外部充電可能な"小さな高級車"
近年、アウディは品質の高さと都会的なデザインでクルマ好き以外の層にも支持されている。人気を受けてモデルレンジの拡充にも力を入れ、現在はSUVからコンパクトカーまで幅広く取り揃えている。そのなかでも「A3」は20年前にアウディのエントリーモデルとして登場し(現在は「A1」がエントリーモデルを担っている)、現行モデルは3世代目。同じグループに属するフォルクスワーゲン「ゴルフ」と多くの部品を共有し、確かな品質と優れた実用性を誇るこの"小さな高級車"に、昨秋から日本に導入されたのが「A3 スポーツバックe-tron」だ。

 

普通に乗れることを重視したアウディのコンセプト

 

「A3スポーツバック e-tron」は外部充電ができるプラグインハイブリッド。ボンネットの下には1・4リッターエンジン、モーター、ギアボックスが横一直線にレイアウトされている。ガソリンモデルとのデザイン上の違いはわずかで、ダッシュボードのEV走行切り替えスイッチやタコメーターに代わるパワーメーターが付く程度だ。先進のメカニズムを搭載しながらあえて差別化を図らなかったのは、ガソリン車と同じ感覚で扱えることを重視したコンセプトによる。それは運転感覚でも同様で、充電用バッテリーを積んで約200kg重くなったにも関わらず、アクセルを軽く踏み込んだけで加速する身軽さ、ステアリングを切りこんでいくに従って鼻先から向きを変えていく感覚の軽快なハンドリングは「A3」そのものだ。


プラグインハイブリッドは過度的な技術に非ず!

 

EV走行の航続可能距離は50km。回転が上がらないと力がでないガソリンエンジンと違って、回り始めから最大トルクを発揮するモーターのおかげで、出足からパワフルでしかも静か。スムーズきわまりない乗り味は、ドライバーだけでなくパッセンジャーにも大きなゆとりを与える。プラグインハイブリッドはEVを目指すうえでの過度的なシステムと思われがちだが、決して中途半端な存在ではない。むしろ、慣れ親しんだガソリンエンジンの息使いと、ジェントリィなモーターの走りを走行状況や気分で選べるという点で、「A3スポーツバック e-tron」はとても贅沢なクルマということができる。これみよがしな主張をせず、1台でふたつのキャラクターを楽しめるのだから、飽きもこない。デザイン面で評価されがちなアウディに、こんな素晴らしいクルマがあることを、紳士は知っておくべきである。

〈アウディA3 スポーツバックe-tron 〉
全長×全幅×全高:4330×1785×1465㎜
車両重量:1570kg
排気量:1394cc
エンジン:直列4気筒DOHCターボ+モーター
最高出力:150PS/5000~6000rpm
モーター最高出力:109PS
最大トルク:250Nm/1500~3500rpm
駆動方式:FWD
トランスミッション:6AT
価格:5,640,000円(税込)
(問)アウディ コミュニケーションセンター ☎0120-598106

この記事の執筆者
TEXT :
櫻井 香 記者
2018.2.11 更新
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。