花の咲き誇る初夏を迎えてもニットが必要な、肌寒い日が続いたイギリス。そんななか、急に明るい夏が天皇皇后両陛下の訪英とともに曇天続きのロンドンへやってきました。

昭和天皇、上皇さまに続き26年ぶりとなった天皇の英国国賓訪問。バッキンガム宮殿へと続くいわばパレードの花道「The Mall(ザ・マル)」には早々に日本の国旗が飾られ、国をあげて両陛下の到着を心待ちにしていました。本記事では、ロンドン在住ライターが現地の様子とともに、次の旅で訪れたい名所を両陛下の全訪問先より厳選してご紹介します。

天皇皇后両陛下全訪問先よりピックアップ!ロンドン名所3選

■1:アフタヌーンティーでも有名「Claridge’s(クラリッジズ)」

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日本国旗が掲げられたホテルエントランス

ロンドン屈指のラグジュアリーエリア、メイフェアに位置し、各国の王室から愛される5つ星ホテル「Claridge’s(クラリッジズ)」に宿泊された天皇皇后両陛下。エリザベス2世国葬の際も滞在された名門ホテルです。

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天皇皇后両陛下がクラリッジズへ到着された瞬間。

6月22日(土)19:10、チャールズ国王所有のベントレーにて、滞在先のクラリッジズへ到着された天皇皇后両陛下。ホテルのエントランスは両陛下を待つ人で溢れ、なかには4時間待ちという人も。在英日本人のほか、旅行者も「貴重な機会」と到着を今か今かと見守っていました。

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クラリッジズにて。(左より)ウィリアム皇太子、天皇陛下、皇后さま

国賓訪問一日目、25日はウィリアム皇太子がクラリッジズへ両陛下をお迎えに。

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2023年はルイ・ヴィトンのツリーがロビーを飾りました。

クラリッジズは予約困難なアフタヌーンティーのほか、毎年デザイナーやブランドによってプロデュースされる、ロビーのスタイリッシュなクリスマスツリーでも有名です。

■2:夏の一般公開に注目!「バッキンガム宮殿」

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歓迎式典の様子。(左より)皇后さま、カミラ王妃、チャールズ国王、天皇陛下、ウィリアム皇太子。

国賓としての公式プログラム一日目の6月25日(火)は、ホースガーズでの歓迎式典につづきバッキンガム宮殿でチャールズ国王主催の昼食会。ウエストミンスター寺院での無名戦士の墓に供花を挟み、再びバッキンガム宮殿で国王夫妻主催の晩餐会でした。

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馬車パレードの様子。(左より)チャールズ国王、天皇陛下。

バッキンガム宮殿近くのホース・ガーズ・パレードから宮殿までのルートを行進。前日のリハーサルでは30度に気温が達し、熊の毛皮を使った帽子(ベアスキン)を被った衛兵が気を失って倒れるというアクシデントも発生しました。

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日英両国の国旗が掲げられた、バッキンガム宮殿へ続く大通り「The Mall(ザ・マル)」

当日も気温が25度を超える夏日、しかもヨーロッパ特有の強い日差し。それにも負けず、午前中から集まった沿道の人たちの歓声が飛び交い、12:30過ぎにスタートしたパレードは熱烈な歓迎ムードに包まれました。

バッキンガム宮殿は毎年夏、宮殿のステートルームが一般公開され、膨大なコレクションや内部の様子を鑑賞することができます。2024年の夏の一般公開は7月11日から9月29日まで(要予約)。

■3:即完売の月イチツアーが狙い目!「Guildhall(ギルドホール/市庁舎)」

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ロンドン中心部、シティ・オブ・ロンドンにある「Guildhall(ギルドホール/市庁舎)」に天皇陛下が到着。(左より)天皇陛下、マイケル・マイネリと夫人のエリザベス・マイネリ、エディンバラ公エドワード王子。

6月26日(水)、シティ・オブ・ロンドン主催の晩餐会に国賓として出席された天皇陛下。ロード・メイヤーであるマイケル・マイネリと夫人のエリザベス・マイネリ、エディンバラ公エドワード王子が臨席しました。

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(左より)当日のゲストリスト、天皇陛下のポートレートや晩餐会のメニューのほか、日本文化や会場の歴史、スタッフのクレジットなどが掲載された冊子

わさび風味の「ロンドン産スモークサーモン」、出汁を効かせわかめを添えた「鱈のフィレ」、椎茸と醤油煮込みのショートリブフォンダン添えの「スコットランド牛のロース肉」、コーニッシュクロテッドクリームが添えられて日の丸のような彩りの「エルダーフラワーとヘレフォードのいちごのパブロヴァ」、そしてミニャルディーズには可愛らしい色とりどりの「Mochi」…、日英を織り交ぜた味わい深いコースのあと、陛下は英語でスピーチ。

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厳粛なムードで進行された晩餐会の様子。

ロンドンの金融街「シティ」で開催された晩餐会だけあり、経済に触れたおことばが中心でした。

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晩餐会会場の「大ホール(Great Hall)」は1411年に建てられたオリジナル。

ギルドホールの建物は数百年にわたり市庁舎として使用されており、今でもシティ・オブ・ロンドンとその儀式および行政の中心地となっています。1411年に建てられ、1666年のロンドン大火で焼失。現在のゴシック様式の建物は1673年に再建されました。

イベントのため観光客のアクセスは制限されていることも多い施設ですが、内部を見学できる75分間のツアーが毎月一回開催されています。シティの運営方法や中世の城壁内で起こった有名な出来事について学び、イギリスの重要な歴史上の人物たちの軌跡を鑑賞することができます。


4年前、故エリザベス2世より即位後初の訪問先としてイギリスへ招待を受けていた天皇皇后両陛下。コロナ禍のため残念ながら女王との再会が叶わず、ようやく実現したこのたびの訪英。同じ君主という立場にあるチャールズ国王と、親密に言葉を交わす姿がとても印象的でした。

かつてない良好な日英関係を大いに感じた天皇皇后両陛下の国賓訪問。ぜひ次回のロンドン旅行でこの歴史的出来事の足跡を辿ってみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
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PHOTO :
Getty Images、神田朝子(1、2、4、7、9枚め)
WRITING :
神田朝子