【目次】

「世界遺産の日」とは? 意味・由来・いつなのか解説

■7月7日は「世界遺産の日」

2005(平成17)年3月、和歌山県世界遺産条例で制定された「世界遺産の日」。「和歌山世界遺産の日」とも呼ばれます。

■由来

2004(平成16)年の7月7日に、和歌山県・三重県・奈良県にまたがる「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界文化遺産に登録されたことに由来します。これに基づき、和歌山県の条例では「人類のかけがえのない財産を守り活用しながら将来世代に引き継ぐ」と規定。7月1日~7日を「世界遺産週間」としています。


【世界遺産とは? ユネスコとの関係をわかりやすく説明】

■さくっと解説!世界遺産とは?

世界遺産条約に基づき、人類共通の宝物として未来の世代に引き継いでいくべき文化財や遺跡、自然環境として、世界遺産委員会に登録された文化遺産や自然遺産を「世界遺産」と言います。「世界遺産」には「文化遺産」「自然遺産」「複合遺産」の3種があり、196の世界遺産条約締約国中、170の国と地域に世界遺産が存在。2025年7月6日~16日にフランス・パリのユネスコ本部において、第47回世界遺産委員会が開催されたのが最新です。文化遺産21件、自然遺産4件、複合遺産1件の、合わせて26件の追加登録が決定しました。2026年7月現在、世界中で1248件が登録されています。

■世界遺産は誰が決める?

世界遺産といえばユネスコですが、「ユネスコは世界遺産を決める機関」だと思っていませんか? 大きく間違ってはいませんが、正しいともいえません。世界遺産登録を決定するのは「世界遺産委員会」。これは最高意思決定機関で、ユネスコはその活動を支え、世界中の遺産を守るための実務を担っています。

■ユネスコの役割

ユネスコとは、国際連合教育科学文化機関のこと。英語で表すと[United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization]で、それぞれの頭文字をとって「UNESCO」です。その名称の通り、教育、科学、文化を通じて諸国民間の協力を促進することを目的とする、フランスのパリに本部を置く国連内の機構で、日本は1951(昭和26)に加盟しました。

世界遺産を“人類共通の遺産”として保護・保全していくための国際的な協力体制を築く国際条約として、ユネスコは1972(昭和47)年に「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(通称「世界遺産条約」)を採択。世界遺産は人類全体で守り伝えていくべき人類共通の遺産であるとして、日本ユネスコ協会連盟では、草の根レベルでの保護・保全活動を進めています。


【世界遺産の登録基準一覧|文化遺産・自然遺産の違い】

世界遺産に登録されるには、「顕著な普遍的価値」があることが前提です。そのうえで、世界遺産条約の作業指針に定められた10の登録基準のうち、少なくともひとつを満たす必要があります。

基準1〜6は主に文化遺産に関するもので、建築・都市計画・文化的伝統・歴史的景観・思想や信仰との関わりなどが評価されます。基準7〜10は主に自然遺産に関するもので、自然美、地球の歴史、生態系の進化、生物多様性や絶滅危惧種の保全などが評価の対象です。

文化遺産と自然遺産の両方の基準を満たすものは、「複合遺産」として登録されます。日本には文化遺産と自然遺産はありますが、2026年7月時点で複合遺産は登録されていません。

 

登録基準 内容 区分
(1) 人類の創造性を示す傑作 文化遺産
(2) 建築・技術・都市計画などにおける価値観の交流を示すもの 文化遺産
(3) 文化や文明を伝える希少な証拠 文化遺産
(4) 歴史上重要な建築物・技術・景観の代表例 文化遺産
(5) 伝統的な居住や土地利用を示す代表例 文化遺産
(6) 思想・信仰・芸術・文学・出来事と深く関わるもの 文化遺産
(7) 卓越した自然美や自然現象をもつ地域 自然遺産
(8) 地球の歴史や地質・地形の成り立ちを示すもの 自然遺産
(9) 生態系や生物進化の過程を示すもの 自然遺産
(10) 生物多様性や絶滅危惧種の保全上重要な地域 自然遺産

