パフォーマンス性を伴ったウォッチのシーンといえば、海などを舞台としたマリンアクティヴィティがまず思い浮かぶ。また最近ならトレッキングなど山岳アクティヴィティ用途ものも人気が高い。だがリストウォッチが誕生して以来、これまで多くの紳士を魅了してきたのは、「空」のシーンではないだろうか。パイロットウォッチ、アヴィエイターウォッチは、たとえ実際に操縦桿を握らなかったとしても、その時計が活躍するシーンを連想するだけで心躍るものがある。
そして、パイロットウォッチにはまた名作も数多い。それゆえに新しい提案はなかなか難しいともいえるが、そこに敢えて挑戦するのが、EPSONが2017年にスタートしたウォッチブランド『TRUME』だ。
すべて自社にてつくられる、先鋭のアナログウォッチ「トゥルーム」
空への好奇心を形にした、現代を生きる時計
EPSONと聞いて想起するプロダクトは人によってさまざまかもしれない。プリンターを思い起こす人もいれば、プロジェクターなどを挙げる人も多いだろう。しかし同社がクオーツムーブメントの中核である水晶振動子を手がけていることは、意外に知られていないのではないだろうか。さらにEPSONはセイコーの時計づくりも担い、現在は日本発の機械式時計『オリエントスター』も傘下に収めている。同社の物づくりにとって時計は重要な領域なのだ。
そんなEPSONの技術力や時計づくりのノウハウを結集し誕生した『TRUME』。光充電、GPS衛星電波受信、そして気圧など各種センサー内蔵といった最新テクノロジーを盛り込んだアナログウオッチとして、2017年にデビューした。それはいわゆるスマートウォッチとは別の方向性から、現代に有効なタイムピースを追求したひとつの帰結といえるだろう。先般発表されたその最新モデルが、パイロットウォッチからインスピレーションを得た「S Collection」である。
その大きな特徴は、10時の窓に搭載されたバリオメーター(昇降計)。1秒間の上昇そして下降(m/s)を計測する。気圧の安定した旅客機客室内では大きな動きは期待できないが、それでもいくらか反応が見られるという。例えばリゾート地などでグライダーや気球、軽飛行機などに搭乗するチャンスがあれば、そのパフォーマンスを確認できるだろう。
また、『TRUME』本来の機能である、現在地から登録地への距離と方向を指し示すウェイポイント機能も、「S Collection」では空での移動を想定して、従来の9.9kmレンジに加えて、99km、990kmと3つのレンジの切り替えが可能となっている。
スタイリング面では、『TRUME』オリジナルのT2フォントに加えて、計測結果を表示する箇所には航空機のコックピットにも使われているメーターフォントを採用して、パイロットウォッチとしてのリアリティや機能性(視認性)を追求している。ケースだけでなくバックルや付属ブレスレットにまでチタン素材が採用されていて、軽量さや生体親和性の高さが快適な装着感をもたらしている。さらにベルトにはアメリカ・ホーウィン社の「クロムエクセル」レザーを採用。オイルを多く含み、使い込むことで深い味わいが生まれるこの革は、まさにパフォーマンスウォッチに相応しいマテリアルといえるだろう。
また、「S Collection」と同時に発表された「C Collection-Break Line-」は、都市生活向けのシリーズ「C Collection」に新たに加わったモデル。ステンレススチールケースとレザーバンドの組み合わせで(メタルバンドも付属)、レザーバンドはレッド・ブルー・グリーンの3色展開。さらにセンター針などはレザーバンドに合わせたカラーが採用されている。このレザーバンドには「アドバンティック仕上げ」が施されていて、使用を重ねることで、表面の濃色のベールが取れ、2層目のカラーが現れ色合いの変化が楽しめる。ケアやリペアが注目され、「使用感」がオリジナルな価値として注目されつつある昨今、まさにタイムリーなアプローチといえるだろう。
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- MEN'S Precious編集部
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