【目次】

【「日本なまずの日」とは? 意味・いつ制定されたのか】

■「いつ」?

「日本なまずの日」は7月10日です。

■「意味」は?

インターネット上では、なまずの生産・養殖などを行う日本なまず生産株式会社が、日本固有の真なまずを食文化・食材として広めることを目的に制定した記念日と紹介されていますが、制定者や制定目的を確認できる一次情報はなく、詳細は不明です。


【なぜ7月10日? 「日本なまずの日」の由来を解説】

日付は、「7(な)10(まず)」という語呂合わせに由来するともいわれていますが、こちらも詳細は明らかではありません。


【ナマズと地震の関係とは? 「地震を予知する」は本当?】

■「ナマズが暴れると地震が起こる」は古くからの伝承

日本には古くから、「大地震の前にナマズが激しく暴れた」といった言い伝えが数多く残されています。ナマズは泥の中に生息しているため、地殻のわずかな変動や振動を人間よりも早く察知しやすいと考えられたことから、江戸時代以降、地震と結びつける民間信仰が急速に広まりました。

■東京都水産試験場などによる研究結果は?

実際にナマズの行動と地震の関連性を突き止めるため、公的な研究も行われてきました。東京都水産試験場(現・東京都島しょ農林水産総合センター)では、16年間にわたり天然ナマズの行動を連続観察する研究を行っています。

このデータをのちに防災科学技術研究所などが検証した報告によると、1992(平成4)年2月2日に発生した三浦半島沖の地震の直前には、ナマズの異常行動のピークと、地中で観測された微弱な電気(地中電界)の異常変動のピークが非常によく一致していたことが分かっています。しかし、すべての地震でこのような明確な動きが見られたわけではなく、地震がないのに暴れるケースもあったため、当報告でも「異常の判定基準は現在のところ未確定」とされています。

■電気に対する異常な敏感さ

科学的なメカニズムの仮説として、ナマズのもつ高い「電気感覚」が注目されています。ナマズは、体表面にある電気受容器によって水中の微弱な電気刺激を感知するとされます。地震の前に生じる微弱な電磁気的変化をナマズが敏感に感じ取り、異常行動を示しているのではないか、という説です。

■科学的な「予知」としては未確認

このように、生体としての敏感さは認められているものの、現在の科学では、ナマズの行動から「いつ、どこで、どれほどの地震が起きるか」を正確に予知できることを示す十分な科学的根拠(因果関係や再現性)は確認されていません。そのため、ナマズの行動だけで地震の発生を判断することはできず、現代における実用的な予知手段としては「未確認」の領域にとどまっています。


【「鯰絵(なまずえ)」とは? 江戸時代から伝わる地震とナマズの伝承】

■「ナマズと地震」は古くから結びついていた

前述の通り、ナマズは古くから地震を引き起こす霊力をもつ生き物とされ、地震と結びつけて考えられていました。その象徴のひとつが、神武天皇元年(紀元前660年)の創建とされる鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)に伝わる「要石」(かなめいし)です。地震を起こす地中の大ナマズを押さえつけているとされるこの石は、地震を鎮める信仰の象徴として語り継がれてきました。

戦国時代には、1596(慶長元)年の慶長伏見地震の後、豊臣秀吉が伏見城の普請にあたり、「普請、ナマズ大事」と、ナマズによる地震にも耐えうる築城を指示したという記録が残っています。こうした背景から、江戸時代には「地下に住む大ナマズが暴れると地震が起こる」という伝承が広がりました。

■安政江戸地震で「鯰絵」が大流行

1855(安政2)年に安政江戸地震が発生すると、ナマズを題材にした錦絵「鯰絵(なまずえ)」が江戸で数多く出版されました。震災後の約3か月間で約200種類が出回ったともいわれ、神々と人々がナマズを懲らしめる様子や、ナマズをかば焼きにして食べる姿などがユーモラスに描かれました。「鯰絵」は、災害への不安を和らげるだけでなく、世相を風刺したり、人々を励ましたりする役割も担っていたと考えられています。


【ナマズはどんな魚? 生態・特徴・日本に生息する種類】

■そもそも「ナマズ」って?

ナマズはナマズ目ナマズ科の魚です。世界では2000種以上が海水・淡水に広く分布し、日本にも在来種・外来種を含む複数のナマズ類が生息しています。目が小さく、口の周りに長いひげをもつのが大きな特徴です。

 

■「田んぼの地震センサー」と呼ばれる理由

ナマズは田んぼや川底などの泥の中で生活することが多く、「田んぼの地震センサー」と呼ばれることもあります。土中に近い環境で暮らすため、わずかな振動を感じ取りやすいとされ、さらに電気にも敏感な性質を持つことから、環境の微細な変化に反応しているのではないか…とも考えられています。

■夜行性で獲物を丸のみする肉食系!

ナマズは夜行性。昼間は岩陰や泥の中に隠れ、夜になると活動します。小魚やエビ、カエル、ザリガニなどを捕食し、振動を頼りに獲物に近づいて一気に丸のみします。歯は約500本あり、内側に向いているため、獲物を逃がしにくい構造になっているんですよ。

■繁殖力が強く、田んぼに現れることも

産卵期は主に5〜6月ごろで、川の支流や水田の用水路などの浅い場所で産卵します。一度に1万〜10万個ほどの卵を産むこともあり、繁殖力の高さが特徴です。卵が小さく外敵に狙われやすいため、あえて浅瀬を選んで産卵する習性があるとされています。


【ナマズは食べられる? 味や旬・全国の郷土料理を紹介】

■人間にとっては身近な食用魚!