※登録基準は、UNESCO World Heritage Centre「The Criteria for Selection」および「Operational Guidelines for the Implementation of the World Heritage Convention」をもとに編集部で要約。

次に、「世界自然遺産」と「世界文化遺産」について解説しましょう。

■世界自然遺産とは

貴重な自然環境や自然景観、地形や希少な生物の生息地、生態系など、地球が何十億年もかけてつくり上げてきた人工的でないものや地域を言います。「自然遺産」とも。前述の世界遺産登録基準のうち、7~10の「圧倒的な美しさ」「地球の歴史の証拠」「動植物の進化のプロセス」「生物多様性と絶滅危惧種」が自然遺産の条件です。

■世界文化遺産とは

自然遺産は人間の手が入っていない場所や生態系などですが、世界文化遺産は人類がつくり上げてきた、過去の文明や文化の象徴といえるものが認定されます。「文化遺産」とも言います。世界遺産登録基準のうち1~6が文化遺産の条件。歴史に残る見事な建築や彫刻、遺跡、ある重要な時代を代表するような建物や集落、思想や信仰と深く結びついた場所など。3種類ある世界遺産のなかでもっとも数が多いのが文化遺産で、全体の約8割を占めています。

■世界複合遺産とは?

3つめの世界遺産のカテゴリー。日本には登録されている場所やものがないので「知らなかった!」という人もいるでしょう。世界複合遺産とは、文化遺産としての価値と自然遺産としての価値の両方を兼ね備えている世界遺産のこと。文化遺産の基準からひとつ以上、自然遺産の基準からひとつ以上を同時に満たしていなければ登録されない、極めて珍しい遺産です。

例えば、ペルーの「マチュピチュの歴史保護区」。15世紀のインカ帝国が標高2,400mの尾根に築いた、見事な石造りの空中都市遺跡であることが文化的価値。周辺の断崖や熱帯雨林のグラデーションが美しく、希少なランの自生地や絶滅危惧種のメガネグマなどが生息する豊かな生態系が自然的価値です。


【日本の世界遺産一覧|最新登録地も紹介】

■日本の世界遺産一覧

2026年3月現在、日本は文化遺産21件、自然遺産5件、計26件が世界遺産に登録されています。

登録された順に見てみましょう。□が文化遺産、▽が自然遺産です。

・1993(平成5)年登録:□法隆寺地域の仏教建造物(奈良県) □姫路城(兵庫県) ▽屋久島(鹿児島県) ▽白神山地(青森県・秋田県)

・1994(平成6)年登録:□古都京都の文化財:京都市、宇治市、大津市(京都市・滋賀県)

・1995(平成7)年登録:□白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜県・富山県)

・1996(平成8)年登録:□原爆ドーム(広島県) □厳島神社(広島県)

・1998(平成10)年登録:□古都奈良の文化財(奈良県)

・1999(平成11)年登録:□日光の社寺(栃木県)

・2000(平成12)年登録:□琉球王国のグスク及び関連遺産群(沖縄県)

・2004(平成16)年登録:□紀伊山地の霊場と参詣道(三重県・奈良県・和歌山県)

・2005(平成17)年登録:▽知床(北海道)

・2007(平成19)年登録:□石見銀山遺跡とその文化的景観(島根県)

・2011(平成23)年登録:▽小笠原諸島(東京都) □平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群(岩手県)

・2013(平成25)年登録:□富士山-信仰の対象と芸術の源泉(山梨県・静岡県)

・2014(平成26)年登録:□富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県)

・2015(平成27)年登録:□明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(福岡県、佐賀県・長崎県・熊本県・鹿児島県・山口県・岩手県・静岡県)

・2016(平成28)年登録:□ル・コルビジェの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献(東京都)

・2017(平成29)年登録:□「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群(福岡県)

・2018(平成30)年登録:□長崎と天草の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県・熊本県)

・2019(令和元)年登録:□百舌鳥・古市古墳群-古代日本の墳墓群(大阪府)

・2021(令和3)年登録:▽奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(鹿児島県・沖縄県) □北海道・北東北の縄文遺跡群(北海道・青森県・岩手県・秋田県)

・2024(令和6)年登録:□佐渡島の金山(新潟県)

■日本初の世界遺産は?

