コートが必要な季節になってしまいましたが、

ようやく僕のアルマーニが

お直しから戻って参りました。

昨冬の展示会のときから

手に入れたくて仕方がなかった、

ラグランジャケットです!

ラグランというデザインもさることながら、

やっぱり僕が惹かれてしまうのは、

このブランドにしかない生地!

一見ツイードのようだけれど、

打ち込みは甘くてとても軽やか。

そしてグレーとブラウンが入り交じったような、

なんともいえないスモーキーな色調・・・。

ウール52%

ヴィスコース26%

ポリアミド21%

エラスタン1%

この端数だらけかつ

化繊をふんだんに使った

不思議な混紡のレシピこそが、

ジョルジオ アルマーニ名物

言っても過言ではないでしょう!

バックスタイルはノーベント。

この曲線を生かした有機的なフォルムも、

アルマーニさんの真骨頂なのでしょう。

 

ただし、そんな唯一無二の美意識ゆえ、
意外と他のブランドの服と合わせにくいのが
アルマーニの難しいところでもあります。
やはり一番合うのは自分のところの服なわけで・・・。

こんな素敵なダブルブレストの

ベストとともに、コーディネートを1セット購入。

こちらはウール90%、カシミア10%です。

さらに

ポリエステル85%

ポリアミド15%という

オール化繊

コーデュロイパンツを合わせれば・・・

ほら、抜群に似合う!

しかし、全部ルックそのままってのも

「編集者」としては芸がないので

必死で他のブランドから似合う服を

探してみました。

英国的なパキッとした色は

取りつく島もないって感じだし、

かといってシャルベみたいな、

フランスっぽい中間色も似合わない。

それならまだアメトラ的なオックスフォードシャツや

チノパンのほうが似合うんじゃないか・・・

なんてあれやこれやした末に

これならどうでしょう。

カモシタのオフホワイトの

ウールサージ製イージーパンツと、

タブカラーのストライプシャツ。

靴はジャコメッティの

ボリューミーなサボを合わせて。

パンツはシルエットも大事で、

PT01的な細身でシャープなものは

ジャケットとうまく「つながらない」ので

似合わないような気がします。

ジャケットの美しいドレープを壊さない、

ちょっとゆったりして、

丸みのあるシルエット・・・。

たとえばロータやウミット・ベナンの

タック入りスラックスとか

裾にリブのついたイージーパンツなどが

最も合うのではないでしょうか。

スタイルのよい人限定になりますが、

意外と色の落ちたヴィンテージ501なんかも

格好いいような気がしますね。

ネクタイもそろいで買ったアルマーニ。

帽子はポール・スチュアート、

メガネは今季アルマーニに合わせるために

ソラクザーデで手に入れた、

ヒルトンクラシックのヴィンテージです。

アルマーニをお金持ちっぽく着るのは格好わるい。

(事実、これを買ったことでプアーです)

モダンな金具のついたバッグなどを合わせず、

1920〜30年代の庶民のような

スタイルで着るのがよいのではないでしょうか。

個人的に僕が理想としているのは、

パリの画家、モディリアーニの

絵のような雰囲気です。

本人の格好も素敵ですが、

あのAラインというか

なで肩」感がたまりません。

実は私とアルマーニとの出合いは

20年以上前、警備員のアルバイト先。

美大崩れのフリーターだったA先輩が

全身アルマーニを着ていて、

「アルマーニの洋服はコクトーや

モディリアーニの世界に通づる!」と

力説していたことが、

強く脳裏に残っています。

彼の英才教育にもかかわらず

当時は結局お金が続かなくて、

アルマーニスタイルは断念しましたが。

バイト先でトリップしたり、

1000円の本をリボ払いで購入していたA先輩、

今どこで何をしているのでしょう・・・。

今、僕はようやくアルマーニを

着られるようになりました。

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。
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