【目次】

「音の日」とは?由来

■「いつ」?

「音の日」は12月6日です。

■なぜこの日付に?「由来」

1877年12月6日、トーマス・エジソンが蓄音機「フォノグラフ」を発明したことにちなみ、日本オーディオ協会が、音と音楽文化の大切さを広く認識してもらうことを目的に制定しました。「オーディオの誕生日」という意味合いもあります。

■「何を」する?

日本オーディオ協会は、日本音楽スタジオ協会、日本レコード協会など、音にかかわる団体と共同して「音の日」にセレモニーを開催しています。一部をご紹介しましょう。

・音の匠:音・音楽・オーディオなどの分野で卓越した能力をもち、音を通じて文化創造や社会貢献した個人、または組織を「音の匠」として顕彰します。

・ReC♪ST(レックスタ):学生が制作する音楽録音作品のコンテスト。企画力や録音技術における優れた「音楽録音作品」を表彰します。音にかかわるプロの審査を受けられる貴重な機会です。


ビジネス雑談に役立つ「音」の雑学】

■エジソンの金言!

「音の日」の由来となったトーマス・エジソンはアメリカの発明家。生涯で取得した特許はなんと1300件を超え、「最後の発明王」と呼ばれています。そのエジソン終生の信条が、「天才とは99%が発汗であり、残りの1%が霊感である」。そして、晩年には発明を続けるための資金を得ようとして、私はいつも発明してきたと述懐しています。絶えず創造的な活動を続けた、粘り強い発明家の心境がうかがえます。

■イヤホン難聴にご注意を!

大きな音にさらされることで起こる難聴を「騒音性難聴」あるいは「音響性難聴(音響外傷)」といいます。音響性難聴は、爆発音やコンサート会場などの大音響にさらされることで発症するだけでなく、ヘッドホンやイヤホンで大きな音を聞き続けることによっても起こりえます。そして、後者は「ヘッドホン難聴」あるいは「イヤホン難聴」と呼ばれ、特に近年問題視されています。WHO(世界保健機関)では、10億人もの世界の若者(12~35歳)が、個人用オーディオ機器、バー、音楽イベント、スポーツイベントなどによる音響性難聴のリスクにさらされていると警鐘を鳴らしています。

イヤホンやヘッドホンを日常的に利用している人も多いでしょう。イヤホン難聴の怖い点は、症状が少しずつ、ジワジワと進行すること。初期には「聴こえにくい」などの症状を自覚しにくいのだとか。ほかの症状として、耳閉感(耳が詰まった感じ)や耳鳴りを伴う場合も。聴力は重症化すると回復が難しいため、耳の違和感に気づいたら早めに専門医の診察を受けることが大切です。

■すぐれた聴力をもつイルカの耳はどこに?

音の感知や発声が特殊だといわれるイルカ。発する声は数キロヘルツから200キロヘルツに及びますが、その発音機構については解明されていません。耳孔は体外に開いていませんが、中耳と内耳の基本的な構造は陸上哺乳類とほとんど差がないのだとか。音は体の表面、あるいは下顎の骨の先から伝わっていると考えられています。

イルカの声の機能のひとつは、反射音を利用して水中の物体を探知すること。直径数ミリの鉄球も識別する能力があるのです。そしてもうひとつの働きは仲間との交信。イルカの生態の大事な部分は「音」が占めているのですね。

■クジラの場合はどう違う?

クジラもイルカと同じく「鯨類」に属し、耳の構造そのものはよく似ています。ただし、音の使い方には大きな違いがあります。イルカ(歯クジラ類)が高周波の音を発してエコーロケーション(反響定位)で周囲を“見る”のに対し、ヒゲクジラ類は超音波をほとんど使わず、低周波の長い「歌声」で仲間とコミュニケーションを取ります。なかには、数百キロ先まで届くほどの低音を発する種類も。

同じ海で暮らす仲間でも、イルカは高音域の「精密な探知」、クジラは低音域の「遠距離通信」と、生態に合わせて音の活用法を進化させてきたのです。

■心地いい音「1/fゆらぎ」

リラックスできる音というと、小川のせせらぎや小鳥のさえずり、風にそよぐ葉ずれの音、雨音など、自然界の音が思い浮かぶのでは? これらは「1/fゆらぎ」という、適度な規則性と不規則性のバランスがとれているリズムをもった音で、「人間にとって心地よく、心身に良い影響を与える音」に多く見られる波形の法則性や特性が見られます。自然界の音以外にも、電車が揺れる音や、子宮内で赤ちゃんが聴く母胎音なども「1/fゆらぎ」を持つといわれています。

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12月6日の「音の日」は、エジソンの発明をきっかけに生まれた、音や聴覚について改めて考えるための記念日です。冬はイヤホンを使う時間が長くなり、室内で大きな音に触れる機会も増える季節。だからこそ、耳の健康を守る意識がより大切になります。2025年11月には聴覚に障害があるアスリートによる国際スポーツ大会「東京2025デフリンピック」が開催されたので、通常より「聴覚」を意識した方も多かったかもしれません。

情報があふれる時代にあって、私たちの日常は“音”に支えられています。会議での声のトーン、音楽がもたらすリラックス、静けさが生む集中――。耳を大切にすることは、仕事のパフォーマンスや心のコンディションにも直結します。

「音の日」を機に、イヤホンの音量を少し下げてみたり、自然の音に耳を澄ませてみたり。自分の感覚にそっと向き合う時間は、忙しい季節を穏やかに乗り切るための小さな助けになります。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/厚生労働省( https://kennet.mhlw.go.jp/home/ ) :