旅をもっと特別にしたいと思ったら、食事にもこだわってみてはいかがでしょうか? 三陸海岸の絶景と極上グルメが楽しめる観光列車「TOHOKU EMOTION」や、地酒王国・新潟の銘酒を思う存分に味わえる「越乃Shu*Kura」など、景色とグルメが楽しめるプレミアムな観光列車が全国各地で運行されています。
今回は、阪急交通社の大平さんに、オーシャンビューとともに美食が楽しめる列車を3つ、教えていただきました。注目のビュースポットも併せてご紹介します。
■1:東北の新しい魅力と出合える! 三陸海岸を駆け抜ける「TOHOKU EMOTION」
八戸駅~久慈駅の間で運行されている、新しい東北を発見・体験することにこだわった観光列車「TOHOKU EMOTION(トウホクエモーション)」。美しく、力強さを感じる景観が広がる三陸海岸沿いを駆け抜けます。
見どころ通過の際の車内アナウンスで、ビュースポットを見逃さない
「“移動するレストラン”として親しまれている列車で、東北の食材を使ったオリジナルメニューを三陸の海を眺めながら楽しめます。見どころを通過する際には車内アナウンスが入るので、ビュースポットも見逃しません!」(大平さん)。
東北地方の伝統工芸品が取り入れられた「TOHOKU EMOTION」の車内
車内の装飾には、東北地方の様々な伝統工芸品がモチーフとして取り入れられています。1号車は、客室が個室タイプになっているコンパートメント車両。全7室のコンパートメント個室席が設けられており、壁面を飾るファブリックは福島県の「刺子織」をモチーフとしています。
ライブキッチンスペースで、シェフが調理する様子を目の前で見ることができる
2号車はライブキッチンスペースで、シェフが調理する様子を目の前で見ることができます。キッチン背面のガラスは青森県の「こぎん刺し」、カウンター壁面の装飾は岩手県の「南部鉄」や、青森県の「南部姫鞠」をモチーフとしています。
東北の絶景とともに料理を味わう、オープンダイニングスペース
3号車はオープンダイニングスペース。東北の絶景とともに、こだわりの料理が味わえます。3号車にも伝統工芸品から着想を得た模様があしらわれており、床は青森県の「こぎん刺し」、照明は岩手県久慈市の名産品でもある「琥珀」、什器の仕上げは宮城県の「雄勝硯」をイメージしています。
シーズンごとに変わる、食事の監修シェフとメニュー
旅の思い出を彩る食事も充実! 往路(八戸駅~久慈駅)は、有名シェフ監修の地域食材を使ったアミューズ、前菜、メイン料理、プティフールを提供。監修のシェフとメニューはシーズンごとに変わり、ビールやワインなどのドリンクと一緒に楽しめます。
季節に合わせた「TOHOKU EMOTION」のスイーツ
復路(久慈駅~八戸駅)はシェフによるスイーツが登場。デザートのアソートプレートやデザートブッフェ、オードブルがいただけます。こちらも季節でメニューが変わります。
「夢のはなし弁当」は下関の名産・ふく(ふぐ)をはじめ、うにや鯨など、響灘の贅沢な味覚が勢ぞろいした一品。「長門おとずれ弁当」は、日本海の幸や長州地鶏など、地元食材をふんだんに使ったメニューが詰まっています。
✔「TOHOKU EMOTION」から見える、絶景オーシャンビュースポットはココ!
・下り列車の鮫駅~陸中八木間駅
下り列車の鮫駅~陸中八木間駅で、進行方向左側の車窓からは、雄大な太平洋と三陸海岸のコラボレーションが楽しめます。
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■2:“地酒王国”新潟が誇る銘酒を、地元食材を使ったメニューと一緒に。「越乃Shu*Kura」
日本を代表する米どころであり、日本酒の製造も盛んなことから“地酒王国”としても知られる新潟県。「越乃Shu*Kura」は新潟の酒をコンセプトとする観光列車で、上越妙高駅~十日町駅間で運行されています。
また運行日によって「ゆざわShu*Kura」として上越妙高駅~越後湯沢駅間、「柳都Shu*Kura」として上越妙高駅~新潟駅間の運転も行っています。
大パノラマを間近で楽しめる「展望ペアシート」もある「越乃Shu*Kura」
列車の外装は、日本の伝統色「藍下黒」と白を組み合わせたカラーリングで、凛とした新潟の風土をイメージ。1号車は、大窓に向かって席が配され、大パノラマを間近で楽しめる「展望ペアシート」と、パーテーションで区切った「くつろぎペアシート」、テーブル付きのボックス席「らくらくボックスシート」が配置されています。
新潟県厳選地酒を味わう“利き酒コーナー”には、常時5種類の銘柄が季節ごとに
2号車には、ジャズなどの生演奏等が催されるイベントスペースと、お酒やお弁当などを販売するサービスカウンター「蔵守~Kuramori~」があります。「蔵守~Kuramori~」には、新潟県の厳選地酒が味わえる“利き酒コーナー”を設置。季節によってラインナップが変わる、常時5種類の銘柄を味わうことができます。
2018年の7月~9月は、新潟市の蔵元・越後鶴亀の「新潟しゅぽっぽ」や、十日町市の蔵元・松乃井酒造場の地酒「大吟醸松乃井越淡麗越乃Shu*Kura限定」などを提供。
「サービスカウンターの側には、酒樽をモチーフにしたスタンディングテーブルもあるので、イベントスペースで披露される音楽に耳を傾けながらお酒を嗜めますよ」(阪急交通社・大平さん)。
隣の3号車は、リクライニングシートの座席とフリースペースが設置されています。
絶景を眺めながら、お酒に合うように作られたオリジナルメニューを堪能
JRのパッケージツアー「びゅう」旅行商品のオリジナルメニューでは、越後湯沢の蔵元・白瀧酒造の「上善如水スパークリング」がウェルカムドリンクで提供されます。
ウェルカムドリンクをグラスで味わったら、景色を眺めながらオリジナルメニューを堪能!
