あなたの身のまわりに、自分のことを「オバサンだから……」と、自虐的に話す女性はいませんか? このセリフをよく口にする女性に対して、正直どう反応すればよいのか迷ってしまう…という人も多いことでしょう。

コミュニケーション・コンシェルジュの吉田正美さんによると、このタイプの女性は、承認欲求が強く、いつまでも自分は若々しいと思っていたい「かまってちゃん」なのだそうです。

そこで、自称オバサンの女性に対するNG対応とOK対応を、3つずつ挙げていただきました。きちんとツボを押さえれば、プライドが高く拗ねやすい一面も持っている彼女たちを、味方にすることができるはずですよ。

「オバサンだから」をよく使う女性に対するNGな接し方

■1:「オバサンだから」を肯定する

「オバサンだから」をよく使う女性は、本人は無自覚に言っている場合がほとんど
「オバサンだから」をよく使う女性は、本人は無自覚に言っている場合がほとんど

相手の女性が自分をオバサンと呼んだからといって、そのセリフを軽い気持ちで肯定してはいけません。発言を鵜呑みにするのではなく、相手の言葉に込められた意図を察知する必要があります。なぜかというと、このタイプの女性は、相手が自分のことをオバサンと思っているのか試しているから。

「オバサンだから」という発言の裏には、大きく2つの心理が隠されているといいます。1つ目は「年齢の割には若いでしょ?」というプライド。もう1つは自己防衛のためだそうです。

「年だと理解しているけれど、本心では『いつまでも若々しいでしょ! そこらの同年代とは違うはずよ!』と思いたいのです。これは自信のなさから生じるもの。『年だから勘弁して』と了解を求める、防衛策でもあります」(吉田さん)

ちなみにこのタイプの女性は、自分のメイクやヘアスタイルにどんな反応をしてもらえるか、ということも気にしています。

「オバサンだからと自虐するのはいいけれど、相手に肯定されてしまうと辛い、いわゆる『かまってちゃん』なので、メイクやヘアスタイルを変えてきたときは、きちんとかまってあげることが大事です」(吉田さん)

相手の女性の変化に気が付いたら決して見過ごさず、こちらから話題を振ってあげれば好感度が上がるでしょう。

■2:嘲笑する

たとえ愛想笑いでもやらないように!
たとえ愛想笑いでもやらないように!

会話におけるジョークのひとつとして、自分で自分を貶める自虐ネタというものがあります。その人のキャラクターによっては笑いとして成立しますが、「オバサンだから」とよく言う女性の場合は話が別。相手が自虐しているのだから、と冗談半分に対応してはいけません。

吉田さんは「相手は冗談のつもりではなく本気なので、嘲笑は絶対にNGです。軽々しい反応や心のこもっていない否定の言葉を返すと、相手の女性はバカにされたと感じ、気を悪くしてしまいます」と言います。

笑いながら「オバサンじゃないですよ~」などとおざなりな反応をすれば「じゃあ何歳に見える?」とハードルの高い質問をされてしまう可能性も。また、もしこちらが相手よりも年下の女性なら、さらに注意が必要です。

「『そんなことを言っていると本当にオバサンになってしまいますよ』という返事は、相手がヒートアップする地雷の危険性があります。女性同士の場合は特に、人間関係をこじらせると後々、面倒なことになりかねません」(吉田さん)

では、OKな対応をするためには、どのように返事をすればよいのでしょうか。

「たとえば『同年代の女性より随分お若く見えますよ! 年齢より見た目ですから』や『美しく年を重ねていらっしゃるのに、オバサンはもったいないです! 本物のオバサンに失礼ですよ』など。このとき、しっかり目を合わせないとウソっぽくなります。真顔かつ全力で伝えましょう。セリフも大事ですが、このタイプの女性は表情やジェスチャーなど、非言語の部分をよく見ています」(吉田さん)

返事のセリフだけでなく、非言語によるコミュニケーションにこそ細心の注意を払いましょう。

■3:大袈裟な否定をする

ドラマや映画でも、あまりにも大袈裟な演技は、つくりもの染みて感じられるものです。それは現実でも同じこと。本心を隠そうとするあまり、ついついオーバーな反応をしてしまっていることはありませんか? 否定の言葉を繰り返したり、身振り手振りがやたらと大きかったり、という言動は、どうしてもウソ臭く感じてしまいますよね。

「おざなりな態度や『オバサンだから』を肯定するのはNGですが、大袈裟な否定もダメです。相手は、自分がオバサンと思われているのかどうかを探っています。否定の仕方が大袈裟すぎると、バカにされているように感じ、拗ねてしまうかもしれません」(吉田さん)

反応が大袈裟ではなく、笑顔で対応できていたとしても油断は禁物。「目は口ほどに物を言う」、「目は心の窓」という言葉があるように、どんなに取り繕っても、本音は目の印象に出てしまうからです。

「あなたの笑顔は本気か嘘つきかを、日頃から鏡で確かめてみてください。具体的には、口元を隠して目が笑っているかを確認します。本気の笑顔は、口角・頬が上がり、目元が下がる。口角が上がっていても目が笑っていないのは嘘つきの表情です」(吉田さん)

