「ミラノで一番好きなお店はどこ?」と

人から尋ねられたときに、自信をもってお勧めできるお店があります。

それがコルソコモ通りにある

「ERAL55」。

スティーブ・マックイーンをこよなく愛するご主人が

一代で築き上げた、アメカジ系セレクトショップ。

リーバイスのユーズドからボリオリのジャケット、

リカルド・フレッチャーのウエスタンブーツといった定番アイテムに加え、

バブアー、トリッカーズなど旬の英国ブランドまで、

硬軟取り混ぜた品揃えは洋服好きの琴線をくすぐりまくります。

ちなみに近年日本でもおなじみな、

AVIOやベヴィ・ラクアといったブランドも、

元々はこのお店のオリジナルとして始まったんですよ!

しかも、このお店がスゴイところは、

洋服を仕入れたまんま、「サラ」の状態で売るだけではないところ。

バブアーのオイルドジャケット、

トリッカーズのブーツ、

リーバイスの復刻デニム・・・。

これらのアイテムは、お店の近くにある工房で

洗いや汚し加工をかけられ、まるで数年着込んだ

ヴィンテージの風合いをまとった上でお店に並べられます。

ちなみに、ボリオリの製品洗いジャケットを

はじめて取り扱ったのは、このお店だそう。

いわば製品洗いの先駆者!

普段は地元の洋服好きで賑わうこのお店ですが、

ミラノコレクションの会期中は、

世界中からバイヤーやエディターが大集合。いつも大混雑です。

そして、そのタイミングに合わせて勝負を賭けた? 入魂の仕入れがこちら。

 1年かけて集めたというヴィンテージコレクションだ!

中でも注目は、靴コレクション。

チャーチ、オールデン、

アレン・エドモンズ、ボノーラ・・・。

マニア垂涎のヴィンテージが超激安でズラリ!

小さいサイズだって豊富!

リヴェラーノ・リヴェラーノのスーツを手に入れたばかりだったので、

もう買い物はしないと心に決めた私でしたが、

これはヤバイぞ・・・!

数日に及ぶ煩悶の末、1足だけ入手しました。

ミラノのビスポーク靴工房

「バリーニ」。なんと150EUだ!

こんな、ひとつひとつ手間のかかった宝物のような商品に加え、

このお店がみんなに愛されている理由は、

店員さんとお客との、フレンドリーなコミュニケーション。

ここに来ている人の顔を見ると、驚くと思いますよ。

みんな素敵な笑顔してるんだ!

セールもやらない頑固なお店。

決して安くもないお店。

しかし、こんなセレクトショップが東京にあればいいなぁ・・・。

ミラノに行くと、いつも心からそう思う私なのです。

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。
TAGS: