年末に入ってきた衝撃的ニュース。

恵比寿ガーデンシネマ

2011年1月28日で休館。

ショックです・・・。

94年のオープン以来、良質なミニシネマをたくさん届けてくれた

この映画館に、私が特別思い入れを抱く理由。

それは私が最も愛する映画監督

ウディ・アレンの作品を、ほぼ毎年欠かさず

上映してくれたからに他なりません。

ウディ・アレン イズ マイヒーロー。

じゃっかん社交性に欠け、スポーツ嫌い。

コンプレックスの塊のようだった青春時代の私。

そんな自分にとって、テレビやロードショーに出てくる

明朗快活なヒーローたちは、どこか遠い存在に感じられました。

そんな私が出逢ったはじめてのヒーロー。それが

『ボギー!俺も男だ』『アニー・ホール』に

登場する、マニアックで悩み深い等身大の男、

ウディ・アレンだったわけです。

あぁ、こんな「格好良さ」もアリなんだな・・・。

自分のファッションのベースにある

アメリカン・トラッドに興味を抱いたのも、

彼の影響に他なりません。

チェックシャツにM-65、ツイードジャケット・・・。

いつかは2タックのチノパンが

似合う男になりたいです。

いわばウディ・アレンは、私を現在籍を置いている、

ファッション、カルチャーの仕事に導いてくれた恩人なわけで・・・。

そして、彼の映画をたくさん上映してくれた

恵比寿ガーデンシネマも、私の恩人なわけで・・・。

そんな映画館のラストフィルムが、

ウディ・アレンの通算40作目の監督作

人生万歳!であったことには、

本当に感慨深いものを感じました。

恵比寿ガーデンシネマへ。

ウディ・アレンの映画って、なぜかいつも秋冬の上映なんです。

学生時代、マニアックな彼の映画に誘える友達もいなくて、

ひとりで観に行くと、終わった後の空はいつも真っ暗。

寂しいようなあったかいような、不思議な気分に浸り、街をさまよう。

これがなかなか、悪くないんだ!

・・・ということで、最後のウディ・アレン作品は

やっぱりひとりで観に行きました。

もちろん、2タックの

チノパンを穿いてね!

本人が出ていないのは寂しかったけれど、

社会と折り合いをつけられず、迷い続ける主人公の姿は

いくつになっても私に深い共感と、暖かいモノを残してくれたのです。

それにしても今後ウディ・アレンの作品は、

どこの映画館で上映してくれるのでしょう。

インターネットの普及で、カルチャー情報は15年前と較べものに

ならないくらい手に入れやすくなりましたが、

良質な単館映画の上映は、確実に減ってきているのも事実。

決して万人が認めなくても、誰かを深く楽しませ、そして救ってくれる。

東京が、そんな素敵なファッションや映画を

いつまでも楽しめる街であってほしいですね・・・!

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。
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