様々なデザインとサイズで競うクルマのなかで、いま最も熱いのがSUV。この旬なジャンルにいち早く取り組んでいたBMWが、またしても魅力的なモデルをつくりだした。小さく個性あふれるデザインのボディと、躍動的な走りがもたらす楽しみを、ライフスタイルジャーナリストの小川フミオ氏が分析する。

スポーティなスタイルの秘密

全長4375ミリ、全幅1825ミリ、全高1535ミリ。(撮影/望月浩彦)
写真の「X2 xDrive20i MスポーツX」は515万円(車体色などはオプション)。
リアウィンドウの上下幅をあえて狭くしてリアがすぼまったクーペ的なスタイルを作っている。

 小さいのがいいのか、大きいのがいいのか。たとえば英国車は、ロールスロイスもあれば、いっぽうでミニもある。1960年代はこの2台を車庫に入れていた英国人もいたようだ。

 クルマいがいでも、たとえば住居で英国人がおもしろいと思うのは、想像力を駆使したところだ。

 一例が窓から見える景色に心を砕いたことである。日本では仙人が住む蓬莱山の景色を想像しながら庭園づくりをしたように、英国人は窓からギリシアの廃墟が見えるような庭づくりをした。

 窓枠という限られたスペースのなかに詩興をそそるかつてのギリシア時代への、ありったけの思いを込めた。小さいけれど、大きな世界を表現する。それが英国的の物事のとらえかたではないかと思うのだ。

 英国人のひそみにならって、小さくても存在感は大きいものを評価するとしたら、最近だとBMW X2がある。全長4375ミリと比較的コンパクトな車体だが、スタイリングは特徴があり存在感は大きい。

 2018年夏から日本の路上を走り出したX2はBMW言うところの「SAC」。スポーツアクティビティクーペと定義してデザインしたのだそうだ。

 新しさはまさにそこにある。前後長が長めののびやかなルーフを持ついっぽう、キャビンは薄く見えるように作られていて、車輪の存在感は大きい。スポーティなスタイルだ。

 日本には1.5リッター3気筒で前輪駆動の「sDrive 18i」と、2リッター4気筒に4WDの「xDrive 20i」が導入されている。今回乗ったのは後者である。

 エンジンは141kW(192ps)の最高出力と280Nmなので、パワーは充分(以上)。8段オートマチックはアクセルペダルの踏み込みなどをパラメターとしながら、シフトアップのタイミングを遅らせぎみにしたり、逆に早めたりと、上手な変速をしてくれる。

英国の伝統すら感じられる!

BMW車に共通するダッシュボードの造型テーマ。
後席もおとなに充分なスペース。
 
8段オートマチック変速機にドライブモードセレクターも搭載。

 試乗した「MスポーツX」というグレードに用意されたシートはレースカーのような人工スウェード張りだ。からだはすべらず、ホールド性は抜群。しかも黄色いステッチがスポーティな雰囲気を強く醸し出している。

 そこにからだをあずけてドライブするのは、とてもいいかんじである。ステアリングの反応は後輪駆動モデルほどではないにせよ、なかなか鋭く、ドライブモードセレクターで「スポーツ」を選ぶと、操縦を楽しめる。

 オプションの20インチタイヤは観た目はたいへんスタイリッシュだ。ただしその反面、ややゴツゴツした乗り心地である。ロードノイズも気になるところだ。

 実際に自分が選ぶとしたら、なので、もう少し径が小さく扁平率の高いタイヤのほうが相性がいいかもしれないと思う。

 後席のスペースもおとな2人充分な広さが確保されているし、前席下への足入れ性(つまさきを入れるスペース)がいいので、脚が長いひとでも窮屈感は少ないはずだ。

 パートナーと休日はゴルフを楽しむひとにも、オールマイティぶりで勧められる。運転するときの楽しさを味わえるので、せっかくの休日がいってみれば二倍楽しくなるからだ。

 コンパクトな車体にたっぷりと楽しみが詰まっている。かつて英国紳士が愛したミニクーパーはこういうクルマだったように思う。

 いまMINIもロールスロイスも傘下に持つBMWはその英国的な伝統のよさを理解しているといえるかもしれない。X2はドイツのSUVだが、小さくても大きい存在感を放っているのだ。

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この記事の執筆者
自動車誌やグルメ誌の編集長経験をもつフリーランス。守備範囲はほかにもホテル、旅、プロダクト全般、インタビューなど。ライフスタイル誌やウェブメディアなどで活躍中。
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