先日、新クリエイティブディレクターにクリス・ヴァン・アッシュ氏が内定し(2019-20年秋冬コレクションから担当予定)、今後のさらなる展開が期待されるベルルッティ。現在はメンズのラグジュアリーブランドとして、靴や鞄から服まで幅広く展開しているが、その起源は1895年にパリにて創業した老舗靴店である。そして現在もパリにシュル・ムジュール(オーダーメイドの靴づくり)の工房を構え、顧客のオーダーを受けて靴を仕立てている。アンディ・ウォーホルの注文に応えてつくられたローファースタイルの靴をベースに、同ブランドのプレタポルテを代表するモデル「アンディ」がつくられたことはよく知られた逸話だ。
シャープな存在感の新ラスト「エクレール」
「アレッサンドロ」
そんなベルルッティから、このほど新しいラスト(木型)を採用した靴が発表された。同ブランドでは近年クラシックなスクエアトウの「デムジュール(Démesure)」、スマートなラウンドトウの「ガレ(GALET)」の2型が代表的なラストだったが、それらと並ぶ第3のラストとして導入されたのが「エクレール(Éclair)」。トウシェイプ(つま先)は細身のスクエアトウ。ボールジョイント(足の指の付け根)部からつま先までをやや長めにとったロングノーズのシルエットがシャープな印象を与えている。
「キャラクテール」ダブルバックル
さらに、そうしたラストシルエットを引き立たせる製法上の技術がこの「エクレール」には盛り込まれている。通常、ソール(底)とアッパー(靴の上革)の間を繋ぐウェルト(コバ部分)には、ステッチと装飾的な凹凸(目付け)が配されているが、それがステッチを見せないフラットなスタイルに仕上げられているのだ。シュル・ムジュールなどの手縫いの靴の場合は、コバのステッチを隠すブラインドステッチという技法があるが、このやり方を既製靴で、なおかつあえて目付けをつけずフラットにして美的な効果を出すというのは、靴づくりの技術を知り尽くした同ブランドらしい発想といえるだろう。
コバ部分は靴においてほんのわずかな領域だが、意外なほどに靴の性格を決定づける。通常紳士靴ではあるべき凹凸がなくなることで、さらにミニマルな、モダンな印象が付加されている。それはまた「エクレール」ラストのエッジ感を、より際立たせる効果がある。
「キャラクテール」サイドゴアプーツ
「アンディ」と並んで、ベルルッティを代表する靴であるホールカットの「アレッサンドロ」も、この「エクレール」ラストを採用したモデルが展開される。テーラードなスーツはもちろん、モード感あるスタイルとのコーディネイトも、このシャープな雰囲気ならば相性が良さそうだ。
問い合わせ先
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
Faceboook へのリンク
Twitter へのリンク