【目次】

【「成道会」とは?由来】

■「読み方」は?

「成道会」は「じょうどうえ」と読みます。「じょうどうかい」ではありませんよ!

■「意味」は?

仏教の創始者であるお釈迦さまは、菩提樹の下で長い座禅修行を行い、12月8日の明け方に悟りを開いたと伝えられています。

お釈迦さま​が悟りを開いて仏(覚者)となったことを「成道」といい、これを記念して修する法要が「成道会」です。釈迦の三大法会のひとつで、毎年12月8日に行われています。禅宗では特に重視され、修行の節目でもあります。別名、臘八会(ろうはちえ)。


【ビジネス雑談に役立つ「成道会」の雑学】

■お釈迦さまの生涯とは?

お釈迦さまとなる「ゴータマ・シッダールタ(釈迦牟尼)」は、紀元前6世紀ごろ※、インドとネパール国境沿いの小国に、王族として生を受けました。若くして結婚し、豊かな生活を送っていました。しかし、老・病・死・出家という「四門出遊」という人生の苦しみに強い衝撃を受け、29歳のときに身分を捨てて出家しました。修行者として6年間の厳しい苦行を積み、35歳のときに菩提樹で座禅修行を行った際に悟りを得たとされています。

以後、45年間はガンジス川流域を巡り、人々に仏教の教えを授け、弟子を増やしました。そして80歳になったころ、あと3か月で自身が入滅することを弟子に伝え、「自らを灯とし、自らを拠り所とせよ」とし、終焉の地であるクシナガラで涅槃を迎えたと伝えられています。

※お釈迦さまについては、80年の生涯については確実とされていますが、誕生と没年に関しては、紀元前5世紀であるなど、いくつかの説があります。

■「三大法会」とは?

「成道会」は、「灌仏会(かんぶつえ)」、「涅槃会(ねはんえ)」と共に、釈迦の「三大法会(さんだいほうえ)」とされ、重んじられています。平安・鎌倉期には広まり、江戸時代には寺で行われる年中行事として定着したとされています。

灌仏会とは…
4月8日のお釈迦さまの誕生を祝う行事を指し、「仏生会(ぶっしょうえ)」「降誕会(ごうたんえ)」「浴仏会(よくぶつえ)」「龍華会(りゅうげえ)」「花まつり」などとも呼ばれています。

お釈迦さまの誕生については、説話として有名なエピソードがあります。生まれてすぐに七歩歩み、一方の手で天を指して「天上天下唯我独尊」と唱えたというものです。これは史実としてではなく、人間の尊厳やいのちの価値を象徴的に表した伝承として広く語られています。

「天上天下唯我独尊」は、「誰もが本来、かけがえのない存在である」という教えを示すものとされ、自分自身と他者を大切にする心を促す言葉として用いられています。

涅槃会とは…
「涅槃会」とは、陰暦2月15日に行われる法会を指し、お釈迦さまの命日に由来します。

「涅槃」とは、肉体を捨て、迷いのなくなった境地であり、苦しみが消滅した状態を意味します。お釈迦さまがこの世での命を終えた(入滅)ことにより、身体的な苦からも脱して完全な「涅槃」に至ったことから、「涅槃会」が生まれました。実はお釈迦さまの命日は不明なのですが、中国で2月15日に行われる「涅槃会」が日本にも伝わり、そのまま定着したといわれています。

成道会には何をする?

宗派によって細部は異なりますが、一般的には…

・法要(読経・法話)を行い、悟りの日を讃える。
・お釈迦さまの悟りの意味を振り返る。
・修行の初心・慈悲の心を確認する。
・スジャータの乳粥にちなんだお粥を振る舞う。
・禅宗では「成道会接心(せっしん)」と呼ばれる座禅を行う。

などが行われます。

■成道会の象徴となる星は?

お釈迦さまは12月8日の明け方を迎えるころ、東の空に輝く金星を見て悟りを開かれたといわれています。そのため、「明星(金星)」は、「迷いを破る智慧の光」 として象徴的に語られています。

■成道会におすすめの過ごし方

・瞑想(座禅)をする
お釈迦さまが悟りを得た、明け方の座禅修行にならい、朝の静かな時間に数分、瞑想してみてはいかがでしょう。心がゆったり整うかもしれません。

・自分にとっての「執着(こだわり)」を書き出してみる
お釈迦さまの悟りの核心のひとつは、「苦しみは執着から生まれる」ことだったそうです。人間関係のしがらみや他人への過剰な期待など、自分がこだわってしまうものを書き出してみましょう。「これは手放してもいいな」と思えたら、きっと心が軽くなるはずです。

・お粥をいただく
悟りを開くためにお釈迦さまが苦行を行った際、村娘スジャータから乳粥の施しを受けて体力を回復させたといわれています。この伝説にちなみ、一部のお寺では粥が振る舞われます。野菜中心のメニューやお粥をいただくのも、成道会らしい過ごし方と言えるでしょう。

・近くのお寺の成道会法要に参加する
多くの寺院では12月8日に法要や法話を行っています。「成道会」は堅苦しい行事ではなく、おだやかにお釈迦さまの教えに触れるよい機会です。

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お釈迦さまが悟りを開いたことに由来する法会が「成道会」です。「成道会」が行われる12月8日は師走にあたり、一年の締めくくりとして「心の大掃除」をするにもぴったりのころ。慌ただしい時期だからこそ、「自分は不必要なことに囚われていないか」「来年はどう過ごしたいか」など、じっくり自分と向き合い、「心を整える日」としてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
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