甘美な沼、その名はパリ」 文・鈴木保奈美
この街に生まれ育つとは、どういうことなのだろう。石畳の傾きをベビーカーの揺れ具合で覚えた子どもたち。父親に手を引かれて街路樹の下を通う小学生。アールデコの街灯に寄りかかって煙草を片手におしゃべりに興ずる高校生たち。
歴史と装飾過多の街並みを目にして成長すれば、強烈な美意識を刷り込まれるに違いない、と、此処へ来るたびにため息をつく。神経細胞レベルで違うのはわかっているのに、観光客らしく見られまいと、私は涙ぐましい努力をする。
くたびれたスニーカーを履く。乗り換え案内を見ずにメトロに乗る。エッフェル塔やノートルダム大聖堂を見上げちゃいけない、決して。国立図書館の閲覧席を確保するために、早朝から並ぶ。石の床にあぐらをかいて。新しい服は買わないかわりに、花屋でブーケを造ってもらう(本当はお気に入りの花瓶を持ち込んで、うちのインテリアに合わせて活けこんでね、とオーダーしたい)。
そんな背伸びをして辛くないかって? もちろん辛いのだ。でも楽しいのだ。なんという自虐的な遊びだろう。すっかりこの沼に囚われてしまった私は、次こそもっと逞しい女になって再びこの街を訪れようと誓うのだ。
なんと言ってもこの街は紀元前、パリシイ族が暮らす沼地だったのだから。むべなるかな。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- PHOTO :
- 浅井佳代子
- STYLIST :
- 犬走比佐乃
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- MODEL :
- 鈴木保奈美
- EDIT&WRITING :
- 喜多容子(Precious)
- パリコーディネーター :
- AYUMI SHIMODA