いつだって公私混同を旨とする私が、
モロッコに行ってただファッション撮影だけして
帰ってくるわきゃありません。
そこにはひとつの崇高なる
プロジェクトがありました。

その名も・・・
本気サルエルパンツ個人別注計画!

きっかけはこちら。
実は一昨年の12月、
はじめてモロッコ旅行したときに
地元のオジサン向けテーラーで買った
サルエルパンツです。
サルエル=モードという固定概念があり
今まではいたことはありませんでしたが、
なるほど確かにサルエルといえばイスラム教国家で
伝統的にはかれているデザイン。
つまりこれもひとつのクラシックだな、と。

1200円程度で生地もヘロヘロなのに
なぜだかこれがとんでもなくお洒落。
昨夏NO.1のヘビーローテーションだったのです。

て、ことは・・・
これ、秋冬モノでいい生地使ったら、
めちゃくちゃ格好いいパンツができるのでは?
そう目論んだ私は、今回のモロッコ行きの荷物に
カノニコのスーツ用フランネルを忍ばせ、
マラケシュのテーラーさん
(といってもスーツではなく民族衣装専門)に

特攻(ぶっこみました!

テーラーさん曰くこのパンツ、
「モロッコで昔からあるような形だけど、
最近はあまりはいてる人はいないかな」とのこと。
確かに街でこれをはいているのは、
かなり高齢の方だけでした。

お仕立て価格は600DH(7000円程度)。
現地の感覚でいうと、かなり高価な部類に入ります。
(だって以前別のお店で買った
既製品が1200円程度なのだから)

急いでいたので値切り交渉などはしませんでしたが、
本当はもっと安くなるかもね!

そして・・・
発注からたったの3日で完成しました!

 

これは・・・いいっ!!
当たり前ですが上等な生地を使うと、
ドレープがきれいに出るんだな〜。

ウエストの背面にはゴム入り。

グレーフランネルの上からではよく見えませんが、、
ウエストやポケット周り、
すその周りに施した凝った飾りステッチ。

素朴な手かがりによる
ボタンホール。

とんでもなく凝ったパターン・・・。

職人さんいわく
「3日間これだけ一生懸命に縫った」というだけに、
かなり気合いの入った作品になっております。
値切らなかったのは正解かもしれませんね!?


では早速はいてみましょう!

モードでおなじみの
サルエルパンツの、
源流とも言えるクラシックなデザインと
高級テーラー御用達の
イタリア製フランネルの融合・・・。

手前味噌ですが
ほかのどこにもない
モードでクラシックでエスニック
傑作パンツが
生まれたのではないか?と。

うーん。製品化してみたいなあ・・・。
だれかほしい方、いませんか?

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。