珍しくマメなブログ更新。
その理由は、この愛すべき物語に出逢ってしまったからです。
『プリーズ、ジーヴス』(勝田文著)
うれしはずかし、白泉社
「花とゆめコミックス スペシャル」!
そう、ズバリ言って少女マンガであります・・・!
ラーメン屋の店主顔、しかも齢34にして『君に届け』で
むせび泣く乙女チック趣味な私ではありますが、
この漫画をここでご紹介するのには、もちろん理由が。
それはこの漫画が英国ユーモア小説の大家
P.G.ウッドハウス氏の「比類なきジーヴス」を原作としており、
20世紀初頭の英国を舞台にしたコメディだからなんです。
さあ、そんな気持ちでこの扉絵をご覧あれ。
ツイードの大柄チェックスーツ。
ピンホールカラーのシャツ、
スエードのプレーントウ、
ブートニエール・・・。
ほぅら、すっげえお洒落でしょ!?
ね?
ストーリーはかいつまむと、こんな感じです。
英国貴族階級の青年、バーティーは
オツムは弱いが金のハートをもった男。
彼が人のよさにつけこまれ、巻き込まれたトラブルを
完全無欠の執事、ジーヴスに解決してもらう・・。
いわば、ドラ●もん・英国貴族版。
執事ジーヴスは自らの主人を敬い従っているようで、
彼を調教し、自由自在にコントロールする。
この関係性がこのコメディのキモであり、
女子読者にとっての萌えポイントでもあります。
しかし、私のような服飾変態にとってたまらないのは
なんといっても勝田文先生によって、
ボタンホールの穴ひとつまで見事に描ききられた、
華やかなりし第二次世界大戦前、英国ファッションの真髄。
主人公のバーティはファッション誌に寄稿する洒落者にして、
当時の最先端スタイルを実践(しているつもり)。
街中ではグレイフランネルのチョークストライプ柄
ダブルブレストスーツにステッキを携え、
田舎ではノーフォークジャケットにニッカボッカ、ウイングチップ。
そしてパーティでは見事にタキシードを着こなしています。
物語中では、ウィンザー公のファッションに
インスパイアされたりもする、なかなかの男なのです。
しかし彼の最先端スタイルは、なかなかジーブスには理解されず、
いつもたしなめられています。(注・ここからネタバレ)
お気に入りの「陽気なネクタイ」
(マリンブルー地にサーモンピンクの水玉)は
バーティ「ジーヴス! 僕のあの陽気なネクタイは捨てておくれ!」
ジーヴス「大変ありがとうございます。
ご主人様 先ほどすでに海に帰しました」
といった具合に、ジーヴスの趣味から外れた最先端(?)のアイテムは
ことごとく彼によって処分されてしまうのです。
そんなユーモアたっぷりのファッション描写や
当時の貴族たちが送った優雅な生活は、
読んでいてクスッと笑わされると同時に、
心から安らいだ気持ちに浸らせてくれるでしょう・・・。
つい最近、第二巻も登場。
花柄のボウタイ、アーガイルのソックス、
コンビのブローグ靴が空を舞う、何とも小粋な表紙です。
原画展などがあったら行きたいなぁ・・・。
もちろん『ワン●ース』もいいですが、
こんな素敵な漫画を手に取らないなんてもったいない!
さあ! 伊達男の皆様、
迷わず少女マンガコーナーへと
足を踏み入れてください!