ナマズの身は白身でクセが少なく、地域によってはドジョウやウナギと並ぶ、貴重なタンパク源として扱われてきた魚です。

■代表的なナマズ料理は?

ナマズの旬は、主に活動が活発になる春から夏にかけて。埼玉県行田市では田んぼ文化と結びついた「なまずの天ぷら」が、吉川市では身を骨ごと叩いて団子にする「なまずのたたき」が名物です。

また、琵琶湖周辺では「なまずの蒲焼き」や「なまず汁」などが古くから親しまれてきました。天ぷらは白身の淡白な味わいを生かした調理法で、蒲焼きは甘辛いタレと合わせることで川魚特有の風味が引き立ちます。

■郷土料理として発展

このように、川や湖などの淡水魚文化が根付いた地域を中心に、ナマズ料理が郷土料理として受け継がれてきました。現在では日常的な食材というよりも、地域の食文化や観光資源として大切に提供されています。


【ナマズは縁起がいい? 民話・ことわざ・文化との関わり】

■「鯰(なまず)のぼり」や神社で信仰される開運のシンボル

ナマズは、地震を引き起こす「厄災の象徴」とされる一方で、災害を鎮める存在、さらには「福を呼ぶ魚」としても信仰されてきました。江戸時代の「鯰絵」では、地震後の復興による景気回復を象徴する“世直し役”として描かれ、商売繁盛や開運のイメージとも結びついていきます。

あるいは、佐賀県嬉野市にある「豊玉姫神社」の御祭神である「豊玉姫大神」は海神の娘です。竜宮城の乙姫とされ、水の恵みを司っているとか。その豊玉姫の遣いが、ナマズなのです。佐賀県にある肥前一宮の『與止日女神社(よどひめじんじゃ)』も、神様のお遣いがナマズとされています。このように、ナマズを神の使いとして崇める風習が日本各地に点在しています。

■「瓢箪なまず(ひょうたんなまず)」とは?

日本の代表的なことわざ・慣用句として知られる「瓢箪でナマズを抑える」。これは、ぬるぬると滑るナマズを、丸くて滑りやすい瓢箪で捕らえようとすることから、「要領を得ないこと」や「つかみどころのない状況」を意味したことわざです。この発想の背景には、室町時代の画僧・如拙(じょせつ)が描いた国宝『瓢鮎図(ひょうねんず)』(注 「鮎」は当時はナマズを表していました)があり、禅問答の題材として「どうやってナマズを捕らえるか」という不可能への思索がユーモアのある文化として定着しました。

■日本の民話に見る「ナマズの人間味」

全国の民話や昔話にもナマズは登場します。人間を助けて恩返しするナマズや、川の主(ぬし)として知恵をもつ存在として描かれ、人間と対立するだけでなく、調停者や導き手のような役割を担う物語も多く見られます。


【「日本なまずの日」に防災を考える|地震への備えを見直そう】

■「ナマズの予知」に頼らない「現実的な備え」を

残念ながら現代の科学では、ナマズの行動からはもちろん、さまざまな観測技術や研究技術をもってしても、地震の発生をピンポイントで予知することは難しいとされています。災害はいつどこで起こるか分からないからこそ、伝承や記念日をきっかけに「日頃の備え」をひとりひとりが現実的に見直すことが重要です。

■今すぐできる「3つの家庭内対策」

地震による被害を最小限に抑えるため、まずは身の回りの安全から確保しましょう。

家具の転倒防止
突っ張り棒やL字金具などで家具を固定し、寝室や出入口付近には大きな家具を置かないようにします。

非常用備蓄品の用意
飲料水や非常食(最低3日分、推奨1週間分)、携帯トイレ、常備薬などを準備し、定期的に賞味期限や使用期限をチェックします。

避難経路と連絡手段の確認
自宅周辺のハザードマップを確認し、万が一の際の家族間の安否確認方法や集合場所を共有しておきましょう。

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ナマズと地震の関係は科学的に証明されているわけではありませんが、ナマズという存在は人々の心の中に「揺れへの不安」や「災害への想像力」を育んできました。「日本なまずの日」である7月10日は、本格的な台風シーズンや大雨の時期とも重なります。地震だけでなく、あらゆる自然災害に対して「我が家の防災対策」をアップデートする機会にしてください!

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料: 『デジタル大辞泉』(小学館)/ 防災ニッポン「ナマズは地震を予知できるか?現在までの研究でわかっていること」 /東京消防庁「地震と鯰」 /Kubota「「ナマズ」は本当に地震を予知できるのか?」 /JAPAN SEARCH「なまず」 /農林水産省「うちの郷土料理」 /鯰の民俗文化会(https://namazunoe.com/index.html) /首相官邸「災害が起きる前にできること」/ 東京消防庁「地震から命を守る家具転倒対策」/防災科学技術研究所 地震予知総合振興会「地震とナマズの異常行動と電磁界変動」 :