【目次】

「国際ボランティア・デー」とは?由来

■「いつ」?

「国際ボランティア・デー」は12月5日に制定されています。正式には「経済社会開発のための国際ボランティア・デー」といい、英文表記は[International Volunteer Day for Economic and Social Development]となります。

■「誰が」決めた?

1985年12月17日の国連総会で決議されました。国連が定める国際デーのひとつです。

■「どんな」日?

ボランティアの役割や貢献を再認識し、ボランティア参加への啓発活動を行う日です。団体や個人がボランティア活動を推進することで、各国政府による「ボランティア活動の支援」を促すことがひとつの目的。国や地域など国際レベルでの「持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けたボランティアの貢献」を評価する機会でもあります。

世界各国でさまざまなイベントやキャンペーンが実施されます。街中でパレードや展示会などに遭遇することがあるかもしれませんね。清掃活動など、イベントに参加することでボランティア活動ができるという場合もあります。


ビジネス雑談に役立つ「ボランティア」の雑学】

■ボランティアの語源は「自由意志」

「ボランティア」はラテン語の voluntās(ウォルンタース/“自由意志”の意)を語源としています。これは「自由意志」を意味する言葉で、自発性に裏づけられた奉仕者や篤志家(とくしか/社会のために善意で協力・支援をする人)のこと。また、保健や福祉、教育などの現場では、自発的または自主的に「無償の奉仕活動」をする人を指します。

活動の領域は、公園の落ち葉拾いなど地域の活動など身近なものから、発展途上国での教育や医療、農業支援などの国際ボランティアまで多岐に渡ります。

■日本と海外のボランティア事情

「ボランティア」の活躍や活動が注目されやすいのは災害時ですね。現地での作業支援や、企業などからの物資支援など、ニュースで見聞きすることがあるでしょう。日本のボランティア参加率は、国際的に見ると分野によって差があり、必ずしも高水準とは言い切れません。特に、ボランティア活動を“特別な行為”として捉える人が多いことが、参加のハードルになっているとも指摘されています。日本人の真面目な気質や、ボランティアを特別な行為だと思っている人が多いからのようです。小中学校などでボランティア活動をする機会が少ないことも、特別視してしまう要因かも。

ボランティアは「身近なサポート」という感覚の国もあります。「ボランティア先進国」として知られるのはアメリカ。教育や社会貢献への意識が高い文化が根付いているからです。ニュージーランドやカナダ、オーストラリアも社会貢献意識が高く、ボランティア活動も盛ん。スウェーデンは社会福祉制度が充実しており、ボランティア活動への参加も比較的高い水準にあります。また、仏教の教えである「布施」の精神が根付いている国や地域も、ボランティア活動が盛んといわれています。

■ハードルを下げた「スキル・ボランティア」

「スキル・ボランティア」というワードをご存知ですか? これは、自身のスキルや経験を活かして社会貢献を行うこと。一般的には「プロボノ」を指します。「えっ、プロボノ?初めて聞いた」という方もいらっしゃるでしょう。「プロボノ」は「公共善のために」と意味するラテン語「Pro Bono Publico」を語源とする言葉。仕事などで培った専門スキルを提供することで、NPOや市民活動の課題解決を支援する活動です。

「ボランティア」は専門スキルがなくてもできることが多いのですが、かえって「きっかけがない」「何をしたらいいかわからない」ということもあるようです。自分の得意なことを生かす「スキル・ボランティア」のほうが参加しやすく、ハードルが低いボランティアといえるかもしれませんね。

■これならできそう?身近なボランティア

・パークボランティア:環境省の政策分野のひとつ。国立公園で、自然観察会等の解説や美化清掃、利用施設の簡単な維持修理などの活動をします。自然保護の普及啓発を図ることを目的として、これらの活動に自発的に参加する人を「パークボランティア」として登録します。募集時に開催する研修を受けることが登録要件です。

・援農ボランティア:「繁忙期だけ人手がほしい」「時短で作業を手伝ってほしい」「農業の楽しみを知ってもらいたい」といった農家の要望に応えるのが「援農ボランティア」。農業労働力不足が深刻化しているなか、農業に関心のある一般市民の力を借りて労働力不足を軽減しようという試みです。

・動物愛護ボランティア:保護された犬や猫などが新たな家族と出会うまでの間の預かりや、散歩や運動サポート、物資支援や募金などを行うボランティアなら、参加しやすいというひともいるのでは? 自治体で募集することもあるようなので、住んでいる地域で検索すると、該当募集が見つかるかもしれません。

・スポーツ大会のサポートボランティア:スポーツ大会は規模が大きくなるほどボランティアは欠かせず、その人数も膨大になります。2021年の東京オリンピックでは、フィールドキャスト(大会ボランティア)とシティキャスト(都市ボランティア)を合わせて、約11万人のボランティアとして活動しました。

また、東京の中心部を走る国際的な市民マラソン大会「東京マラソン」では「走れなくても大会に関わりたい」という人も多く、ボランティア希望者が殺到。毎年抽選になるほどの盛況ぶりです。なんと、「ボランティアをする人の受付をサポートするボランティア」まで募集されるのだとか。

・ヘアドネーション:病気や事故などで髪の毛を失った子どのに、人毛の医療用ウィッグを無料で提供する活動です。2015年に柴咲コウさんがヘアドネーションしたことを自身のSNSで公表して一気に知られることとなり、活動に参加する人が増えたといわれています。さまざまな団体がヘアドネーションの寄付を受け付けています。一般的な条件は「31cm以上の髪の毛」ですが、なかには15〜20cmから受け付ける団体もあります。また、カラーリングやパーマをしていても寄付できる場合が多いようです。

***

国連は、ボランティア活動の果たす役割がいかに大きいかということや、個々が社会に貢献できることがあると知ってもらうようにはたらきかけることを各国政府に求めています。ボランティア活動に積極的に参加しようという機運が高まることが望ましいのです。12月5日の「国際ボランティア・デー」をきっかけに、「私にもできること」を考えてみませんか?

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『世界大百科事典』(平凡社)/『すぐに役立つ366日記念日事典』(創元社)/環境省( https://www.env.go.jp/nature/park/volunteer.html )/農林水産省・農林水産政策研究所( https://www.maff.go.jp/primaff/seika/pickup/2022/22_08.html ) :