【目次】

【冬が“本気を出す日”。二十四節気「大雪(たいせつ)」とは?】

■「大雪」はなんと読む?

二十四節気の「大雪」は「たいせつ」と読みます。「だいせつ」ではありません。

■「大雪」とは?

太陰太陽暦で、季節を正しく示すために用いたものを「二十四節気(にじゅうしせっき)」と呼びます。1太陽年(1年)を太陽の黄経によって24等分し、その分点に節気と中気を交互に配列し、それぞれに季節の名称を与えました。「大雪」はそのひとつ。本格的な冬の到来を告げる節気です。

■いつ?

「立冬」の30日後、新暦では12月7日ごろにあたります。2025年は12月7日。ちなみにこの先、2026年も2027年も12月7日ですが、2028年の「大雪」は12月6日です。季節のうえではちょうど初冬のなかごろ。都市部では風の弱い日にスモッグが発生しやすく、本土の日本海側では大雪(おおゆき)が降ることも。

■名称の由来

「すでに山の峰が積雪に覆われている時期」を表すので「大雪」と言います。今年の冬は気象予報機関の見解として、早めの寒気到来と日本海側を中心とした大雪リスクが指摘されており、すでに豪雪地帯だけでなく、「大雪」を迎える前に記録的な積雪に見舞われている地域も。猛暑だけでなく冬季の気象状況の変化が心配されます。


【冬の入り口を味わう。大雪のころに訪れる“行事と旬の恵み”】

12月上旬といえばお歳暮の時期。贈ったり贈られたりも減少傾向ではありますが、日本の12月の風物詩として未だ健在です。「大雪」のころの行事や旬の食材などをご紹介しましょう。

■静かに手を休める日──日本に息づく「針供養」の物語

古い針や折れた針を供養し、裁縫の上達を祈る行事です。この日は針仕事を休み、用の済んだ針を豆腐やこんにゃく、餅などに刺して川へ流したり、近くの社寺で供養してもらうのが一般的。2月8日もしくは12月8日に行われます。

この両日は「こと八日(ようか)」と呼ばれ厄日と考えられています。一つ目小僧や厄病神が来るともいわれ、「山へは入るな」とか「仕事を早く切りあげて家で静かに過ごせ」といった伝承が東日本を中心に存在。「針仕事を休む」というのも、「こと八日」が仕事を避けて忌籠(いみごもり)すべき日だからのようです。

■野菜寒さが育てるごちそう。「大雪」のころに特においしい冬野菜たち

・仙台白菜:宮城県内で栽培・出荷された、伝統種(在来の品種)と慣行種(品種改良されたもの)を「仙台白菜」といいます。特に伝統種には「仙台白菜」のシールが貼られるので、見かけたら試してみては? 葉が柔らかく甘みが強いのが特徴です。

・下仁田ネギ:一般的な長ねぎに比べて白根の部分が太く、短いのが特徴。生で食すには強い辛みも、加熱することでとろけるような柔らかい食感になり、独特の甘みと香りに変化します。

・練馬大根:青首大根と比べて、長く中太りの形状が特徴。肉質が締まっていて乾きやすいことから干し大根に適した品種で、たくあん漬けに用いられます。根の先ほど辛みが強いため、大根おろし用にも人気です。

・金沢春菊:別名ツマジロとも呼ばれ、一般的な春菊に比べると葉が広くて柔らかく、甘いのが特徴。独特の香りもクセが抑えられ、その柔らかさからも生のままサラダで食べるのもおすすめです。

・京壬生菜(きょうみぶな):ほんのり辛子の香りをもち、京漬物の千枚漬けに添えられる高級野菜として扱われてきました。油揚げとの煮物、サッとゆがいての和え物、サラダなど、用途が豊富な京野菜です。

・泉州(せんしゅう)キャベツ:大阪の南西部、泉州地域では“冬キャベツ”が主体。お好み焼きの食材や生食用として人気が高い「松波」という品種が中心です。加熱してもくずれず甘みが増すため、煮込み料理にも最適。

■「寒」のつく魚はなぜおいしい?

ブリ、アンコウ、トラフグ、ホタテ……魚介類は「大雪」のころに最もおいしい時期を迎えるものが多いですね。特に「寒ブリ」「寒サワラ」などは、この時期に脂がのってさらにおいしくなることから「寒」を付けた名称で販売されます。なぜ脂がのるのかというと、回遊魚であるブリやサワラは移動距離が長く、冬の荒波を泳ぐために脂肪を蓄える必要があるから。産卵前にあたる雌のブリは、産卵のエネルギー源としても脂肪を蓄えるのだそう。


 【冬本番!今すぐ整えたい「暮らしの冬支度」】

「大雪」を迎えていよいよ冬本番です。冬支度はもうすんでいますか? 「大雪」のころに整えたい「暮らしの冬支度」のポイントを確認しましょう。

■環境を整える|窓・空気・温度。冬の快適さは“見えない場所”の準備が鍵

衣類や寝具を冬仕様にし、暖房器具の点検もしたいところ。エアコンのフィルターは、こまめに掃除することで性能を保つことができます。

気にはなっているけれど手が回らないという人が多そうなのが、窓からの寒気対策。カーテンは厚手の生地で床すれすれまでの長さ、二重カーテンにするのも寒気対策に有効です。断熱性にすぐれたハニカム構造のシェードは、六角形の隙間に温まった空気を保有する注目のアイテム。窓に断熱シートを貼ったり、サッシに隙間テープを貼るのも効果が期待できそうです。

ウィルスは乾燥が大好き! 湿度40%を下回ると活動が活発になるといわれています。60%以上だとダニやカビの発生率が高くなるそう。冬季の室内適正湿度は40~50%と心得て、適切に加湿器などを使用したいものです。

■忙しい年末こそ基本に戻る。冬の体調管理のコツ

当たり前すぎることですが…十分な「睡眠」と「栄養」「規則正しい生活」が大切! 特に起床時間を一定に保つと生活のリズムが整いやすいといわれています。いずれも免疫力を上げることにつながりそう。

こまめな手洗い、必要に応じたうがい、人混みでのマスク着用など、基本中の基本も忘れずに!

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大雪を迎えるころ、自然はゆっくりと冬の色を深め、私たちの生活も次の季節へと静かに移行していきます。慌ただしい年末にあってこそ、季節の行事や旬の食材に目を向けることは、心を整える小さな“余白”になるもの。

窓の断熱を見直す、睡眠のリズムを整える、旬の恵みを食卓に加える──。そんな些細な冬支度が、仕事にも暮らしにも心地よいリズムをもたらしてくれます。

一年の終わりに立つこの時期。「整える冬」を合言葉に、自分の暮らしと向き合う時間をつくってみませんか。きっと、凛とした新しい年へ向けての準備が整っていくはずです。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/農林水産省(https://www.maff.go.jp/index.html )/厚生労働省( https://www.mhlw.go.jp/index.html ) :