【目次】
【「日本人宇宙飛行記念日」とは?由来】
■「何日」?
「日本人宇宙飛行記念日」は12月2日です。
■日付の「由来」は?
1990(平成2)年の12月2日に、株式会社TBSテレビの秋山豊寛(とよひろ)記者(当時)を載せた旧ソビエト連邦の宇宙船「ソユーズTM-11号」が打ち上げられ、日本人として初めての宇宙飛行が成功しました。この日を記念して制定されたのが「日本人宇宙飛行記念日」です。
■「意義」は?
秋山記者は打ち上げの成功により、民間のジャーナリストとして初めて、宇宙からの報道を実現した人になりました。彼の宇宙飛行と帰還は、多くの日本人に「宇宙は遠い夢ではない」「日本人も宇宙に行ける」と印象づける象徴的な出来事でした。この記念日は、日本の将来を担う世代が宇宙開発や宇宙への関心を高めたり、宇宙関連の教育や普及、科学への興味を喚起したりするきっかけとなっています。
【ビジネス雑談に役立つ「日本人宇宙飛行」の雑学】
■アクシデントが「日本人初」を左右した
秋山記者は1989年10月から1990年11月にかけて、モスクワ郊外にある宇宙飛行士訓練センターで訓練を行い、打ち上げ前日の12月1日に国家審査委員会から宇宙飛行士の承認を受けました。
実はTBSが調印した1989年時点では、毛利衛(もうりまもる)さんのNASA・スペースシャトルでの飛行が日本人初になるはずでした。ところが、1986(昭和61)年のスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故の影響で毛利さんの飛行計画実施が遅れたため、秋山さんが日本人初となったという経緯があります。ニュース番組の“取材ミッション”として、記者が宇宙へ行ったという世界的にも珍しいケースです。
■「日本人宇宙飛行記念日」と「宇宙の日」。どう違う?
「宇宙の日」は9月12日です。
1992年は世界中が協力して宇宙や地球環境について考えようという「国際宇宙年」(International Space Year:ISY)でした。これをきっかけに、日本の科学技術庁(現:文部科学省)と宇宙科学研究所(現:国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構[JAXA]宇宙科学研究本部)が1992年(平成4年)に制定した記念日が「宇宙の日」です。
日付は一般公募により、毛利宇宙飛行士がアメリカのスペースシャトル「エンデバー」で宇宙へ飛び立った日(1992年9月12日)を記念して、9月12日となりました。(19)92年の読み方と9月12日の読み方は同じく「きゅうじゅうに」で、国際宇宙年(ISY)と同じ、という語呂合わせにもなっています。
つまり、「日本人宇宙飛行記念日」と「宇宙の日」は、どちらも日本の「宇宙飛行」「宇宙との関わり」を祝う日ですが、由来や対象が異なるのです。毛利さんも記念日になっていて、よかったですね!
■今までに何人が宇宙に行った?
JAXAでは、「宇宙へ行った人」を「高度100kmを越えた弾道飛行を含む」と定義しています。そのうえで、2023年3月12日時点で宇宙に行った人は、595人※だと公表しています。このうち、日本人は女性ふたりを含む14人です。この人数を「多い」と感じるか「少ない」と感じるかは人それぞれ…ですね!
※注 2018年以降の宇宙旅行者については、ISS(国際宇宙ステーション:約400km上空に建設された有人宇宙施設)への飛行のみ含みます。同一の人物が2回以上飛行した場合は重複して数えていません。 また、宇宙旅行者を含みます。
■日本人宇宙飛行士が乗った宇宙船は何種類?
日本人の宇宙飛行士は…
・ソユーズ(現在はロシア連邦宇宙局ロスコスモスが運用)
・スペースシャトル(アメリカNASA)
・Crew Dragon(NASAより委託されてアメリカの民間企業 スペースXが開発・所有)
この3種類すべてに搭乗した国は、実は多くありません。
■日本人でいちばん多く宇宙に行ったのは誰?
若田光一さんです。若田さんは通算5回の宇宙飛行を経験しています。また、5回の宇宙飛行における宇宙滞在時間は、累計で504日18時間35分。これは日本人最長記録です。船外活動時間は、2回の合計で14時間2分。さらに、若田さんは、スペースシャトル、ソユーズ、Crew Dragon のすべて経験した希少な宇宙飛行士です。
■日本人女性初の宇宙飛行士は?
