「こんなセンセーショナルなストーリーを映像にしていいのだろうか」(鈴木)
「オレ、部下にしたらいいタイプですよ」(横山)
──本作が初共演のおふたり。それぞれお相手にはどんな印象をもたれましたか?
鈴木:歌って踊って弾けていらっしゃるところを、ずっと拝見してきたのですが、現場での横山さんはとても静かーにしていらして。まあ、緊張感があって笑顔もない作品なので、役作りでそうされているのかなと。待っている時間など、存在を消してますよね(笑)。
横山:よく言われます。気配を消してるとか、人見知りなんだねとか。
鈴木:人見知りなのか、すごく集中されているのか…。どっちなんだろう、話しかけてもいいのかな、なんて思ってました。私は、かつて横山さんが出ていらっしゃったドラマ『ザ・クイズショウ』(2009年・日本テレビ系)が大好きで、本当はそんなことも話したかったんですけど。きっと横山さんはすごく真面目で、情熱を秘めたタイプなんだろうなと感じました。
横山:もう…大変恐縮です。僕のほうこそ、保奈美さんの情熱をびしびし感じていました。俳優としてすごいなと思ったのが、終始何を考えているのかわからなくて、それが映像にもよく現れていて。横にいると、背筋がピンとなるんです。今もそうなんですけど(笑)。保奈美さんが演じた児玉蓉子は、笑っていても目が笑ってないし、ずっと怖かった。でも、カメラが止まったところでは優しくて、そのギャップに、なんだか混乱しました。どっちがホンマなんやろうって。
鈴木:横山さんは、芝居の時以外は、周囲に気を使っていて、すごく丁寧で…。そんなに、いいのに、って思うくらい。役では上司と部下でしたけど、リアルでもすごくいい部下になりそう。
横山:オレ、部下にしたらいいタイプです。はい、自分で思います(笑)。
「芸能界を舞台にしたドラマだけど、どの世界にもあることかもしれない」(横山)
──おふたりとも、長年にわたってど真ん中にいる芸能界。その裏側を描いた『スキャンダルイブ』を、どのようにご覧になりましたか?
横山:いったい、何が正義なんだろう? なにが善でなにが悪なのか? 独立して間もない井岡 咲(柴咲コウ)の気持ちはわかるけど、敵対する児玉蓉子(鈴木保奈美)だって、一見怖くても、タレントや会社を思ってやったことなら、決して悪だとは思えないし。蓉子のような人、人間らしいというか、僕は好きなんですけどね。秩序は大事やし、でも古い体質は変わらなきゃいけないし…本当にどっちがいいのかはわからない。こんなふうに迷うのも、僕が中堅になってきたせいなのかな。
鈴木:それぞれの事情、それぞれの背景があって、ドラマではそこが明かされていくうち、善悪の立ち位置が変わって見えてくるんです。そのあたりは楽しいですよね。
私自身は、ドラマに出てくるような強引な人たちには、ずっと仕事をしてきても出会ったことがなくて、「そんなこともあるんだ」と思いながら観ていました。もしかしたら、大きな壁にぶち当たったり、振り回されたり、あったのかもしれないけれど、自分では気づかなかっただけかもしれません。そう思うと、すごく恵まれていたんだな。ありがたいことだな。つくづくそう感じます。
そして、こうした話題を現代のこのタイミングで描くということが、かなりスキャンダル。今のタイミングを狙ったわけではないそうですが…。
横山:数年前から企画していたらしいですからね。先見の明があったんですね。
鈴木:それでも、利害をめぐってぶつかるのは、いつの時代も普遍的なことですよね。ドラマとしてデフォルメした世界なのかと思っていたけれど、人間として真っ直ぐなものをもっている人たちがぶつかる、共感できるドラマなんです。
横山:そう、芸能界を舞台にしているけれど、人間ドラマであって、どの世界にでも…たとえば企業や政界にだって、あることかもしれません。
「テーマは『周囲を威圧するファッション』!(笑)」(鈴木)
──配信が始まり、ラストに向けての展開が待ち遠しい今。ドラマ後半の楽しみ方を教えてください。
鈴木:実は、蓉子(鈴木さん)からすると明石くん(横山さん)が感情を出すのは、一度も見たことがないんです。このあと後半に向けて、彼の人となりがだいぶ見えてくるようなので、どう変わるのか、私自身も楽しみにしています。
横山:何が正義なのか、という話をしましたが、結局決めるのは自分やと思うんです。それを信じて、見極めて、という大事なメッセージが後半には込められています。信じた先に人に助けられたり、思いもよらないことが起こったり。そんな人間ドラマに、期待していただきたいと思います。
──保奈美さんのファッションもますます楽しみです。
鈴木:テーマは「周囲を威圧するファッション」!(笑)全身で威圧するというくらい、色もデザインもパワフルです。
横山:どこにいても服でわかるし、存在感がえぐいですもん。照明が当たっていなくても、「あっ、保奈美さんがいる!」ってわかりますからね。
──では最後に。「スキャンダル」にちなんで、おふたりそれぞれ「揉み消してしまいたいこと」があれば教えてください。
鈴木:先日、お芝居を見に行ったのですが、新国立劇場に行くつもりが、自信満々で池袋の東京芸術劇場に行ってしまったという失敗がありました。急いで向かって、オープニングにぎりぎりで駆け込みましたけど。
横山:スキャンダルでも失敗でもないんですけど…。グループのライブに向け、毎日ひとりで練習をしていて、とにかく「失敗しちゃいけない」という一心なんです。グループで集まって練習する時間が短いので、それまでにできるだけ完成度を上げておきたいから、少しも間違えられない。演技だって、ほかのメンバーの出演作を観るたびに「すごいなー」と思うから、負けてられないし。演技もバンドも、どちらも緊張感があります。
東京国際映画祭にも出品され、新タイプのドラマとして高く評価された本作。フィクションかノンフィクションか、想像しながら楽しむもよし。エンターテインメント作品としてストーリー展開にハラハラするもよし。好きな楽しみ方で、芸能界の裏側にたっぷり浸ってみるのはいかがでしょう。
ABEMAオリジナル連続ドラマ『スキャンダルイブ
芸能事務所・Rafaleの代表取締役社長を務める井岡 咲(柴咲コウ)は、4年前に大手芸能事務所・KODAMAプロダクションから独立し、Rafaleの看板俳優・藤原玖生(浅香航大)を育てあげた。一方、芸能週刊誌・週刊文潮の平田 奏(川口春奈)は、玖生の不倫スキャンダルを掴み、咲に記事を掲載する告知を突きつける。大手芸能事務所・KODAMAプロダクション社長として、父の後を継ぐ児玉蓉子(鈴木保奈美)、その部下で俳優事業部本部長をつとめる明石隆之(横山 裕)。児玉は咲の元上司として、明石は元同僚として、スキャンダル抗争にどう巻き込まれるのか…。スキャンダルの裏側に隠された新事実とは? ABEMAで無料配信中。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- トヨダリョウ
- STYLIST :
- 犬走比佐乃(鈴木さん)袴田能生(juice/横山さん)
- HAIR MAKE :
- 福沢京子(鈴木さん)
- 取材・文 :
- 南 ゆかり

















