前回のブログでは、私なりに感じた

ピッティウォモの全体的な傾向をまとめましたが、

今回は「個人的に」気になったブランドを

挙げさせていただきます。

まずはヒデタカフカヤ。

ビスポークシューズメーカー「イルミーチョ」で名高い

奇才アルチザン、深谷秀隆氏による、

レディメイドのブランドです。

もともと靴職人の枠を超えた

芸術的な美意識で知られる深谷さんですが、

このブランド、そして特に今季のコレクションは

色がエグい!

圧倒的なハイクオリティと洒落たデザインに

2〜3匙の「毒」を盛り込んだ

凄まじく個性的なラインナップになっております。

トゥモローランドやタイユアタイで取り扱われる予定なので、

ぜひチェックしてください。

お次はニューブランド、

UMAN

ユーマンじゃないよ、ウーマンだよ。

このブランド、何がすごいかってえと、

こんなレトロスポーティなデザインなのに・・

!!!!

いわゆるスポーツジャケットも・・・

!!!!

すっごい贅沢なんです。

色合いはこんな感じで、

ブルー〜ネイビー一辺倒。

クロージングも展開しておりますが、

それも徹頭徹尾ブルー系。

仕立ては抜群、ディテールはクラシックです。

ネクタイの裏には、こんな純銀製の

パーツが使われていたり。

単なる表層の贅沢じゃなくて、

本質的な趣味の良さと、服飾史への造詣の深さを

物語るコレクションになっています。

こりゃニューブランドとは思えない規模と完成度・・・!

でも、それもそのはず。

このブランドを手がけているのは

ウンベルト・アンジェローニ氏

90年代にCEOとしてブリオーニを隆盛へと導き、

現在はカルーゾを経営する

クラシック業界の最重要人物なのです。

ハンティングや酒食、ウィンタースポーツ、アートなど

そのライフスタイル全般に関する知識はプロ裸足。

非常に見識の高い趣味人として知られる

彼のセンスが存分に発揮されたのが、

このUMANというわけなんです。

価格帯が結構すごいことになりそうですが、

メンズプレシャスど真ん中のスタイルを提案するブランドゆえ、

ぜひ日本へ上陸していただきたい!

そして、こちらは

MP di マッシモピオンボ

こちらもアーティスティックな美意識で

知られるクラシックブランドですが、

ミラノで開催された展示会は桁外れの存在感。

なんと19世紀からの戦争の歴史を所蔵した博物館にて

コレクションを発表したのです!

2013秋冬からはなんとウィメンズも展開。

イタリア王国の歴史を語る上で決して外せない存在、

ガリバルディの赤シャツ隊

赤シャツのトルソーを並べたりと、

こちらの知性を試すかのような展示でした。

いやー、面白い!

コクトーやヴィスコンティといった

芸術家たちへの敬意と、

「ラグジュアリーではなく"美"こそがすべて」と

言い切ってしまう、

凄まじいばかりの美意識。

マッシモ・ピオンボ氏の天才ぶりを、

改めて見せつけられました。

といった具合に、今回の出張では

従来のクラシック/モードというくくりでは表現しきれない

ブランドが近年増加している印象を受けました。

モードを知る人間が

つくったクラシックなのか、

はたまた

クラシックを知る人間が

つくったモードなのか・・・。

セールス的な観点では少々難しいのかもしれませんが、

そんな、ちょっと逸脱したクラシックを

表現しているブランドたちに、

私はこれからも注目したいと思います!

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。
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