「オルタス」初のビスポークカメラバッグ!

2015年にライカMを購入したとき、真っ先に探したのが、上質でおしゃれなカメラバッグ。でも専門ブランドのモノは機能的でも少々チャチいし、ブランド系のはチャラすぎる。ならば自分のワガママを目一杯ぶち込んだカメラバッグをつくっちゃおう! というわけで、2016年はじめに駆け込んだのが、銀座のビスポークバッグ専門店「オルタス」でした。職人の小松直幸さんは腕利きとして名高い方ですが、カメラバッグづくりは初めてとのこと。そして山下はカメラ初心者な上にビスポークバッグ未体験ときたもんだ。さあ、いったいどんなバッグができるのか・・・。僕の注文は以下の通り!

僕のワガママな注文を叶えてくれた「オルタス」の小松直幸さん。今や世界的に有名なバッグ職人ゆえ、納期は2年オーバー。※オルタスの詳細はこちらから
僕のワガママな注文を叶えてくれた「オルタス」の小松直幸さん。今や世界的に有名なバッグ職人ゆえ、納期は2年オーバー。※オルタスの詳細はこちらから

絶対に譲れない! 山下の注文はこの3つ

その1・レザーは絶対にボックスカーフ!

ぶっちゃけ最近のバッグや革小物って、エルメス風のシュリンクカーフばかりで正直言って食傷気味! もちろん発色や使い勝手に優れたレザーではあるのですが・・・。というわけで今回僕がこだわったのは、クラシックなボックスカーフを使って、ある程度カッチリしたカメラバッグにすること。こういったレザーは最近メゾンブランドではめっきり見なくなったので、極めて貴重なんです。ブライドルレザーにも惹かれたのですが、あまりに重くなっては本末転倒なので、今回は見送りました。

その2・いわゆる「ミニショルダー」であること

ライカMと替えレンズが入る程度のミニショルダー。これは正直言って、ファッション的な意味合いが6割です。こういうの、ステンカラーコートやリネンスーツに合わせると格好いいんですよね。あとこれを注文した時って、まだライカMを購入したばかりで、所有している機材が少なかったという理由もあります。今だったらもうちょっと大きいサイズでオーダーしているかも・・・?

その3・カメラをちゃんと保護すること

カメラを保護するかっちり目のつくりでありながらも、持って歩いたときにガタガタいわないようにクッション性も備えていること。それでいて中に入れる機材を決めこまない、自由度も確保すること・・・。矛盾しがちな条件ばかりで申し訳ない!

オーダーから2年半。完成品はこれだ!

価格はビスポークスーツ1着分といったところでしょうか。でもメゾンブランドのバッグよりもリーズナブル!
価格はビスポークスーツ1着分といったところでしょうか。でもメゾンブランドのバッグよりもリーズナブル!

いかがでしょう? 素晴らしくないですか? 巷のモノとは明らかに別格でしょ? ああ、我ながら惚れ惚れするほどに美しい・・・。アノネイ社のきめ細かなボックスカーフ。しっかり芯材を入れて成形した、カメラを保護するかっちりフォルム。肩に負担をかけない、ストラップの形状。繊細にして頑強な手縫いのステッチ。塗料などでごまかさず、キリリと磨き込まれたコバ。でもって臥龍点睛となる、「オルタス」オリジナルの真鍮金具・・・。もう最高。

ちなみに右側は、仮縫い用につくられたモックアップ。
ちなみに右側は、仮縫い用につくられたモックアップ。
マチ幅広めなのにドテッと見えないのは、底部のシェイプが効いているから!
マチ幅広めなのにドテッと見えないのは、底部のシェイプが効いているから!

ちなみに懸案だった“クッション性”については、カンガルーファーを使った取り外し可能なインナーケースによって確保しています。正直言ってまだ暑いし、遊び毛が多く出てカメラに付着してしまうので、本格的に稼働するまでにはもうちょっと時間がかかりそうですが、これならバッグの中でカメラがガタゴトいうことはありません。しかも嬉しいことに、ローライフレックスやハッセルブラッドもきっちり収まる! オーダーしたときは全く想定していなかったので偶然なのですが、これは嬉しい。

もちろん、インナーケースを取れば普通のバッグとしても使用可能。
もちろん、インナーケースを取れば普通のバッグとしても使用可能。

ただのカメラマニアにはつくれない、抜群のセンス!

さて、肝心なルックスはこのように! クラシックな雰囲気ですが、レトロ過ぎないからE.TAUTZみたいなモードな着こなしにも合うし、いい感じのアクセントになってくれるんだよな〜。秋冬もののステンカラーコートに合わせるのが、今から楽しみです!

E.TAUZのアウターにハバーサックのパンツを合わせて。カメラ愛好家の皆様にとってはしゃらくさい戯言とは思いますが、見た目は大事です!!
E.TAUZのアウターにハバーサックのパンツを合わせて。カメラ愛好家の皆様にとってはしゃらくさい戯言とは思いますが、見た目は大事です!!

実はこのスタイルに至るまでに1回仮縫いをやり直してもらったのですが、そういったトライ&エラーができるのも、ビスポークの素晴らしさ。私は早くも次回作の構想を練り始めました! もっと機材が入る大きなカメラバッグにしようか、それともこないだピッティウォモで盗まれたボストンバッグを作り直そうか・・・。

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。