「エレガントな道具」の魅力は健在なり! 個性際立つフランス製SUV 

 
 

合理的精神が息づくプジョー「3008」

 
 

何事にも合理的な精神が息づくフランスでは、道具としての機能性が強調されている。必要十分なボディサイズとエンジン、そして経済的に使え、どんな路面状態でもしなやかに衝撃を吸収する足回り......。にもかかわらず、デザインは道具然とした素っ気なさはなく、さりとてイタリア車ほど色気を強調するわけでもなく、常にモダンでエレガント。そうした伝統は、今年から日本に導入が始まったミドルサイズSUV、「3008」でも、やはり健在なのであった。


時代に即したプレミアム感をプラス

 
 

押し出しの強いフロントマスクというトレンドを意識しつつ、グリルやヘッドライトの端が切れ上がったデザインに、そこはかとなく漂う上品さ。リアビューも片側3列のブレーキランプがなかなか個性的だ。インテリアにも独自の世界観が漂う。メーターを収めるクラスター、変形ステアリング、洗練されたデザイン家電のようなATレバーと各種操作スイッチが整然と並ぶコクピットはすがすがしいほどに独創的でスタイリッシュ。ただし、素材や作りこみを吟味して、ユーザーの嗜好に合わせたプレミアム感を強調しているところが、昔の道具然としたフランス車とは異なる点である。

「ワイルドな道も2WDで十分!」という考え方プジョー

 
 

乗り味は固すぎず柔らかすぎず、それでいて多少強引なコーナリングでもぐいぐいと粘って追従してくるフランス流の足回りで、ドライブを楽しめる。駆動方式は前輪駆動のみ。悪路を走ることの少ないユーザーがSUVを選ぶ昨今、非4WD車も増えてはいるが、この「3008」の場合、それでもスノー/マッド/サンドを含む5つの駆動制御ができるようになっていて、滑りやすいフィールドの下り坂では、スイッチひとつで5km/h未満の車速制御を行なうヒルディセントコントロールも装備するなど、不整地走行にもしっかり配慮している。実際、試乗用に作られたオフロードコースを走ってみたが、このタイプにしては十分なロードクリアランスを確保していることもあり、(最低地上高:175㎜)、凸凹道で底打ちすることはほとんどなく、片輪が浮いてしまうような状況でも、前輪がしっかりと路面を"掻いて"前に進んでくれた。4WDは確かに頼もしいが、必要とする機会は決して多くないし、燃費にも影響する。2WDでも十分なパフォーマンスを発揮する「3008」は、そういう点でも実に合理的。フランス産SUVの選択肢が少ないなか、仰々しい冒険スタイルを好まない紳士には最良の遊び道具といえる。

 
 

〈プジョー・3008 GTライン デビューエディション〉

全長×全幅×全高:4450×1840×1630㎜
車両重量:1470~1500kg
排気量:1598cc
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
最高出力:165PS/6000rpm
最大トルク:240Nm/1400~3500rpm
駆動方式:2WD
トランスミッション:6AT
価格:400万円(税込)
問い合せ プジョーコール TEL:0120-840-240

この記事の執筆者
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。