【目次】
- 「プロフィール」
- 『ヴァージン・スーサイズ』(1999年)
- 『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年)
- 『マリー・アントワネット』(2006年)
- 『SOMEWHERE』(2010年)
- 『ブリングリング』(2013年)
- 『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(2017年)
- 『オン・ザ・ロック』(2020年)
- 『プリシラ』(2024年)
「プロフィール」
名前:ソフィア・コッポラ(Sofia Coppla)
生年月日:1971年5月14日
出生地:アメリカ合衆国ニューヨーク
映画『ゴッドファーザー』などで知られる名監督、フランシス・フォード・コッポラが父親。幼いころには、父親が手掛けた『ゴッドファーザー』シリーズに端役で出演している。
カリフォルニア芸術大学を中退し、1995年に友人とファッション・レーベル「ミルクフェド」をスタート。
1999年、映画『ヴァージン・スーサイズ』で長編映画監督デビューし、注目を集める。2003年、東京を舞台にした映画『ロスト・イン・トランスレーション』にてアカデミー賞脚本賞を受賞。2010年、映画『SOMEWHERE』でヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞を受賞。
私生活では1999年に映画監督のスパイク・ジョーンズと結婚するが、2003年に離婚。そののち、インディー・ロックバンド「フェニックス」のヴォーカリスト、トーマス・マーズと交際をスタートさせ、ふたりの子どもを授かり、2011年に結婚。
『ヴァージン・スーサイズ』(1999年)
ジェフリー・ユージェニデス著『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』を原作とした、ソフィア・コッポラの長編デビュー作。思春期の少女たちの繊細な感情や儚い瞬間をメランコリックな映像美で描き、MTVムービー・アワードで新人監督賞などを受賞。
あらすじ:リズボン家の美しい五人姉妹は、男の子たちの憧れの的だった。しかし母親は厳格な人物で、周囲との交流を制限している。ある日、末っ子のセシリア(ハンナ・ホール)が浴室で手首を切り、自殺を図ろうとする。
『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年)
ソフィア・コッポラが日本に滞在していたころの体験をもとにした、半自伝的作品。異国の地、東京で出会った男女の心の交流を叙情的に描き、アカデミー賞で4部門にノミネート、脚本賞に輝く。またゴールデングローブ賞の作品賞や脚本賞なども受賞し、注目すべき若手監督の地位を確立。
あらすじ:ウィスキーのコマーシャル撮影のため来日したハリウッドスター、ボブ(ビル・マーレイ)は、異国にいる不安を感じていた。一方、同じホテルには写真家の夫の仕事に同行してきた若妻シャーロット(スカーレット・ヨハンソン)が滞在していて…。
『マリー・アントワネット』(2006年)
アントニア・フレーザーの同名小説を原作とした、マリー・アントワネットの伝記映画。撮影は閉館日を使用して、ヴェルサイユ宮殿にて行われた。世界中で大ヒットしたものの、史実とは異なるとしてカンヌ映画祭ではブーイングが起こる事態に。
あらすじ:ハプスブルク家の末娘マリー・アントワネット(キルスティン・ダンスト)は、オーストリアとフランスの同盟強化のために14歳でフランスのルイ・オーギュメントと結婚する。ヴェルサイユ宮殿での暮らしに戸惑っていたが、次第に贅沢三昧な日々を送るようになり…。
『SOMEWHERE』(2010年)
ソフィア・コッポラが描いてきた儚く危うい少女性や大人の孤独感などが交錯する作品で、ヴェネツィア映画祭にて最高賞にあたる金獅子賞を受賞。
あらすじ:ムービースターのジョニー(スティーヴン・ドーフ)は、セレブらしい華やかな生活を送っていたが、虚無感が常にあった。ある日、前妻と暮らしている娘のクレオ(エル・ファニング)を預かることになり、自堕落な生活を改めざるを得なくなる。
『ブリングリング』(2013年)
アメリカで実際に起きた事件をもとにした作品。被害を受けたパリス・ヒルトン本人の自宅で撮影している。
あらすじ:セレブたちが暮らす高級住宅街、カラバサス。少女ニッキー(エマ・ワトソン)らは豪邸の場所を突き止め、留守中に忍び込みブランド品やジュエリーを盗むように。味をしめ、窃盗を繰り返す彼女たちに捜査の手が迫る。
『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(2017年)
トーマス・カリナンの同名小説を原作とした作品。小説では男性視点で物語が進むが、映画は女性視点で描かれている。セピア写真のような淡いトーンの映像美が魅力で、カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。
あらすじ:南北戦争真っ只中のバージニア州。女子寄宿学校に、五人の生徒と教師たちが暮らしていた。ある日、彼女たちは負傷した兵士、マクバニー(コリン・ファレル)を学校につれ、看病することに。しかし女性のみの暮らしに突如男性が現れたことで、彼女たちの心に情欲と嫉妬心が芽生え…。
『オン・ザ・ロック』(2020年)
それまで原作があるものや、実話に基づいた作品を手掛けてきたソフィア・コッポラのオリジナル脚本。アカデミー賞脚本賞を受賞した『ロスト・イン・トランスレーション』出演のビル・マーレイを再びキャストに迎えた。
あらすじ:ニューヨークで暮らすローラ(ラシダ・ジョーンズ)は、夫が残業を繰り返すようになったことから結婚生活に疑問を抱き始める。そこでローラは、プレイボーイの父フェリックス(ビル・マーレイ)に相談を持ちかけ、父娘で夫を尾行することに。
『プリシラ』(2024年)
エルヴィス・プレスリーの元妻、プリシラの回想録『私のエルヴィス』を基にした作品。ヴェネツィア国際映画祭での上映後、およそ7分にも及ぶスタンディングオベーションを受け賞賛される。
あらすじ:14歳のプリシラ(ケイリー・スピーニー)は、世界的スターのエルヴィス・プレスリー(ジェイコブ・エロルディ)に出会い恋に落ちる。両親の反対を押し切り、彼の豪邸で暮らし始めるが…。
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ソフィア・コッポラは、現代映画界において独自の美意識と繊細な視点で注目される存在です。女性監督として稀有な成功を収めながら、少女たちの内面やアイデンティティ、孤独といったテーマを一貫して描き続けてきました。『ヴァージン・スーサイズ』や『ロスト・イン・トランスレーション』など、時代と場所を越えて共感を呼ぶ作品群は、映画好きに限らず知っておきたい「現代の教養」としても価値のあるものです。
とりわけ、40代のキャリア女性にとっては、自立した女性のあり方や人間関係の機微が描かれる彼女の作品は、ビジネスとは異なる知的刺激を与えてくれることでしょう。さほど関心が深くなくても、その名や代表作を知っておくだけで、日常の会話や教養の幅がぐっと広がります。そんな監督のひとりが、ソフィア・コッポラだといえるでしょう。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- Getty Images
- EDIT&WRITING :
- 阿部芙美香

















