美しいひとの美しい部屋 秋スペシャル【自由なインテリアが楽しい!「パリの一軒家」への招待状】
アパルトマン(集合住宅)が主流のパリ市内では、一軒家は珍しい存在。そこで今回は、一軒家で暮らすプレシャスキャリアのお宅を訪問! 庭やテラス、豊かな緑やたくさんの大きな窓…。一軒家ならではのこだわりをお届けします。
今回はインテリアデザイナー・建築家のアンヌ・ガイストドックフェール=ジュエリアンさんの「モンマルトルの丘の家」をご紹介します。
インテリアデザイナー・建築家のアンヌ・ガイストドックフェール=ジュエリアンさんの「モンマルトルの丘の家」
「パリを一望できるテラス、庭とつながるダイニング。家は、自然を感じながら家族が集い、くつろぐ場です」
ピカソやゴッホ、モディリアーニなど多くのアーティストに愛されたモンマルトル。フランス・パリの18区に位置するこの小高い丘は、芸術の丘ともいわれています。その中腹の一軒家で暮らすのは、インテリアデザイナー・建築家のアンヌさん。
「一軒家を探していたわけではなかったのですが、偶然この家と出合い、ひと目惚れして即決。それまでは市内のアパルトマンに住んでいたので、環境を変えるいい機会だと思いました。世界中から観光客が集まるエリアですが、小道を入った通りなので、静か。アーティストが愛した街の文化的背景も決め手でした」
2013年に購入、約1年かけて改装後、2014年に引っ越した。
「4階建てのアパルトマン風の一軒家で、小さな部屋に仕切られていましたが、壁を取り払い各部屋を広く使うことに。こだわったのは1階のダイニング。庭に面した壁を取り壊して大きなガラス扉に変え、庭と室内がひと続きに。明るい光が降り注ぐ空間になりました。自由にアレンジできるのは一軒家の醍醐味です」
ただし移動はすべて階段。年齢を重ねるにつれ心配もある、とも。
「とはいえ、最上階にテラスを設置したことでパリを一望できる最高の景観を手に入れました。真正面にエッフェル塔。この美しい景色を独り占めできるのはこのうえない贅沢です」
”家はできるだけ早めに購入しなさい” というお母様の教えもあって、18歳で大学進学と同時に実家から独立、21歳で初めてマレ地区にワンルームアパルトマンを購入。
「当時は通っていた国立大学の将来性を信頼して、銀行が資金融資をしてくれました。その後、45平米のワンベッドルーム→17世紀造りのアパルトマン→ 1区中心地のアパルトマン→現在。今では考えられないほど物件価格は手頃で、購入と売却を繰り返し少しずつ大きな家に。この経験は家づくりにも役立ちました」
「家族が集うくつろぎの場は落ち着きのある優しいグリーンを使用しています」
アンヌさんのこの家のテーマは「Foyer de la famille=くつろぎの場、団欒(だんらん)の場」。庭の緑からつながるように薄いグリーンを使用したダイニング、サロンは鴨の羽色と呼ばれる深いカナルグリーン。
「家族が集う場は、落ち着きのある優しい色を使用する一方で、それぞれが独立して過ごせるよう、各部屋の色も工夫しました。階を上るごとにペイントの色を濃くしてリズミカルに、階段は中間色にしてグラデーションを楽しむ。4階の仕事部屋はあえてビビッドなグリーンで元気よく。色分けすることで空間を演出しています」
収納は、家のサイズに合わせてすべてオリジナルで設計。ダイニングには自らデザインした大テーブルを中心に配置。また、バスルームは、8年前に訪れた日本で、隈研吾がデザインした奈良のホテルの浴室にインスパイアされ、黒を基調としたデザインに。
「本来、家はプライベートな空間ですが、仕事柄、ときにはクライアントに資料のひとつとして、自宅のイメージ画像を見せることもあります。温かみのある居心地のいい家やインテリアを提案したいと考えている私にとって、家は仕事に大きな影響をもたらしていると思っています」
そんなアンヌさんから、家づくりに関してアドバイスを。
「モードと同じように、インテリアにも色やデザインに流行りがあります。流行に左右されず、俯瞰で見ることが大事です。おしゃれな雑誌で見て素敵でも、場所や土地との相性を考えて。例えばパリではニュアンストーンのグレイッシュなカラーがシックで合うけれど、ギリシャの島の海の家には真っ白が似合う。流行や好み、かっこいいという感覚だけで選ぶのではなく、いかに冷静に気持ちをコントロールできるかが大切です。テーマを決めて、プロの意見も取り入れてみてください」
<アンヌさんのHouse DATA>
●場所…モンマルトルの丘の中腹
●間取り…4階建て/ダイニング、キッチン、主寝室、子供部屋×2、バスルーム、トイレ、サロン+プレイルーム、オフィス、屋上キッチン+テラス
●家族構成…夫と猫2匹
●住んで何年?…12年
- PHOTO :
- 篠あゆみ
- EDIT :
- 田中美保
- 取材 :
- 鈴木ひろこ

















