©Marton Perlaki for Dior
©Marton Perlaki for Dior

パリ、モンテーニュ通り30番地。ここに、クリスチャン・ディオールが最初のコレクションを発表した瀟洒なサロンがあります。

ルーシー・メイアとセルジュ・リュフィウーのふたりによる、ディオールの2016-17年秋冬オートクチュールコレクションのテーマは、「源泉への回帰」。その会場として選ばれたのは、ブランド発祥の地であるこのサロンでした。

©Dior
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コレクションを代表するルックとして登場したのは、ディオールの象徴でもあった女性らしさを際立たせる「バー」スーツ。ムッシュ・ディオールが発表した当時、ウエストを思い切り絞った女性らしいジャケットとゆったりとボリュームのあるロングスカートの組み合わせは「ニュールック」と呼ばれ、一世を風靡しました。

その「バー」を再解釈したという今回のコレクション。ジャケットは直線的にデザインされたり、ぺプラムがあしらわれ、よりモダンな印象に。スカートはプリーツやドレープ、あるいはオーガンジーを用いて、より軽やかなボリューム感を表現しています。

カラーパレットは、「バー」本来のカラーであるブラックとホワイトが中心ですが、そこにアクセントとして登場する唯一の色は、彫刻のような刺繍で表現されたゴールド。

フランスの芸術家、ジャン・コクトーは、ムッシュ・ディオールを次のように評しています。

「私たちの時代に生きる、軽やかできれいなこの天才。その魔法の名には Dieu(神)と or(ゴールド)が含まれているのです」

©Adrien Dirand
©Adrien Dirand

ムッシュ・ディオールも好んで使用していたゴールドですが、今回のショーのためにサロンの一部もゴールドのパネルで覆われ、コレクション全体を芸術作品のように際立たせました。

「バー」やゴールドなど、まさにディオールの源泉へと回帰した、今シーズンのオートクチュールコレクション。1947年、女性らしさを強調するために生まれた『バー』スーツが、現代の女性たちを美しく彩るために蘇ったのです。

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Precious.jp編集部 
2017.8.25 更新
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クレジット :
文/難波寛彦