【目次】
【「カイロの日」とは?由来】
■「いつ」「誰が」決めた?
12月1日の「カイロの日は、1991(平成3)年に「日本使いすてカイロ同業会(現:日本カイロ工業会)」が、同会設立10周年を記念して制定した記念日です。
■なぜ「12月1日」?
12月は使い捨てカイロの需要がピークを迎える月です。わかりやすさを重視して、12月の最初の日である「1日」を、「カイロの日」に決めました。
■「目的」は?
「カイロの日」は、カイロについての正しい知識の普及と需要促進を目的としています。
■「日本使いすてカイロ同業会(現:日本カイロ工業会)」ってどんな団体?
「日本使いすてカイロ同業会」は、1981(昭和56)年にカイロのメーカー46社が集まって設立された団体です。2001(平成13)年に現在の「日本カイロ工業会」に名称を変更しています。阪神・淡路大震災の被災地に使いすてカイロ150万個を支援物資として寄贈したり、福祉施設に寄贈するなど、社会貢献活動も行っています。
【ビジネス雑談に役立つ「カイロ」の雑学】
■「カイロ」は日本生まれの保温具です
カイロのルーツは、石を温めて懐に入れた江戸時代の「温石(おんじゃく)」だといわれています。明治時代には、麻殻や殿炭粉を袋に詰めたり、練ったうえで容器の中で燃やす「懐炉灰」が使われるようになりました。大正時代にはいると、ベンジンの気化ガスと白金の触媒作用を使って燃焼させる「ベンジンカイロ」が登場し、一般的に使われるようになりました。漢字では「懐炉」と表しますよ。
■「使い捨てカイロ」誕生のきっかけは朝鮮戦争説
現在の使いすてカイロの原型は1950~1953年頃までさかのぼります。当時すでに、鉄を急速に酸化させれば熱を発することが分かっていたため、寒い朝鮮半島で戦うアメリカの兵隊は、水筒のような容器に鉄の粉と食塩を入れてカイロとして利用していました。それを日本人が工夫して、現在の使いすてカイロが生まれたといわれています。
■「使い捨てカイロ」の発売はいつ?
1978年です。袋から取り出し、振るだけで温かくなる使いきりタイプのカイロが商品化されると瞬く間に普及し、ベンジンカイロに取って代わりました。1981年には『貼らないタイプ』のミニサイズ、1988年に『貼るタイプ/レギュラー』が登場するとたちまち普及し、消費量は一気に拡大しました。
■どうして温まる?
鉄を濡れたまま放置しておくとサビが出ることは、ご存知ですね? これは鉄の酸化、つまり鉄が空気中の酸素と反応して酸化鉄になる化学反応です。この化学反応が起こるときに出る熱を利用したものが「使いすてカイロ」なのです。
「使い捨てカイロ」の発熱温度や発熱時間は、通気量と中身のブレンド具合でコントロールされています。発熱の状態をよくするために、鉄粉、塩類、活性炭、保水剤の粒の細かさや種類などを工夫しています。
■「使い捨てカイロ」にはどんな種類がある?
1980年代の後半になると、『くつ用』『座布団用』『くつ下用』『中敷用(インソールタイプ)』『スリッパ用』『きんちゃくタイプ』など用途別のタイプや、受験生向けの『必勝カイロ』、またパッケージにキャラクターをデザインしたファンシー商品も種々登場。これにより、若い女性や子どもの使用が大幅に増えました。そして、この時期から、「日本の冬の必需品」として私たちの生活にみるみる定着していきました。
現在では、体の部位別・専用タイプや、寝るとき専用の低温長時間タイプ、防災用(長期保存タイプ)など、多様な使い捨てカイロが発売されています。
■「使い捨てカイロ」の注意点
「早く温かくならないかな…!」と、袋から出した使い捨てカイロを何度も振ったり、揉んだりしていませんか? 最近の使い捨てカイロは、品質や機能が向上しています。貼るタイプのカイロは振る必要がありませんし、貼らないタイプのカイロも軽く振る程度で十分とされています。
注意すべきは、就寝時のカイロ使用。貼ったままにしていると、低温やけどの恐れが。日中の使用も、肌着やインナーなど、布ごしに貼るようにして、低温やけどや熱さによる乾燥や痒みを防ぎましょう。また、カイロを心臓の近くや頭部、わきの下に貼ると負担になることもあるため、避けたほうが賢明です。
■「カイロ健康法」って知ってる?
