連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変える

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介している連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、ジュエリーブランド「12PM」のデザイナーを務めるミケーラ・トレントさんに注目! 

グラフィックデザイナーを経て、イラストレーターとして独立し、活躍していたミケーラさんが、ジュエリーのデザインを始めたきっかけについて、お話しをうかがいました。

ミケーラ・トレントさん
ジュエリーブランド「12PM」デザイナー
ミラノの広告代理店でグラフィックデザイナーとしてキャリアをスタート。イラストレーターとして独立後は有名ファッションブランドとコラボレーションしながら専門的な知識を広げていった。’22年、自身がデザインしたジュエリーブランド「12PM」を立ち上げ。現在は出身地のボローニャで22歳、21歳、14歳の息子たちと夫と暮らす。

【Milan】宝石箱の中で眠っていたジュエリーが時を超えてインスピレーションをくれた

ジュエリーブランド「12PM」デザイナーのミケーラ・トレントさん
ジュエリーブランド「12PM」デザイナーのミケーラ・トレントさん

『午後12時:エレガンスが時の壁を越えるとき』と題した一篇の小説。悲しい運命によって時空を彷徨うことを余儀なくされた男女、アミーナとカーボは、年に一度、午後12時から12時間だけ会うことができる――。ミケーラさんのジュエリーブランド「12PM」は、彼女が「趣味で書いていた」というその小説がさらなるインスピレーションを呼び、誕生したもの。職人が一点一点つくるメイド・イン・イタリーのジュエリー。独創的なデザインと素材選びで注目を集めている。

「古代ギリシャ神話のエッセンスをテーマとし、そこに現代の美意識をシームレスに融合させました。ジュエリーが時代を超えて紡がれる物語の重要な一部となるように、形、素材、色彩の組み合わせに気を配ってデザインしています。例えば、愛の女神 “アフロディーテ” をイメージしたイヤリングは、真鍮にゴールド仕上げを施し、夜空に輝く星のごとく半貴石を散りばめました。戦いと知性の女神 “アテネ” は鎧の形をしたカメオで、スエードをアクセントとして使っています」

グラフィックデザイナーを経て、イラストレーターとして独立し、活躍していたミケーラさんが、ジュエリーのデザインを始めたきっかけは、’20年のロックダウンだった。

「家の中で過ごす日々で、クローゼットや棚の整理をするうち、母から譲り受けたまましまいっぱなしになっていた宝石ケースを開けてみたんです。そこに眠っていたアンティークジュエリーが、私に情熱を与えました」

リアルレザーを多く使用するのも特徴だ。「鞄や財布、小物などの革製品の工場から出た端材を活用しています。廃棄されるはずだった革に、手刺繍で模様をデザインし、ブレスレットとして生まれ変わらせたものが今シーズンのベストセラー。時空を自由に行き来してコンビネーションを生み出すことがおもしろいんです。小説ですか? 今も執筆中ですよ(笑)。私たちの旅はまだまだ続きます」

◇ミケーラ・トレントさんに質問

Q.朝起きていちばんにやることは?
マグカップになみなみと入れたコーヒーを飲む。
Q.人から言われてうれしいほめ言葉は?
「想像力豊かで共感できる人」だと言われるとうれしい。
Q.急にお休みがとれたらどう過ごす?
自然に囲まれた場所に行って絵を描く。
Q.仕事以外で新しく始めたいことは?
ジュエリーブランドと連動した小説『Amnia e Karbo』を漫画化したい。
Q.10年後の自分は何をやっている?
絵を描くことを続けていると思います。
Q.自分を動物にたとえると?
アオサギ。「再生」と「変身」を象徴する鳥です。

PHOTO :
Gabriele Corni
EDIT :
剣持亜弥、喜多容子・木村 晶(Precious)
取材 :
Yuki Katagiri