自分では自然な笑顔のつもりでも、相手に与える目の印象は鏡を見ないとわからないもの。目元まで笑顔になっているか、毎朝鏡でチェックしてみるのはいかがでしょうか。

また、誤ってNGな対応をしてしまい、相手の女性が機嫌を損ねてしまったときの対処法についても、伺ってみました。

「万が一怒らせてしまったら、『言葉不足で申し訳ありません。あまりにも謙遜なさるので』といった具合に、そんなつもりで言ったわけではないと真摯に謝罪し、誤解を解きましょう。タイミングを逃すと、より溝が深くなってしまうので、タイムリーに謝ることがポイントです」(吉田さん)

相手の女性が不機嫌そうな反応を見せたら、その場ですぐに誤解を解く努力をしましょう。それでもダメなら真摯に謝ること。謝罪するのは早いに越したことはありません。


「オバサンだから」をよく使う女性に対するOKな接し方

■4:聞き手にまわる

教えを乞うスタンスが相手を気持ちよくさせる
教えを乞うスタンスが相手を気持ちよくさせる

日常会話でも聞き上手な人が相手だと、こちらも気持ちよく話ができるもので、初対面の人なのに話が弾んだ、という経験はありませんか? こちらが聞き上手になって接することは「オバサンだから」をよく使う、かまってちゃんタイプの女性に対しても有効な手段です。

吉田さんは「傾聴するという謙虚な姿勢で、教えを乞うようなスタンスで接するとよいでしょう」と説明します。

聞き上手になるためには、『はひふへほ』で相槌を打ちながら聞いてあげるのがコツです。すなわち、ため息のような相槌の『はあ~』、相手の話に驚いたときの『ひえ~』、興味関心やなるほどという意志の『ふ~ん』、なるほどの意味に驚きも加えた『へ~』、感嘆を示す『ほ~』の5つ。要所要所で反応することで、この人は自分の話をちゃんと聞いてくれている、という印象を与えられます」(吉田さん)

注意したいのは、こちらからアドバイスをしようとしたり、持論をぶつけて張り合ったりしないことです。相手の女性は、その話題について他人の意見が欲しいわけでも、結論を出したいわけでもなく、自分の話を聞いてほしいだけ。謙虚な姿勢を崩さず、教えていただいているという気持ちで、聞き手にまわりましょう。

■5:羨望の眼差しを向ける

相手を尊敬する態度が正解
相手を尊敬する態度が正解

他人から尊敬されている、慕われてると感じられる瞬間は、自分の才能や日々の努力が周囲に認められたということ。それは誰にとっても嬉しいものですよね。プライドが高く、承認欲求の強い女性も、羨望の眼差しを向けられることに喜びを感じるのだと、吉田さんは言います。

「気に入ってもらうには、あなたに憧れています、という雰囲気を日頃から醸し出すことが必要です。このタイプの女性は、本心では自分が年を重ねていることを理解していますから、年を重ねているからこその美しさや賢さを認められると満たされます」(吉田さん)

たとえば、相手が職場での直属の上司や先輩の場合、「オバサンだから」発言に対する返しは「いつまでも若々しくて羨ましいです」や「先輩のように素敵に年を重ねたいです」などがベター。

もしも相手がビジネスシーンでの取引先の方ならば「経験値に乏しく、私には若いというだけで誇れるのは体力くらいです」などと、こちらも自虐で返答しましょう。この場合のリアクションは、ややオーバーでもOK。尊敬や憧れの気持ちを前面に押し出すことで、相手は自尊心がくすぐられ、満足してもらえるはずです。

■6:花を持たせてあげる

自分が上の立場でないと気が済まない、という人が周りにいませんか? こうした強気の態度は、実は自信のなさの裏返しでもあります。それゆえに、周囲から認めてもらえなかったり、プライドを傷つけられたりすると、途端にへそを曲げてしまうことも……。正しい接し方について、吉田さんは「この人はこういう性格だからと理解して、花を持たせてあげることが重要です」と主張。

「相手の意見に対して反論したり、ムキになって張り合ったりすると、敵意を持たれかねません。敵対するのではなく、こちらの味方につけるように振る舞って、良好な人間関係を築くことがベストです」(吉田さん)

このタイプの女性は、職場やグループ内で重要なポジションに就いていることも珍しくありません。万が一敵対してしまうと、ほかの人間関係にも影響が及ぶ恐れもあるので、聞き手にまわり、憧れの念を示すことで花を持たせ、相手の自尊心を満たしてあげることが大切なのです。

吉田さんによると「オバサンだから」をよく使う女性は、本人は無自覚に言っている場合がほとんどなのだそうです。だからこそ、周囲の人々がその女性のことをきちんと理解してあげることが必要になります。

「私も『オバサンだから』と言っているかも……」と感じた方も、自分の性格を把握し、日頃から意識するだけで、周囲の反応が変わってくるはずです。

吉田正美さん
コミュニケーション・コンシェルジュ
(よしだ まさみ)大臣、総督クラスのVIPアテンドやナレーターコンパニオン、式典のMCなどを20年にわたって経験。第一印象をアップする面接・婚活指導やマナー講座といった、「すぐに使える」実践型の研修が高く評価されている。著書は『「ぜひとも、あなたに」とお願いされる ハイクラスな人の気配りの習慣』(ベストセラーズ)。
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この記事の執筆者
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WRITING :
上原純