ヴィンテージを「買う」ことも楽しいですが、
ヴィンテージに「育てる」こともまた楽しいことです。
今回は、そんな私が溺愛する、ふたつの私的ヴィンテージをご紹介します。
1996年に購入した、私にとって初めての本格靴 「パラブーツ」。
当時は大学生だったのですが、 八王子の靴屋で
2万9000円という値札を見るや否や、飛びついた覚えがあります。 90年代後半は、若者たちの間ではレッドウイングブームの真っ只中。 白ソールのアイリッシュセッターに、法外な値段がついていた時期です。 そんなブームに背を向けるようにフランス製のこの靴を買った私ですが、
所謂アメリカ製のワークブーツとはひと味違う繊細な履き心地と、
それらを凌駕するような頑丈さには、驚きました。 「これはフランス版ワークブーツだ!」 どんな豪雨や豪雪も、これを履いていれば問題ナシ。
アメリカのブーツなどと違い、蒸れることもない。
あまりの履き心地のよさは、 警備員のバイトにもぴったりでした・・・ 。
そんなこんなでガンガン履いてはや15年。 ワークブーツとして履きたい時はオイルドレザーを塗り込んで、 きれいめに履きたい時はドレス靴用のワックスで磨いて、 傷がついたら茶色のクリームで補色して・・・。
自分の歴史を刻んできた この靴を磨くのは、本当に楽しい時間です。
気が付いたら、こんないい味に育ちました!
しかもこれだけ履いても 一度もソール交換はしていません。
そのの減らなさ加減には、もう脱帽です。 ロングノーズ全盛期のLEON編集部員としては肩身が狭かったですが、 売らなくて本当によかった! 残念ながら黒の「シャンボード」は、友人に売ってしまいました。 バカ! 俺のバカ!
そしてお次は、 「BVD」(笑)のヘンリーネックTシャツです。
しかも日本製。汚ねぇ!なんて言わないで。 こちらはさらにさかのぼり20年前、中学2年生のときから着ています。 嗚呼、時は吉田栄作&加勢大周の全盛期。 スリムジーンズに白いTシャツ、コンバースのスニーカーという 今では考えられないほど無防備な輩が闊歩していた時代です。
実はこちら、加勢大周にハマッた母が
「これドラマで着てたから!」と無理やりに買ってきたもの(笑)。
ニキビ面&天パの男子中学生が着る純白ヘンリーネック・・・。
その破壊的なまでのさわやかさに尻込みして、
部屋着へと直行だったのですが、
いつの間にかクタッと身体になじんできて、
ヴィンテージテイストがにじんでしまいました。
そして15年目から、奇跡の一軍昇格!
1枚で着ると相当自由人の趣をかもし出しますが、
上にジャケットなどを羽織ると、
意外と洒落た雰囲気になるから不思議です。
どれも所謂高級品ではありませえんが、
どんなに高いお金を出しても買えないマイ・ヴィンテージ。
これらを身につけている時、周囲の視線はともかくとして、
私は心から贅沢を感じているのですよ。