着こなしを支えるベーシックカラーであり、豊かな表現力を秘めたモードカラーである「黒」。深奥な魅力ゆえに選び取った黒アイテムには、美意識が現れるもの。

そのことを教えてくれるのが、幾多の名品を経験し、洗練の本質を知り尽くすスタイリスト・犬走比佐乃さんの目線。犬走さんは、シンプルな美しさを極めるベーシック黒名品が「別格の女性へと導いてくれる」と言います。

時を重ねても変わらない上質感こそが、犬走さんが求めるベーシックの原点。ただ、生き方もスタイルもかっこいい女になるためには、リピートして長く使えるものが理想的ですよね。普段よく使うものに黒アイテムを取り入れるなら、一体どれがいいのでしょうか?

今回は、自ら「私はベーシック派」と宣言する犬走さんの厳選デイリー黒名品を、熱愛コメントとともにご紹介します。

生き方もスタイルも、かっこいい女になる「デイリー黒名品」7選

■1:すっきりと縦に伸びる、格調ある佇まいの「フォックスの細巻き傘」

長さ:51cm 傘[ウサギ]¥39,000・[トランペット]¥95,000(ヴァルカナイズ・ロンドン〈フォックス・アンブレラ〉)
長さ:51cm 傘[ウサギ]¥39,000・[トランペット]¥95,000(ヴァルカナイズ・ロンドン〈フォックス・アンブレラ〉)

ユニークなモチーフのハンドルに、石突きまですっと細く伸びた黒い傘は、つねに品格のある所作を求められる英国紳士が愛用していたステッキをイメージしたもの。

犬走さんはこの傘を「極薄の生地だから、見た目には、まるでクラシカルな黒いステッキ! 雨の日も楽しく過ごせそう」と大絶賛しています。

■2:持つ人を気品で彩る、正統派バッグの進化系「ヴァレクストラのチェーンバッグ」

バッグ[縦12.5×横24.5×マチ5cm/ストラップ付き]¥180,000(ヴァレクストラ・ジャパン)
バッグ[縦12.5×横24.5×マチ5cm/ストラップ付き]¥180,000(ヴァレクストラ・ジャパン)

上質なカーフスキンの表情が際立つ『ISIDE』は、ピラミッドからインスピレーションを得た直線的なデザイン。そのこだわりを受け継ぎつつ、小ぶりな縦長に形を変えポシェットに。

犬走さん曰く、「細いゴールドのチェーンストラップなら品のよさが香り立ち、緊張感のある会食にもぴったり」とのこと。

ポイントは、端正なバッグに華やかな表情を演出するゴールドチェーン。斜めがけすると小粋な感じになります!

■3:ジャケットの胸元からチラ見せするとおしゃれな「ストラスブルゴのポケットチーフ」

メンズのチーフ[縦40×横40cm]各¥6,800(ストラスブルゴ)
メンズのチーフ[縦40×横40cm]各¥6,800(ストラスブルゴ)

ジャケット派の犬走さんにとって、ポケットチーフのあしらいは「マイ定番」。ドット柄のポケットチーフも、黒をベースにした落ち着きのあるカラーリングであれば、悪目立ちせず、小粋な印象。ジャケットを着た日には、ジュエリーではなく、こんな黒小物の効果も見逃せません。

犬走さんは、「男性相手の仕事のときはメンズライクな色で、どこかかわいさのある模様のチーフを」とアドバイス。

■4:透け感のあるボウが軽やかな「エンポリオアルマーニのシルクブラウス」

ブラウス¥88,000(ジョルジオ アルマーニ ジャパン〈エンポリオ アルマーニ〉)
ブラウス¥88,000(ジョルジオ アルマーニ ジャパン〈エンポリオ アルマーニ〉)

とろみのあるマットなシルクサテンの黒ブラウス。ハリのあるシルクオーガンジーのボウが、ドラマティックなボリューム感を生み出してくれます。

犬走さん曰く、「異素材ミックスで表情をつけているので、黒一色でも軽やかで優美。女らしいブラウスは、カジュアルなアイテムと合わせて、甘くなりすぎないように」とのこと。