2018年7~9月の往路(上越妙高駅~十日町駅・越後湯沢駅・新潟駅)は、「みょうが肉巻き」や「アジと夏野菜の南蛮漬け」などが提供され、復路(十日町駅・越後湯沢駅・新潟駅~上越妙高駅)は、「新潟地鶏の酒粕焼き」や「新潟の郷土料理、夏野菜のっぺ」などがいただけます。メニューは新潟の食材を中心に使用し、お酒に合うようにつくられています。
また、メニューにはお酒が付き、「越乃Shu*Kura」オリジナルの大吟醸酒のほか、7~9月は、南魚沼市の蔵元・青木酒造の「純米大吟醸鶴齢」が味わうことができます。
✔「越乃Shu*Kura」から見える、絶景オーシャンビュースポットはココ!
・青海川駅
途中停車する青海川駅は、足下に波が迫る「日本で一番海に近い駅」。停車時間が多めに設けられているので、日本海の絶景をゆったりと楽しめます。
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■3:旧国鉄時代の“幻の豪華客車”が復活!プレミアムな車内で九州の旅を満喫する「或る列車」
かつて“幻の豪華客車”と呼ばれていた「或る列車」。1906年、当時の九州鉄道がアメリカのブリル社に「或る列車」の製造を発注したものの、「九州鉄道」の国有化により活躍の機会がなくなったことから、幻の存在となりました。
その“幻の豪華客車”がおよそ100年の時を超え、九州に復活。鉄道模型の神様といわれた故・原信太郎氏による模型を元に、インダストリアルデザイナーの水戸岡鋭治氏がデザイン・設計を手がけました。
現在は、大分駅~日田駅間で運行されており、煌びやかでゴージャスな車体が九州の大自然を駆け抜けます。
上品でロマンチックな雰囲気な「或る列車」1号車
列車は2両編成で、1号車は、明るく柔らかな印象を与えるメープル素材を使用。座席のカラーは気品のある深い緑と青を採用し、上品でロマンチックな雰囲気に。2人席と4人席が配されています。
コンパートメントタイプの座席で、周りを気にせず過ごせる「或る列車」2号車
一方、2号車は、重厚感のあるダークブラウンのウォールナットが素材のメイン。シックで落ち着いた空気に包まれています。座席はコンパートメントタイプで、周りを気にせず、親しい人とゆったりと旅のひとときを楽しめます。
「或る列車」で味わう、「NARISAWA」オーナーシェフ、成澤由浩のコース料理
「或る列車」の料理をプロデュースするのは、東京・南青山のレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフ、成澤由浩氏。コースは、九州の肉や魚、野菜を使った彩り豊かな小箱から始まり、旬のフルーツをたっぷりと使った極上スイーツ、そしてお茶菓子へと続きます。コースで用いられる素材は、成澤氏が実際に九州各地の生産者を訪れ、自らの五感で確かめた、質の高いものだけを使用しているそう!
「雄大な豊後富士・由布岳を望みながら、世界的に評価の高いレストラン『NARISAWA』のオーナーシェフ・成澤氏の極上スイーツを堪能できます」(大平さん)。
✔「或る列車」から見える、絶景オーシャンビュースポットはココ!
・佐世保駅~長崎駅を走行する長崎コースの大村湾
大分コースは海辺を走行しませんが、佐世保駅~長崎駅を走行する長崎コースの時期は、大村湾を車窓から臨むことができます。青く雄大な海の景色は、開放的で圧巻です。長崎コースの次の実地日は未定。ホームページなどでこまめにチェックを!
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おいしい料理をいただきながら麗しい海を眺める。今年の夏休みは観光列車に乗って、そんな贅沢なひとときを過ごしてみませんか? 観光列車は座席数が限られているため、早めの予約がおすすめです。
取材協力・画像提供
東日本旅客鉄道 盛岡支社 青森支店
東日本旅客鉄道 新潟支社
九州旅客鉄道
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- ニッタハル (晴レノ日スタヂオ )