5年ほど前、

まだ出始めだった"ボリオリ"のKジャケットをはじめて見たときは、

本当に驚いたものです。

カシミア素材でパッドや芯材がほとんど使われていない1枚仕立て。

今となっては少々陳腐な表現になってしまいましたが

まるでカーディガンのような着心地

を初めて実感したのは、このジャケットからだったと思います。

(この文言、もう100回は書いてます=ファッションライターあるある)

当時はカシミア素材のKジャケットは約30万円と高価だったため、

私には高値の花でしたが・・・。

で、時は流れて2011年。セレクトショップや百貨店を見回せば、

もはやソフトコンストラクションこそが圧倒的多数。

1枚仕立て、短丈、ナロウラペルの「楽ジャケ」が市場を席巻しています。

トレンドアイテムがここまで急速に浸透するのは珍しいことですが、

なにせ「快楽」の「楽」に

直結していますから、致し方ありませんね。

これから先もこの流れはしばらく続くことと思います。

しかし個人的に申し上げますと、1年ほど前から

そろそろ違うの着たいな~!

という気分でして、ショップや展示会では

バチッとしたジャケットばかり探しています。

で、この夏に仕事の合間を縫って購入したのがこちらです。

久しぶりに買ったポロ ラルフ ローレンのジャケット。

何というか・・・正直若々しさは全く感じません。

むしろ「寅カジ」ⒸDOMANI

にピッタリのレトロテイストが漂っています。

(よ、余談ですが僕の風貌は『裸の大将』系、なんだな)

しかし、最近若者に媚びたデザインのジャケットが多い中、

この唯我独尊っぷりはむしろ大歓迎!

実は春夏物で、生地はウールシルク。

この季節はグルカショーツに合わせています。

そして肩パッド大盛り!

しかもラペル幅11.5㎝!

イメージするのは70年代の俳優たちが醸し出していた

男臭さがムァンムァン漂う、あの世界です。

私の秋の着こなしイメージはこんな感じ。

シャルベのシャツに

英国製のニットベストを合わせて、

パンツは断然2タックのチノ!

現代のウディ・アレン

を気取って、小僧がいない神楽坂の街を闊歩したいものですね。

(でも顔と体型は山下清)

余談ですが。

それにしても、いち早くこんなジャケットを出してきた

ラルフ ローレンにはやはり脱帽。

最近ラルフ・ローレン御大も肩パッドがバチッと入った

スーツを着ていらっしゃるようですし、引き続き注目です。

今回紹介したジャケットは春夏物ですが、

この秋はグレイフランネルのスーツなどで、

ビッグラペルが手に入るので、ぜひ探してみてください。

パープルレーベルはなかなか買えませんが、

ポロのイタリア製はクオリティの高さの割にプライスも抑え目で、

個人的に大好きです。表参道店をまめにチェックしていると、

掘り出し物が見つかりますよ!

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。
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