Special Discussion|ジャケットは今、生き方を表すポジティブな存在に
今回は著述家/服飾史家の中野香織さんと、「Precious」創刊に携わり、22年にわたってキャリア女性のファッションを提案し続けてきたスタイリストの大西真理子さん、「Precious」エディトリアル・ディレクターの喜多容子、3人によるスペシャル ディスカッションをお届けします。
3人の考察から見えてきた新・ジャケット進化論とは?
Special Discussion|3人の考察から見えてきた新・ジャケット進化論
「Precious」創刊から22年。これまで、働く女性の傍(かたわ)らには常にジャケットがあるファッションを提案し続けてきましたが、今、ジャケットの機能性や社会的な役割はパラダイムシフトの真っ只中! 今特集の企画立案に関わった「Precious」エディトリアル・ディレクターの喜多はこう言います。
「かつてジャケットは権威や格式を表す象徴でしたが、この春、私たちが手にする一着は、まさにその対極にあるもの。最新のジャケットは、構築的な美しさを保ちながらも、角のとれたソフトなシルエットやニュアンスカラーなど、おしゃれで好印象なものばかりです」。
スタイリストの大西さんも、あるときにジャケットの変化を街中で感じ取ったと証言します。
「5〜6年程前に若い世代が急にジャケットを着だしたときがあって、その頃からジャケットの位置づけがフォーマルからファッショナブルなものに、より大きく転換していったように思います。ルーズフィットやオーバーサイジングが多くなり、裾野がどんどん広がっていった印象。特にウィメンズジャケットの進化には目を見張るものがあります」
こういったジャケットの進化の背景には、重層的な価値観の変化があったと服飾史家の中野さんは指摘します。
「2000年代以降、IT業界に端を発した脱スーツ化の波、そして管理職と専門職の女性の増加は、ジャケットを“権威” から “自由と個性” を両立するツールへと解放しました。さらに2020年初頭から始まったコロナ禍では、オンラインの画面越しでも視覚的な信頼を得られるジャケットの価値が再認識され、その後、クワイエット・ラグジュアリーが台頭する頃には、“自分らしいスタイルを表すためのジャケット” という境地にたどり着きました。同時に若年層に広がるジェンダーフルイドな感覚も、今どきのニュートラルなシルエットを生み出したといえます」と分析。
多くの女性が、仕事、家事、育児、介護…などの役割をマルチで同時にこなさなければならない時代に、パブリックの顔とプライベートの顔を使い分けることなくいられるマルチオケージョナルなアイテムとして、ジャケットはまさにベストな選択。
「共感と調和が重視される現代において、ジャケットは周囲と軽やかにつながり、対話を円滑にするための最も洗練された“社会とのインターフェース”といえるかもしれません」と中野さん。
また、この傾向は国内だけでなく、グローバルでも同様だそう。「データ的にも、女性向けジャケットは世界的に拡大市場。2005年に730億ドル規模だったのが、2031年には950億ドル規模に成長するだろうという予測を出しているところもあります(※)」。
確かにいえることは、ジャケットのおしゃれは、これからもますます楽しくなりそう!
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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問い合わせ先
- PHOTO :
- 伊藤彰紀(aosora)
- STYLIST :
- 大西真理子
- HAIR MAKE :
- ヘア/TETSUYA YAMAKATA(SIGNO)、メイク/津田雅世(mod's hair)
- MODEL :
- 立野リカ(Precious専属)
- EDIT&WRITING :
- 下村葉月、安村 徹(Precious)

















