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「いい文具の日」とは?──なぜ11月29日?】

11月29日は語呂合わせで「いい肉の日」、そして「いい文具の日」でもあるのをご存知ですか? 「29」を「文具」と読ませるのです。

「いい文具の日」は、これは、文具の魅力を発信することを目的として、NEXT switch株式会社が制定した記念日です。文具メーカーや文具販売店、そして文具ユーザーが、文具についての活動を活発に行い、多くの人に文具に興味をもってもらうのが目的です。2月14日に大切な人にチョコレートを贈るように、文具をプレゼントし合う日にするのが目標だとか。

デジタル時代のいま、昭和レトロブームのように、手書きやモノづくりへの関心も高まっています。町の文具店は絶滅危惧種並みになくなっている印象ですが、実は「文具女子」「デコ手帳」といったワードも誕生。文具をテーマにしたイベントやフェアが全国で開催されていて、稀に見る文具ブームと言っても過言ではありません。


なぜ今、大人に文具が必要なのか?】

社会人になり、仕事のスケジュールをシステム手帳に書き込むことに“大人”や“自立”を感じた――のはもうふた昔も前のこと? 現代では手書きではなく、オンラインカレンダーに入力するほうが主流なのかもしれませんね。会議や打ち合わせ中も、手書きでメモを取るのではなく、スマホやタブレット、PCの活用を見ることが多くなりました。ペンやノートなどの文具を使う機会はめっきり減ったのに、なぜ文具人気? 文具が脳活に効く? いい文具や好みの文具を使うことで、仕事のパフォーマンスが上がる? そんな手書きの効果を挙げてみましょう。

■手書きで認知機能向上

未就学児童でも可能な手で文字を書くという作業は、実はとっても高度な行為です。ペンを指で持ち、紙などに適度な圧力で押し当て、文字や単語といった決まった形を書くために手を動かすのは、複数の機能を使う複雑な認知運動なのだとか。その結果、集中力が高まり、理解が深まり、記憶力が向上するといいます。

■手書きで精神が整う

日記を書いている人はいますか? 「何度チャレンジしても三日坊主…」という人も、「何十年も書き続けている」という人もいるかもしれませんね。手帳やノートに備忘録程度にメモるのが日記のようだということもあるでしょう。程度の大小にかかわらず、感情や事実、状況をを書き出すという行為は、心を落ち着かせて客観視すること。内面を見つめることで不安感やストレスの軽減にも役立つのだとか。書くだけでなく、自分の手書き文字を見ることにも効果があるようです。

■手書きで創造性を刺激する

手書きに法則はなく、自由に書きつけることができるので、思いがけないアイデアが浮かぶ環境が整うとも言われているよう。曖昧なイメージも、文字や絵で可視化していくうちに整理されていくのでしょう。これは、手書きによって空間認識能力が向上するためだと考えられています。手書きは脳のさまざまな分野を活性化させるので、考える力を高めることにもつながるようです。


選ぶだけで“品格が上がる”文具ブランドガイドなど】

手書きの効果は思った以上に大きかったのではないでしょうか。もちろん文具は筆記具だけではありません。完全に市民権を得た感じがするマステ(マスキングテープ)などは、気軽に楽しめる文具として多くの人が利用しているようです。ここでは、持って使って気分がいい文具、贈り物にも役立つ文具をご紹介します。

■大人文具No.1の「万年筆」

心身にもたらす効果にも期待したいところですが、手書きを“上質な体験”と捉えて日々の生活に取り入れてみては? その入り口として、上質な万年筆を手にしてみるのもいいかもしれません。使用者の癖が反映してペン先が育っていくともいわれる万年筆。国内外の名ブランドからお気に入りを見つけて!

・万年筆ブランドの最高峰「モンブラン」

万年筆といえば、白い六角形のマークと 「MONTBLANC」のロゴを思い出す人も多いのでは? 1908年にドイツで誕生し、伝統的なクラフツマンシップと精密さ、時代に沿った製造技術を組み合わせて、美しいコレクションを生み出し続けています。

・ラグジュアリーを極めた装飾「エス・テー・デュポン」

1872年にフランスの高級鞄メーカーとして創業。1973年からライター製造で培った技術を生かした筆記具もつくっています。ジュエリーやウォッチにも多用される美しく緻密なギヨシェ彫りによる、品格ある極上アイテムが豊富。

・英国王室御用達「パーカー」

「パーカー」は、世界で最も信頼されている高級筆記具メーカのひとつ。万年筆の漏れを防ぐ画期的なインク供給システムの開発からその歴史ははじまり、常に最新技術を取り入れることに積極的です。矢羽の形のクリップがシンボル。比較的手に入れやすい価格帯の商品もあります。

・アメリカ生まれのフレンチエレガンス「ウォーターマン」

1883年にニューヨークで創業した「ウォーターマン」は、世界で初めて毛細管現象を応用したインク供給システムを採用した万年筆を開発。1926年パリに拠点を移したのちはフランスらしいエレガントなペンを製造し、欧米で愛されるブランドになりました。

・世代を超えて愛される「ペリカン」

1893年に絵の具工場を創設し、1929年に最初の万年筆モデルを発売して以来、ドイツの万年筆を象徴するブランドに成長。万年筆初心者向けに開発された「ペリカーノ・ジュニア」は大人の愛用者も多く、2000円台という手頃感も相まって気軽なギフトにもおすすめです。2025年7月にはデザインが一新されてよりポップになりました。