向井千秋さんです。1994年、スペースシャトル「コロンビア号」にアジア人初の女性宇宙飛行士として搭乗しました。累計搭乗回数は2回。「医学博士+宇宙飛行士」という経歴も話題になりました。現在、東京理科大学特任副学長に就任、スペースシステム創造研究センターのエグゼクティブアドバイザー、スペース・コロニーユニット長として宇宙開発研究に携わっています。
ふたりめの女性宇宙飛行士は、2010年4月5日から20日まで、スペースシャトル「ディスカバリー号」に搭乗した山崎直子さんです。2011年にJAXAを退職後、現在も内閣府宇宙政策委員会委員、一般社団法人Space Port Japan代表理事として宇宙開発研究をリードされています。
■JAXA認定の宇宙日本食にはどんなものがある?
「宇宙日本食」は、ISS(国際宇宙ステーション)に滞在する日本人宇宙飛行士に、日本食の味を楽しんでもらい、長期滞在の際の精神的なストレスを和らげてもらうために開発されました。結果、パフォーマンスの維持・向上にもつながっています。
現在、認証された「宇宙日本食」は、52品目(29社/団体)です。日本の家庭で普段食されている範囲を対象としており、日本の伝統的な「和食」には限定していません。私たちの日常でも人気のカップ焼そば「日清焼そばU.F.O.」を宇宙食に進化させた「スペース日清焼そばU.F.O.」や「ホテイやきとり(たれ味)宇宙用」、「スペースからあげクン」「十勝川西長いも十勝オムレツ」など、バラエティ豊か。味噌汁・茶漬け・和風スープは人気の鉄板メニューのようです。
■宇宙食が災害食に!
宇宙日本食はもはや、宇宙のためだけのものではありません! 宇宙食と災害食には常温での長期保管など、その必要な特性に多くの類似点があることから、宇宙日本食に認証された食品は、簡易な審査で日本災害食学会が認証する「日本災害食」に認証されることになりました。今後、多くの宇宙日本食が地上生活で活用されることが期待されます。
■宇宙飛行士になるにはどうしたら?
「2021年度 宇宙飛行士募集 募集要項」によると、以下のすべてを満たすことが宇宙飛行士の条件となっています。
(1) 2021年度末(2022年3月末)の時点で、3年以上の実務経験を有すること※1。
(2) 以下の医学的特性を有すること。
身長 149.5-190.5cm
視力 遠距離視力 両眼とも矯正視力1.0以上
色覚 正常(石原式による)
聴力 正常(背後2mの距離で普通の会話可能)
※1:修士号取得者は1年、博士号取得者は3年の実務経験とみなします。
ただし、次のいずれかに該当する者は応募資格がありません。
・日本国籍を有しない者
・禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者又はその刑の執行猶予の期間中の者その他その執行を受けることがなくなるまでの者
・日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
・反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有している者
(注)募集条件は今後変わる可能性があります。
JAXAでは2021年以降、約5年おきの募集を予定しています。前回の募集は2022年だったので、通常通りなら、次回は2027年となります。詳しくはJAXA宇宙飛行士候補者募集特設サイトをご覧ください。
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2025年11月現在、ISSで活動している日本人は、油井亀美也宇宙飛行士です。搭乗した宇宙船はクルードラゴン宇宙船運用11号(Crew-11)。第73次長期滞在クルーとしてISSに滞在中の大西卓哉宇宙飛行士と、宇宙での再会を果たしました。SNSの普及によって、私たちもISSから撮影された画像や動画を目にする機会が増えました。今後、どのような新発見があるのか、楽しみです。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:一般社団法人 日本記念日協会HP(https://www.kinenbi.gr.jp) /JAXA(https://humans-in-space.jaxa.jp/?_ga=2.241420358.538770442.1764209726-2053700369.1764209726&_gl=1*bh3obx*_ga*MjA1MzcwMDM2OS4xNzY0MjA5NzI2*_ga_TD7E2WGH8Z*czE3NjQyMTA2OTUkbzEkZzEkdDE3NjQyMTUzMjYkajIzJGwwJGgw) :

















