機械式時計の世界を学問にたとえるならば、考古学ではないだろうか。古くからのいにしえを知り、学び、先人の知恵を得る。手首の上の小さな空間にはOSもバッテリーも入っていない。ゼンマイ、歯車、ネジなど限られた部品だけで、あらゆる時を表現しようとたゆまぬ努力を続ける。

今年のジュネーブ、バーゼルの時計フェアのひとつの傾向として、機械式時計のさらなる進化が挙げられる。

スマートフォンが普及し、スマートウォッチも台頭。そんな時代に時計業界が目ざしたのは、自分たちの原点だった。機械式時計のアイデンティティを見つめ直すように、「深化」の道筋を行く。そこに進むべき未来があると信じているかのように。

パテック フィリップ『グランド・コンプリケーション パーペチュアルカレンダー クロノグラフ 5270P』

プラチナならではのきらめきと風格

多くの情報を表示しながらも端正で視認性が高い。2011年に誕生した機械式時計の最高峰にプラチナモデルが登場。プラチナならではの艶とクラシカルなゴールド・オパーリンダイヤルが調和。芸術作品のようなきらめきと風格を見せる。●手巻き ●プラチナケース×アリゲーターストラップ ●ケース径/41mm 予価¥20,380,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)
多くの情報を表示しながらも端正で視認性が高い。2011年に誕生した機械式時計の最高峰にプラチナモデルが登場。プラチナならではの艶とクラシカルなゴールド・オパーリンダイヤルが調和。芸術作品のようなきらめきと風格を見せる。●手巻き ●プラチナケース×アリゲーターストラップ ●ケース径/41mm 予価¥20,380,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)

各時計ブランドは、この時代の転換期に、より正確で複雑・華麗な時計をつくろうと、真摯に時計づくりに取り組んでいる。いくつかの工房を訪ねると、多くの職人がいきいきと、そして情熱を持って時計と向き合っていた。時計を愛する者ならば、その姿をうれしく、たのもしく感じるだろう。

日本では来年、ひとつの時代が終わり、新しい時代を迎える。あなたはこの30年間をどんなふうに過ごしてきただろうか。平成という時代のメモリアルとして、そして新しい時代をともに生きる相棒として、機械式時計を手に入れてみてはどうだろう。過ぎ去った時を愛おしみ、未来を思う。その役割は、100年後も変わらず動き続ける、真摯で美しい機械式時計にこそふさわしいのではないだろうか。

※2018年夏号掲載時の情報です。※価格は税抜です。

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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2018年 スイスの2大ウォッチフェア発・珠玉の新作を厳選!「男を語る」名品時計2018
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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クレジット :
撮影/武田正彦 文/川上康介 構成/岡村佳代