・日本のパイオニア「セーラー万年筆」

1911年に広島県呉市で創業。漢字や仮名文字を美しく書くことにこだわった、職人の巧みな技による特殊なペン先と安定した書き味に定評があります。

・スイスメイドの誇り「カラン ダッシュ」

1915年に設立された鉛筆工場をルーツにもつ、スイス唯一の画材・高級筆記具メーカー「カラン ダッシュ」。 画材づくりで培われた色彩技術を生かし、色鮮やかでハイセンスなデザインの万年筆を手がけています。ポール・スミスやケヴィン・ジェルマニエなど、ファッションブランドやアーティストなどとのコラボ商品も。

・タイムレスなデザインで人気「ラミー」

1930年にドイツの古都ハイデルベルクで創業した筆記具メーカー。極限まで無駄をそぎ落としたタイムレスなデザインを「LAMY デザイン」として掲げ、オリジナリティあふれるデザインの筆記具を製造しています。豊富なカラーバリエーションとワイヤー製クリップが特徴的な「ラミー サファリ」は、ファースト万年筆にもぴったりなカジュアルさが人気です。

■ビジュアルも書き心地も上等を叶える「手帳・ノート」

思いついたことをメモする習慣があっても、あちこち書き散らしていては必要な時に見つからないもの。お気に入りの手帳やノートを入手して、仕事のメモやアイディアから買い出しリストまで、なんでも書きつけておくのも一案です。仕事中でも外出先でも自宅でも、常に傍らに置いておきたくなる素敵な手帳やノートを見つけてください。

・ゴッホやピカソも愛用した「モレスキン」

19世紀後半、フランス・トゥールの製本業者が手工業でつくったノートをルーツに持つ「モレスキン」。硬い黒表紙とゴムバンドが特徴的なこのノートは、作家や芸術家、思想家たちに愛されてきました。「すべてのモレスキンのノートブックは、まだ書かれていない本であり、語られるのを待っている物語です。」とは、モレスキンの共同創業者で財団の会長であるマリア・セブレゴンディの言葉。ロマンがありますね。

・日常を旅する気持ちに…「トラベラーズノート」

使い込むほど風合いが高まる革製カバーに、書きやすさに徹した紙質。手に携えて持ち歩くのに程よいサイズで、チケットやマップが挟みやすい…手にとって旅に出たくなるノートを目指したというのは、東京に本社を構える株式会社デザインフィルの「トラベラーズノート」。上質でシンプルなデザインを好む人に。

・方眼メモパッドの代名詞「ロディア」

1937年にフランス・リヨンで創設された文具ブランド。「RHODIA」のロゴと2本のモミの木が記された、オレンジ色の表紙のブロックメモが代名詞的商品で、方眼罫を定着させたのも当社でした。

・書くことが楽しくなる「ほぼ日手帳」

文庫本サイズの1日1ページ手帳で人気の「ほぼ日手帳」。コピーライターの糸井重里氏が主宰する1998年6月6日にスタートしたウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」(2025年6月7日より「株式会社 ほぼ日」に改名)の商品で、さまざまなコンテンツや商品を生み出してきたなかでの大看板商品です。仕様もサイズも豊富で、まさに書くことを楽しむための手帳。


ビジネス雑談で盛り上がる「文具」の雑学】

■文具?文房具?文房って?

11月29日は「いい文具の日」ですが、「文具」と「文房具」は違うのでしょうか? 「文具は文房具の略語?」と思っている人がいるかもしれませんね。

「文房具」は、文房(書斎)において最も重要な「文房四宝(ぶんぼうしほう)」、筆・墨・硯・紙を指します。一方の「文具」は、書斎における必需品の総称。文房四宝に加え、ハサミや定規、テープなど、アイテムは多岐に渡ります。

■なぜ「シャーペン」と言う?

世界的には「メカニカル・ペンシル」の名称であるにもかかわらず、日本では「シャープ・ペンシル」あるいは略して「シャーペン」と呼びますね。どちらも芯を繰り出して使うという構造に違いはありません。

この筆記具は1830年代にアメリカ人によって考案され、英語表記の「メカニカル・ペンシル」が世界共通名称。鉛筆は使っているうちに芯が平らで書きづらくなりますが、常に細い芯が出て書きやすいのが「メカニカル・ペンシル」。第1号は「エバー・シャープ」という商品名だったとか。

日本産第1号は大正時代初期に誕生。考案者はのちの家電メーカー「シャープ」の創設者で、「エバー・レディー・シャープ・ペンシル」という商品名で大ヒットしました。これが「シャープペンシル」「シャーペン」の由来です。

■文具イベント(2025~2026年)

2025年12月から2026年2月に関東で開催される主な文具関連のイベントはこちら! 

文具女子博2025:2025年12月18日(木) ~ 12月21日(日)、パシフィコ横浜にて

・文具マーケット:2026年2月21日(金)、東京流通センター(TRC)第二展示場Fホールにて

※詳細は公式ページをご確認ください

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気が付けば、バラエティショップや書店の店頭には、2026年版の手帳がずらりと並びはじめています。デジタルツールの進化に伴い、手書きの機会がめっきり減ってしまった今、それでもなお、手帳を開いてペンを走らせる時間には、どこか格別な魅力があります。

筆者もカレンダーアプリに頼りきりだった日々から少し距離を置きたくなり、久しぶりに「書く時間」を取り戻してみようか──そんな気持ちが芽生えています。

思考を整え、感性に触れ、自分自身と静かに向き合う。「いい文具の日」は、日々を丁寧に過ごすきっかけを、そっと手元に届けてくれる日なのかもしれません。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/農林水産省( https://www.maff.go.jp/index.html )/日本かきセンター( https://www.oyster-center.com/ )全国漁業協同組合連合会( https://www.zengyoren.or.jp/ )/岡山観光WEB( https://www.okayama-kanko.jp/index.html ) :