■5:寒い日も装いが物足りない日も、ジュエリー以上の華やぎを演出する「和光のレザーグローブ」

グローブ¥70,000(和光)
グローブ¥70,000(和光)

手首を優しく包むチンチラファーが、辛口な黒レザーをエレガントに昇華。内側にはシルク地が配され、手に吸い付くようになめらかな肌触り。

犬走さんはこのグローブを、「冬になると、コートやジャケットにグローブを合わせるのが私の理想。淡いグレーのファーは、色合わせがしやすく、チンチラならではの迫力のある存在感で、ベーシックなコートをドラマティックに!」と大絶賛。

ポイントは、艶やかな黒レザーは上質なキッドレザー。肌と一体感が生まれるほど、薄くて、しなやかです。

■6:マットな黒フレームが女らしくてかっこいい「オリバーピープルズの黒フレーム眼鏡」

眼鏡¥39,000(オリバーピープルズ 東京ギャラリー〈オリバーピープルズ〉)
眼鏡¥39,000(オリバーピープルズ 東京ギャラリー〈オリバーピープルズ〉)

マニッシュな角形のウェリントンも、マットな黒フレームならどこか優しげ。華奢なゴールドのテンプルは、女性の横顔をエレガントな印象に。

犬走さん曰く、「黒フレームの眼鏡は、太さを間違えるとアクが強く見えがちですが、これはフレームが細いので控えめな存在感。まるで目元を縁どるアイラインのように顔全体を引き締めてくれるから、小顔効果も期待!」とのこと。

■7:足元にポイントをつくる、大胆なベルト使いが決め手の「ボッテガ・ヴェネタのショートブーツ」

ブーツ[ヒール:8cm]¥127,000(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)
ブーツ[ヒール:8cm]¥127,000(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)

シンプルな黒のブーツだから、足首より少し長め……という絶妙な丈にこだわりたいもの。このブーツなら、マキシ丈のワンピースも、クロップドワイドもバランスよく着こなせそう。

犬走さんは、「モノトーンバックルにやや細めのさりげないベルト使いは、毎日履いても飽きがこないデザイン」と太鼓判。足首に巻き付けるベルトがアクセント。キュッと締まった足首で、脚長効果を期待できます。

黒の魅力を知り、名品の真髄を知り尽くしたスタイリスト・犬走さんが厳選したベーシック黒名品はどれも華美な装飾を削ぎ落としたシンプル美が秀逸。長く使うことで味わいが増す、エターナルな逸品たちばかりです。

できるだけ流行に左右されない物選びをすると、長くリピートして使いたい、多くの名品との出会えるようになります。毎日使うものを買い替えるときは、ぜひこの視点を意識してみましょう。

この記事の執筆者
TEXT :
犬走比佐乃さん スタイリスト
BY :
『Precious9月号』小学館、2018年
富士見高等学校から文化女子大学短期大学部被服専攻科を卒業し、SUNデザイン研究所に入社。主にファッションショーのスタイリストとして“ケンゾー”“サンローラン”“ディオール”等のショーの制作に携わる。1985年、SUNデザイン研究所より独立し、フリーランスのスタイリストとしてファッション全般の広告、雑誌関係の仕事を中心に、セミナー、トークショー等でも活動している。 好きなもの:クラシック、ピアノ音楽、キャンディークラッシュ、フラメンコ、ウエイトトレーニング、ハワイ、白シャツ、ヨーグルト、コーヒー豆、ネイビー、白い花、カメオ、オットマン付きのひとりがけの椅子、NHKプレミアム
PHOTO :
戸田嘉昭・宗髙聡子(パイルドライバー)
STYLIST :
犬走比佐乃
EDIT :
岡本治子、小林 綾、竹市莉子(HATSU)、喜多容子(Precious)