たとえ仕立てのいいジャケットを着用していても、そで口からふと見える手肌が整えられていなければスタイルは完成しない。というのも、ディテールが端正なジャケットやスーツであればあるほど、末端となる指先が強調されてしまうからだ。それゆえ、クラシックなスタイルを着こなすときほど、手指というディテールに存在感を持たせてほしい。そのために用意したいのが、右に紹介している3点の小道具。爪切りとハンドローション、そしてネイルオイルだ。

指先に美意識が宿る、職人が磨き抜いた爪切り

潤いと香りある手肌になるためのハンドケア3種の神器

(上)職人が手仕上げで磨き抜いたミラー仕上げ。高級収納ボックス入り。完全受注生産のため、製品の引き渡しまで約3年待ち。SUWADA 爪切り MIRROR(L) ●12㎝・80g ¥15,000(諏訪田製作所〈SUWADA〉)(中)アルガンオイル、スウィートアーモンドオイル、ホホバオイル、小麦胚芽油のブレンド。敏感肌でも使える成分構成。uka ネイルオイル basic ●5ml ¥2,800(uka Tokyo head office) (下)カリブ海の風を思わせるライムの香りに、刺激的なバジルと香り高いホワイトタイムが加わったクリーンな香り。シトラスの爽やかでアロマティックな香りが手肌に残る。ライム バジル&マンダリン ボディ&ハンド ローション ●100ml ¥4,000(ジョー マローン ロンドン)

まず、手指をケアするときに、最も重要な役割を果たすのが、爪切りである。たとえ手肌にシワがあったとしても、爪が短くカーヴィに整えられていれば、清潔感を演出できる。店頭にはさまざまな爪切りがあるが、メンズプレシャス世代にふさわしいのは、職人仕上げのもの。なかでも、鍛冶産業が盛んな新潟県三条市でつくられているSUWADAの爪切りがベストだ。 実際にこの爪切りを手にしてみると、熟練職人による巧みな技が発揮されたツールだということがしみじみとわかる。爪切りの切る機能を研ぎ澄ますために、一点一点、手仕上げで製作しており、最上位モデルであるミラー仕上げに到っては、完成まで80以上の工程を経て生み出されるのだ。

職人の技が生きた爪切りは重厚感がありながらも、全体のフォルムは優美なラインを描き、思わず見み惚とれてしまうほどに美しい光沢感を放つ。爪を切るという行為が義務ではなく、儀式に昇華するほどの存在感がある。ウエイティングリストに名を連ねてから、製品を手にするまで3年待ちなのも納得できる逸品だ。

続いて、爪を整えた後に使いたいのが、手指を保湿するハンドローションだ。

一般的に市販されているのはクリームタイプだが、クリームは塗った後にべたつきが気になったり、手指全体にスムースに塗り広げにくいという難がある。

一方で、乳液状のハンドローションであればテクスチャーがクリームよりもやわらかいため、手早く手指に塗れて、しかも浸透しやすい。手や爪に十分に行きわたる量をとり、ハンドマッサージを施すように塗れば完璧だ。写真下のジョー マローン ロンドンのものはテクスチャーだけでなく、ライムやバジルが弾ける香りも人気を集めている一品。爪切り後だけでなく、玄関や寝室、または洗面台などに配置して、目についたときに塗るようにすれば、手指は常にいい香りと潤いに包まれる。

そして、写真中央の3つ目のツールが、爪とその周囲を保湿するネイルオイルだ。先端がコロコロと転がるロールオンタイプのボトルを採用しているため、爪にだけまんべんなくアプローチできるのが便利。

たとえば、人に会う前に爪のささくれを見つけたときも、このボトルの先を爪の周囲に転がせばささくれがなめらかに。手指を汚さないため、書類などにオイルが付着することがなく、快適に使えるだろう。

しかも、このukaのネイルオイルは植物オイルだけをブレンドしているため、ネイル以外にもリップや口元の乾燥にも活用できる万能選手。ポケットに携帯していれば、乾燥を感じたときに頼りになるはずだ。

手元は他人から意外と見つめられている部位。食事や酒の席、または握手など、視線が集まりやすいことから、特に女性はさりげなく、静かに観察している。手指のケアを行わずして、ファッションを語ることなかれ。手指とは男の小道具であることを忘れないでほしい。

※2017年春号掲載時の情報です。
この記事の執筆者
TEXT :
加藤智一 美容ジャーナリスト
BY :
MEN'S Precious2017年春号男の肌の曲がり角は50歳! その前に伊達男のすべきことは…ジェントルマン的・顔と体のエイジング道より
美容ジャーナリスト。男性誌・女性誌をはじめ、美容記事を執筆。著書に、男性のエイジングケアについて執筆した『お洒落以前の身だしなみの常識』(講談社)など。
クレジット :
撮影/岩井賢志 構成/加藤智一
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