「法隆寺地域の仏教建造物」「姫路城」「屋久島」「白神山地」が日本初の世界遺産。同時に4件が登録されたので、どれかひとつが「日本最初の」という訳ではありません。

■最新の世界遺産は?

2024(令和6)年7月に、第46回世界遺産委員会で世界文化遺産に登録された新潟県の「佐渡島(さど)の金山」です。「佐渡島の金山」は17世紀における世界最大の金生産地である西三川砂金山と相川鶴子金銀山からなります。世界各地の鉱山で機械化が進む以前から、そして機械化が進んだ時代においても、日本独自の手工業による採鉱・製錬技術を発展させたことが評価されました。


【世界遺産はなぜ守る必要がある?】

世界遺産として登録されているものは、地球の歴史や人類の歩みを示す唯一無二の宝物。一度壊れたり失われたりすると、二度と取り戻せないので国境を越えて人類全体で守る必要があるのです。世界遺産として登録することで、過去から受け継いだ多様な文化や豊かな自然を次の世代へ引き継ぎ、未来の地球の多様性を維持するために不可欠な活動が行われたり、支援が広がったり。私たちが関心を持ち続けることが大事なのです。


【危機遺産とは? 消滅の危険がある遺産を解説】

世界遺産としての「顕著な普遍的価値」が危機に直面している遺産は、「危機にさらされている世界遺産リスト(危機遺産リスト)」に記載され、世界遺産条約加盟国の協力を得ながら、危機を取り除く努力がなされます。

世界遺産の危機の原因としては、戦争や紛争による遺産破壊、密猟や不法伐採などの自然破壊、地震などの自然災害、過度の観光地化や都市開発などが。それらの危機を取り除くために「世界遺産基金」なども使われます。

危機遺産として登録されている世界遺産には、「バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群」(アフガニスタン)や「スマトラの熱帯雨林遺産」(インドネシア)、「ウィーン歴史地区」(オーストリア)などがあります。

■危機遺産からの復活も!

アンコール・ワットやアンコール・トムで知られるクメール王朝の遺跡「アンコール」(カンボジア)は、内戦後の保全体制の不備や遺跡の劣化、盗掘などが課題となり、1992年に世界遺産リストに登録されると同時に、危機遺産リストにも登録されました。その後、日本とフランスが共同議長を務める国際調整委員会(ICC-Angkor)を中心に、各国や関係機関による保護・修復支援が進められ、2004年に危機遺産リストから解除されました。


【世界遺産ランキング|登録数が多い国はどこ?】

2026年7月上旬時点で、世界遺産の登録数が最も多い国はイタリアです。UNESCOの世界遺産リストによると、上位はイタリア61件、中国60件、ドイツ55件、フランス54件、スペイン50件となっています。ヨーロッパの歴史都市や文化遺産を多く抱える国が上位に並ぶ一方、中国も自然遺産・文化遺産の双方で登録数を伸ばしています。

日本は26件で、現在アメリカと同じ11位です。

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危機遺産はなくなることが理想で、そのための支援や活動が他国から行われる場合も。一方で、世界遺産としての「顕著な普遍的価値」が失われたと判断された場合は、世界遺産リストから削除されることもあります。これまでに、オマーンの「アラビアオリックスの保護地区」とドイツの「ドレスデン・エルベ渓谷」、英国の「リヴァプール海商都市」が削除されてしまいました。

7月7日は和歌山県世界遺産条例による「世界遺産の日」ですが、世界で危機に瀕している世界遺産についてもちょっと考えてみませんか?

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『世界大百科事典』(平凡社)/公益社団法人日本ユネスコ協会連盟( https://www.unesco.or.jp/activities/isan/about-worldheritage/ )/文部科学省( https://www.mext.go.jp/unesco/003/001.htm )/外務省( https://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/ranking/isan.html ) :