メンズプレシャス春号、おかげさまで

売れ行き好調とのこと。

関係者、読者の皆様ありがとうございます!

これでお次の撮影にも力が入るってものです・・・。

そして6月6日に発売されるメンズプレシャス夏号の特集テーマは

ずばり「ヴィンテージ」!

今はもう買えない、あの名品たちを

業界諸センパイ方に最大限のご協力をいただき、紹介していきます。

日本では決してオーダーできないあの英国スーツや

業界人なら誰もが大好きなあの某国産ポロシャツなどなど・・。

ム・ム・ム・・・

垂涎の撮影風景を眺めていたら私もついつい血が騒ぎ、

バイクで街へと繰り出してしまったのさ。

そして手に入れたのがこちら。

 

アクアスキュータム

このコート、ただ古いだけじゃなく、とにかくスゴイです。

 

 

この素材、所謂通常のコットンギャバではなく、

なんとシルクツイル! 

しかも無双仕立て!

無双とは裏地にも表地と同じ生地を使い仕立てることで

財布などレザー小物によく使われている手法です。

当然コストは跳ね上がるので、現在の既製服ではほぼ見られません。

しかもあーた、このタグご覧なさい!

『英国王のスピーチ』でおなじみ!

ジョージ5世とプリンスオブ・ウェールズ

(つまりウィンザー公)のロイヤルワラント入りです。

てことは、いつくらいの時代のものかは推察できますね。

しかし昔の服の縫製は本当に丁寧です。

もちろん海外生産なんて思いもよらなかったでしょうし、

現在に較べて階級間の経済格差はもっと激しかったでしょうから、

コストや手間を度外視したもの作りが可能だったわけです。

そう、ヴィンテージ服は古いというだけではなく、

圧倒的に手間をかけたもの作りも堪能することができるのです。

このコートも、恐らく相当高級なモノだったでしょう。

一体どんな人が着ていたのかな・・?

そしてもうひとつ、私がヴィンテージを買うとき気にするのが、

実際に着たときどうなの?ということです。

クローゼットがもう少し広ければ観賞用の棚にでも

置きたいところですが、生憎私の住宅事情ではそうもいかず。

無粋ですが買ったものは着れないと困るのです!

てことで着てみると・・あれ、デカすぎ?

と思いきや・・・。

ストン、と落ちて意外とすんなりなじむ!

というか、むしろ猫も杓子もタイト&ショートだらけの昨今、

このサイズ感はむしろ新鮮!

ゆとりのあるサイズながらも肩はコンパクトに作られているから

シルエットはきれいなAライン。そしてたっぷりとった生地のドレープ感が、

シルクツイルの控えめな光沢をとてもエレガントに際立たせます。

例えるなら、

ハンフリー・ボガード、

ケーリー・グラント、

松田優作、

吉川晃司、

あぶない刑事(ン?)、

TO-Y(ンン?)

そんな男のコートが本来持っていた美学が、

存分に反映されているといいますか・・・。

タイト&ショート傾向が極限まで進んだことへの反動が

徐々に顕れ出している昨今。

(大き目のコートって逆に今買えませんからね)

マニアや懐古趣味的な意味合いではなく、

ファッションのひとつのトレンドとして

ヴィンテージを捉えるのもアリなのでは?と

近頃私は思うのです。

追記:

ちなみに私がこのコートを購入したのは、

日本ファッション業界の重鎮、チューブのデザイナーである

斉藤久夫さんが現在 毎週土曜日に開催されている

ガレージセールにて。古いアメリカ服から時計、生地、

雑貨類まで掘り出し物が満載! 

ぜひ一度足を運んでみてください。

住所/東京都港区南青山6-4-9

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。
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