近年、日本の男たちのシルエットに対する意識は劇的に高まった。しかし「とりあえず、すそ幅18cm」といった具合に、だれもがピッティを闊歩するファッション業界人をまねするのはいかがなものか。スーツのシルエットは単純な表面上の数値ではなく、パターンで決まるものなのだ。
だれでもスマートに着こなせるアルマーニのスーツ
ビジネスシーンで際立つモダンなクラシックスーツ
一見無地のグレーに見えるが、シャドーチェックの生地を使っており、シンプルな着こなしでもさりげない洒落っ気をアピールしてくれるビジネススーツ。薄く入った肩パッドが、凛々しいシルエットを演出する。クラシックな総毛芯仕立てだから、着るほどに体にフィットするはずだ。
カジュアルに着こなせるコンパクトなスーツ
無地のネイビーのように見えるが、実はうっすらとドットの織り柄が浮かび上がる、洒落っ気たっぷりのスーツ。芯地を省いた軽快な仕立てに加え、ジャケットの着丈は短く、パンツのすそ幅もシャープに設定されているから、その雰囲気は実にモダン。タイドアップせず、ネイビーのニット1枚を合わせるようなカジュアルな着こなしにも、難なく対応してくれる。
ジョルジオ アルマーニのスーツこそ、理想のスーツである。曲線の複雑な組み合わせによって構成されたそのスーツは、ハンガーに掛かっているとそれほど細身には見えない。実際に着用してもゆとりを感じさせるのだが、不思議なことに傍目には凜々しくスマートに見える。本来は千差万別である人体を研究し尽くし、最大公約数を編み出した、そのパターンの完成度は他の追随を許さないのだ。
近年はジャケットのゴージ位置を高く、そして着丈を短めにすることで重心の位置をやや高めに設定しており、そのスーツはモダンで若々しい印象をも兼ね備えている。
- TEXT :
- 山下英介 MEN'S Preciousファッションディレクター
- BY :
- MEN'S Precious2018年春号 世界中のセレブリティに「選ばれる理由」が、ここにある。なぜ〝ジョルジオ アルマーニ〟のスーツを着た男は格好よく見えるのか?
- クレジット :
- 撮影/熊澤 透(人物)、小池紀行(静物) スタイリスト/村上忠正 ヘア&メーク/星 隆士(SIGNO) モデル/Yaron 構成/山下英介(本誌) 撮影協力/プロップスナウ