1991年、使いすてカイロを使った健康法が話題となり、各メーカーがこぞって「健康」をテーマにした商品開発に力を入れるようになりました。このころから、カイロは冬だけでなく、一年を通して、屋外だけでなく室外でも利用されるようになってきました。
寒気を感じた時には…
冷えを感じる手足の先を中心にカイロを貼るほか、「首のうしろから肩甲骨の間」に貼るのがおすすめです。首のうしろのボコッと出た骨の下にある「大椎(だいつい)」のツボ、あるいは左右の肩甲骨の間にある「風門(ふうもん)」のツボを温めると血流がよくなり、体調の改善につながりますよ。また、カイロをスカーフやバンダナで巻いて首を温める方法も、全身を温めるのにいいとすすめられています。
おなかが冷える&胃腸が弱い人は…
冷たい飲食ですぐにおなかが冷えてしまう人、もともと胃腸が弱い人は、おヘソを中心にカイロで温める方法がいいでしょう。おヘソ周りには、冷えに効く「関元(かんげん)・気海(きかい)・中極(ちゅうきょく)」のツボが集まっています。体温が上がることで、おなかの冷えだけでなく、月経痛の緩和も期待できます。
■カイロによる「環境負荷」の問題も考えたい
「使い捨てカイロ」は「使い捨て」ですから、使用後は当然、廃棄されることになります。 多数のカイロが使われる冬期には廃棄量が膨大になりやすく、ごみ処理や資源の無駄という観点からも、環境負荷への可能性を頭に留めておく必要があるでしょう。
処分方法についても、多くの場合は「可燃ゴミ」もしくは「不燃ゴミ」に分別されますが、一部で金属ごみとして扱われることもあり、分別のルールは各自治体によって違います。必ず自治体のホームページを確認しましょう。また、未使用のカイロは袋を開封し、発熱を終えてから捨てるのが安全です。そのまま捨てると発熱し続ける可能性があり、まれに高温状態が続くことがあります。
■回収・リサイクルの取り組みが進んでいます
たとえば、小林製薬と神戸市が共同で実施している「めぐるカイロプロジェクト」は、使用済みカイロを市内の資源回収ステーションで回収し、中身の鉄粉を「鉄鋼製品の原料」として再利用する試みです。2025年12月から第2期が順次開始予定となっています。
また、一般社団法人GoGreenJapan は、地球環境の保護・改善を目的として設立された団体です。日本全国から送られてくる「使い捨てカイロ」をリサイクルし、水質浄化剤や土壌改良剤としてアップサイクルする活動を行っています。
「使ったら終わり」ではなく、「資源として再利用する」流れが、少しずつではありますが、確実に進んでいます。
■再利用可能なカイロにも注目です!
使い捨てカイロの環境問題への意識の高まりを受けて、「繰り返し使えるカイロ」への注目も高まっています。
たとえば、充電式で使用するガジェットタイプのカイロは、従来の使い捨てタイプとは異なり、何度も繰り返し使えるため、環境にも財布にも優しいサステナブルな製品です。
また大王製作所が販売しているのは、内溶液の化学反応を利用して温めるタイプの「リウォームカイロ(リサイクルカイロ)」。使用後は液体が固体化しますが、約3分~5分茹でることで再利用が可能。環境負荷削減を実現するための、リアルな選択肢と言えるでしょう。
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寒い時期や身体が冷えたとき、カイロはとても便利なアイテムですね。使い捨てカイロ発祥の地である日本は、世界でもっとも多様なカイロが販売され、老若男女に広く使われている国です。近年では、使い捨てカイロの環境負荷が問題となることもあり、廃棄後の処理やリサイクル(あるいは再利用可能なカイロの普及)も意識され始めています。「カイロの日」が、使い捨てカイロを「ただ使う」だけでなく、安全性や環境への影響、適切な使い方について、再考するきっかけになるといいですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /『世界大百科事典』(平凡社) /日本カイロ工業会(https://www.kairo.jp) /小林製薬(https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2025/20251125_01/?utm_source=chatgpt.com) /GoGreenJapan(https://go-green-japan.jp/?utm_source=chatgpt.com) /大王製作所(https://www.daiomfg.co.jp/products/detail/view/676?utm_source=chatgpt.com) /世田谷自然食品(https://www.shizensyokuhin.jp/archives/articles/1214?utm_source=chatgpt.com) :

















