IT長者の結婚には、絶対の共通点がある
IT長者という、超富裕層でも新興のカテゴリーは、国内外を問わず、まったく新しい価値観と文化によって、私たちを驚かす。
例えば、彼らは決して金持ち風に着飾らない。世界が注目するプレゼンテーションのような場ですら、Tシャツにジーンズと言った、いくらなんでもラフすぎる格好で現れ、ファッションの概念を変えてしまった。みんながハイブランドにこだわらなくなった1つの理由はそこにあるのかもしれないほど。
ただし、一見ユニクロに見えるシャツが実はルイ・ヴィトン製だったりすることもよくあるが、それでも超高級レストランにカジュアルすぎる服で出かけるのは、彼らの流儀。だから、やっぱりTPOは変わってしまった。
そして、結婚の形も。まず、そこに共通して言えるのが、トランプ大統領のように、3回の結婚全てがモデルと……というような、わかりやすいトロフィーワイフの選び方とは決定的に異なること。
ビルゲイツの妻は同僚だし、マイク・ザッカーバーグの妻は大学の同級生、スティーブ・ジョブスの妻は講演会の聴講生である。
逆に言えば、この人たちは極めて一般的な出会いによる結婚をしており、妻たちは皆、慈善活動に熱心に取り組んでいる。IT長者が、比較的地味めの聡明そうなパートナーを選んでいるように思えるのも、社会における自分の使命のようなものを想像以上に強く感じているから、なのだろうか。
一方で、IT長者は結婚に向いていないのか、子沢山なのに、結婚をしていない人も多い。15人の子供がいるイーロン・マスクしかり、日本のZOZOTOWNの創設者しかり。非結婚主義者なのか、その気配さえない人も……。
どちらにしても、IT長者は結婚に対して極めて慎重。警戒心のようなものまでが感じ取れる。わざわざ言葉にするまでもないが、金目当ての軽薄な女だけは近づかないよう心がけているのは間違いないのだ。
ベゾスの結婚相手だけ、異例のタイプ?

そんな中、ある意味で“異例の結婚”をしたのが、Amazon創業者のジェフ・ベゾス。いや最初の結婚は、もともと慈善的活動に熱心な活動家であり、作家でもあるマッケンジー・スコット。26年にもわたる結婚生活において養子を含む4人の子供をもうけているが2019年に離婚。それも、夫のW不倫が発覚したのが原因だったが、その新しいパートナーが、IT長者の妻としては異色のタイプであったことで、いつになく大きなニュースとなっているのだ。
それが、ローレン・サンチョス。元ニュースキャスター、と言うのも驚きだけれど、何より今のトレンド”ネイキッド系”というべき、露出の多すぎる装いで物議をかもしている、派手系の人であること。
ご覧の通り、いつも豊かすぎる胸がこぼれ落ちそうなドレスで登場し、顔の印象も次第に変わっていくこともあって、整形疑惑も……。いや、ベゾス氏との婚約発表があってから、一躍”時の人”となり、あることないこと言われるようになっているのは確か。
「まるで娼婦みたい」な人の、男のキャリアアップ
ベゾス氏とともに出席したトランプ大統領就任式でのファッションも、様々な方面から批判を受けて、リアリティー番組などではジョークのネタにされている。元同業者でもある有名なニュースキャスター、メーガン・ケリーからは「娼婦みたい」とこき下ろされているし、あるコメディアンは「NASAがシャトルを打ち上げるように胸を引き上げている」とツイート。 今、まさに注目の的であることを、意外な形で印象づけた。

人気番組アンカーとしてはエミー賞受賞歴もあり、実力派と言えるし、実業家としての顔も持つ。空撮を請け負う会社を興し、自らパイロットもこなすスーパーウーマン。メキシコ人の家系、テレビ局の事務補佐からスタートしている苦労人でもあるのだ。
ただ、指折りの大富豪と結婚するとなると、世間の目も俄然厳しくなる。芸能番組のレポーターとなり、FOXスポーツへと移籍すると、スポーツ・キャスターとの婚約中にNFL選手トニー・ゴンザレスと交際して、婚約破棄。長男をもうけているが、結局結婚には至らなかった。その後俳優ヘンリー・シモンズと婚約するも、大物エージェント、パトリック・ホワイトセルと同棲。挙句に出来ちゃった結婚している。このパトリックと結婚している時にも、またもやNFLの人気選手アンソニー・ミラーと不倫。この人とも将来を約束していたが、彼女自身の不倫によって破局している。とまぁかなりの身持ちの悪さ。しかもこういうことを繰り返しながら、結果として、男でキャリアアップを図るように、自分のポジションをあげてきたかに見える。
狙いは、お金か名声か、どうしてもそう見えてしまうからこそ、今この人の一挙一動が注目を集めてしまうのである。
じゃあベゾスはなぜ彼女を選んだか?

じゃあ、ベゾス氏はなぜ彼女を選んだか?
元妻とは全く逆のタイプ。また、IT長者妻ともしても異例だ。じつはこの不倫が発覚したのは、よりによってローレンの兄が、ベゾスからの手紙やSNSをメディアに暴露、それがあまりに卑猥なものだったために、ゴシップ誌すら掲載をためらったほど。両者の家族もその報道で不倫を知り、離婚に至っているので、まさに最悪の展開。
ただ挫折なきサクセス人生最大の汚点だったにも関わらず、彼らはそれを跳ね返す形で愛を貫き、婚約に持ち込んだのだ。ローレンの戦略に乗ってしまったのではないことだけは確か。ベゾスの方がぞっこんだったとも言われるのだから。
いやそれ以前に、ベゾスはある種の狂気を持った人だとも言われる。けたたましいほどの大声で笑い、あの目で凝視されると、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなってしまうという。指折りのIT長者はみな天才で、みなどこかに狂気を秘めているとされるが、子供の頃からSF小説を読みあさり、実験を趣味にしてきたせいか、性的には奥手だったりする傾向に。
じつは奥手だったベソスの負け?
ベゾスの最初の結婚も、同じ会社に勤める社員だった元妻が、隣の部屋でいつもけたたましい大声で笑う男になんだか惹かれ、彼女の方から近づいていったと言う。そこから察するに、ローレンのような百戦錬磨の恋愛上手には免疫ができておらずに、思わずはまってしまったのではないか? そもそもがローレンにベゾスを紹介したのは、彼女の元夫だったとも言われるほど、無差別に女をぶつけていくタイプだけに、天才ベゾスもまるで抗えなかったのではないだろうか?

二人の関係を暴露したローレンの兄の行動も、とても妹愛からのものではなく、不穏に満ちた結婚というほかないが、果たしてこの新妻は、胸を露出しながらも、慈善活動に邁進できるのだろうか。ちょっと目が離せない。
IT長者の相言葉は「自分が世界を救いたい」その妻となったからには、贅沢三昧ではなく、慈善活動で、弱者を救助すること。それが世間の批判的な目をかわす、たったひとつの鍵なのだから。

- TEXT :
- 齋藤 薫さん 美容ジャーナリスト
- PHOTO :
- Getty Images
- WRITING :
- 齋藤薫
- EDIT :
- 三井三奈子