「ハズバンズ」は、ニコラ・ガバール氏が設立したメゾン。ガバール氏は、元弁護士。異色の経歴だが、服好きが昂じてこのメゾンを始めることにしたのだそうだ。ダンディな装いを愛しており、休暇中もそのスタイルを崩すことがない美意識の持ち主だ。

テーラード・ウェアの店、を強く打ち出す

通りに面しているが看板は出ていない。このさりげなさが常連客を満足させる。
通りに面しているが看板は出ていない。このさりげなさが常連客を満足させる。

 さて、その店だが、金融機関が集まる地域から近いリシュリュー通りに立地する。ラーメン店、和食店が並び日本人街と呼ばれるサンタンヌ通りからもすぐだ。広さは1階の販売スペースが60㎡、地下のショールーム&ストック置き場の空間も同じく60㎡。鏡が多く使われているので、一層広く感じさせる。

中央のテーブルはヴィンテージの天板部分に鏡を貼り付けたもの。
中央のテーブルはヴィンテージの天板部分に鏡を貼り付けたもの。
ビシッと並ぶ、ジャケット、コートやネクタイ。横には日本のファッションブックも。
ビシッと並ぶ、ジャケット、コートやネクタイ。横には日本のファッションブックも。

「“テーラリングの店”と強調したかった。最近、多くの服の店は、ギャラリー、ブックストアなどと組み合わされてコンプレックス型になっている。でも、私は服を提供する、ということが大切だと思った。だから、木造りで、棚があって、と昔の洋装店のイメージなんだ。一方で、椅子は現代的なものをチョイスしたり。つまり、クラシックとモダンさを兼ね備えているというわけなんだ」(ガバール氏)。

地下のショールームスペースには、もうすぐ大理石のテーブルが置かれることに。ここはよりモダンな雰囲気。
地下のショールームスペースには、もうすぐ大理石のテーブルが置かれることに。ここはよりモダンな雰囲気。

トルソーに着せた下のジャケットがイチオシ。ラペルが広く、ポケットのフラップも大きめ。「70年代風だ。パンツの幅もやや広めにしてある」とガバール氏。

洒落者にチャレンジして欲しいキャメル色のジャケット。
洒落者にチャレンジして欲しいキャメル色のジャケット。

ちなみにこの場所は1930年頃、テーラーだったそうだ。さらにその前は書店だったそうで、その頃に撮影された古い写真を見せてくれた。

馬車の前にあるのが、この店。
馬車の前にあるのが、この店。

下の写真のジャケットは、Dugdale Bros & CoのRomney Tweed(ロムネー・ツイード)を使用。ドライな感触で、フランスなどヨーロッパならば1年中着られるそうだ。

 
 

ニコラ氏も撮影したかったのだが、「自分ではなくて『ハズバンズ』というブランドを前面に出したい」ために、顔出しNGにしたそうで、残念。とても素敵なムッシューです。ぜひブティックに行って直接会ってみて下さい。

問い合わせ先

  • Husbands 
  • 57 rue de Richelieu 75002 Paris
この記事の執筆者
某女性誌編集者を経て2003年に渡仏。東京とパリを行き来しながら、食、旅、デザイン、モード、ビューティなどの広い分野を手掛ける。趣味は料理と健康とワイン。2013年南仏プロヴァンスのシャンブル・ドットのインテリアと暮らし方を取り上げた『憧れのプロヴァンス流インテリアスタイル』(講談社刊)の著者として、2016年から年1回、英語版東京シティガイドブック『Tokyo Now』(igrecca inc.刊)を主幹として上梓。
公式サイト:Tokyo Now