仕事は定時に切り上げ、ちょっと飲もうと、
いつものバーカウンターへ。
「暑いな、ハイボール」
「はい。……オレンジハイボールにしてみま
せんか?」
 バックバーからウイスキー瓶をカウンター
に置き、ロンググラスに氷を入れ、まずウイ
スキー、次いでソーダで満たした。いつもの
ハイボールだ。しかしそこへオレンジ皮をひ
ねってピールし、それを浮かべて差しだした。
「どうぞ」
 へえ、……ごくり。
 飲み慣れたハイボールに、オレンジの甘い
香りが加わることで、一気に華やかになる。
アクセントのオレンジ皮は、素顔の娘がちょ
っとドレスアップしたようで嬉しい。
「いいでしょう」
 バーテンダーによると、ウイスキー30ml、
ソーダ90mlの1対3。ウイスキーは好みだ
が、本来淡い柑橘香をふくむグレンモーレン
ジィ オリジナルが、その特徴をいっそう引き
立てるそうだ。
「遅れてごめんなさ~い」
 ガラスドアを開けたのは、声をかけておい
た若い女性社員二人だ。バーといっても、こ
こは簡単な食事も出来るカジュアルバーだ。
「何にする?」
「う~ん……先輩のそれ何ですか?」
「ん、これはオレンジハイボール」
 じゃ私も私もとなり「オレンジハイボール
三つ、グレンモーレンジィで」の注文に、バ
ーテンダーがにやりと片目をつぶった。
 三つ並べたグラスを彼女たちが注視するの
を意識したように、オレンジ皮をひらりひら
りとピールする仕草が格好いい。
「どうぞ」
「…………おいしい!」
「だろう」
 いかにも前から知っていたように頷きなが
ら、バーテンダーに片目をつぶった。


グレンモーレンジィが堪能できる今宵のおすすめバー

グレンモーレンジィ オリジナル

 24年前のオープン当初から、バックバーに並んでいるグレンモーレンジィをマスターは「長年の友のようなもの」と優しい笑顔で言う。そんなマスターがすすめてくれたのはオレンジハイボール。グレンモーレンジィ オリジナルがもつ柑橘系の香りが強調され、爽やかな香りと味わいが楽しめる。

 1843年、スコットランドのハイランド地方の海岸沿いの小さな町、テインで生まれたグレンモーレンジィ シングルモルト・スコッチウイスキー。スコットランド産の大麦のみを使用。最高級のオーク樽で熟成、“テインの男たち”と呼ばれる熟練の職人たちの技で丁寧に仕上げられた 「完璧すぎる(Unnecessarily Well Made)」ウイスキーは、伝統と最新技術を融合させるパイオニアとして高い評価を受けている。そんなグレンモーレンジィの特徴であるフルーティーでフローラルな風味は、スコットランドで最も背の高いポットスチルで生まれている。

 さて、今宵の一杯は、完璧なバランスでウイスキー初心者から愛好家まで多くの人に愛されているグレンモーレンジィ オリジナルをオレンジハイボールで。

Bar Hakozaki

 箱崎の小さなビルの2階にあるバー。長さが約14mもあるロングカウンターには、地元の常連客から年若いビジネスマン、海外からの旅行者まで、さまざまな顔ぶれが並ぶ。ひとりはもちろん、友人や仲間たちとも通いたくなる親しみがもてるバーだ。

~ tonight’s bar ~

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この記事の執筆者
TEXT :
太田和彦 作家
2018.11.23 更新
1946年生まれ。グラフィックデザイナー/作家。著書『日本のバーをゆく』『銀座の酒場を歩く』『みんな酒場で大きくなった』『居酒屋百名山』など多数。最新刊『酒と人生の一人作法』(亜紀書房)
PHOTO :
西山輝彦