都会ではうっすらと雪が積もっただけで交通網に影響が及ぶ。こうした状況では、やはり4WD+スタッドレスタイヤが強い。そこで、自動車ライターの佐藤篤司氏がフォルクスワーゲン主催の雪上試乗を体験したのでお読みいただきたい。最新の電子制御技術がもたらす圧巻のパフォーマンスに加え、雪道でのセーフティドライブ術にも言及しているので、きっと役に立つ。

長野の特設コースで限界性能を試す

雪原に勢ぞろいしたVWのラインアップ。
雪原に勢ぞろいしたVWのラインアップ。
ロードクリアランスに余裕のあるSUVは、やはり雪道に強い。販売車両には(VWも含めて)2WDが少なくないが、より確実・安全に走れるのは4WDだ。
ロードクリアランスに余裕のあるSUVは、やはり雪道に強い。販売車両には(VWも含めて)2WDが少なくないが、より確実・安全に走れるのは4WDだ。

 例年1月から2月にかけては、国内外の自動車メーカーが雪上試乗会を数多く実施する。今シーズンも日産、三菱、スバル、VW(フォルクスワーゲン)、ジープなどが自慢の4WDシステムを試してもらおうと、一般道や特設コースでの試乗機会を用意してくれた。一口に4WDとスタッドレスタイヤの組み合わせといっても、技術的特徴や得意とするフィールドの違いで雪上での走りの味が違ってくる。例えば三菱やジープなどはヘビーデューティな状況にも対応できる事をアピールしたいだろうし、一方で日産やVWなどは日常的なシーンでの使い勝手と安定性を強調したい。スバルはその中間的というか、オールラウンドでの使い勝手や雪上性能を試して欲しい、となる。だからどの試乗会に参加しても新しい発見があり、クルマごとの特長がより鮮明に理解できるのだ。

 今回レポートするのは、長野県・タングラム斑尾スキーリゾートで開催された、VWの雪上試乗会だ。VWの4WDシステムは「4モーション」と呼ばれ、日本仕様にはアルテオン、ゴルフ・オールトラック、パサート・オールトラック、そしてティグアンにラインナップされている。雪上での試乗に用意されたのは、SUVのティグアンTDI4モーションと、エステート(ステーションワゴン)のパサート・オールトラック4モーションの2車種である。

 足元はミシュランのXアイス3プラスというスタッドレスタイヤ。会場にはミシュランからも広報マンなどが登場し、タイヤの特徴や疑問点に対応してくれるという、万全な体制で試乗に臨んだ。

 まず特設コースで試したのはティグアンだ。昨年の秋に2リッター直列4気筒ディーゼルのTDIエンジンと4モーションとの組み合わせが日本に登場。その走破力や安定性は気になるところ。4モーションシステムは、状況に応じて前後のトルク配分が前50:後50から前100:後0まで自動的制御する。後輪への駆動力をいかにスムーズに配分し、4WDとして機能するのかが気になるところだ。

オフロードモードとスノーモードの違い

確実に対角のタイヤが浮くモーグル路。巧みな制御で難なくクリアできた。
確実に対角のタイヤが浮くモーグル路。巧みな制御で難なくクリアできた。
こちらはパイロンスラローム。遠心力で外側にふくらもうとするクルマを4WDでコントロールする。
こちらはパイロンスラローム。遠心力で外側にふくらもうとするクルマを4WDでコントロールする。
凍結路面での定常円旋回。鼻先を円の中心に向けながら、正確かつ俊敏なハンドルさばきと繊細なアクセルワークで弧を描く。これが普通にできるようになれば、日常の場面で不意に滑った時も速やかに対処できる。
凍結路面での定常円旋回。鼻先を円の中心に向けながら、正確かつ俊敏なハンドルさばきと繊細なアクセルワークで弧を描く。これが普通にできるようになれば、日常の場面で不意に滑った時も速やかに対処できる。

 特設コースはモーグル、パイロンスラローム、急坂路での登坂性能、下りの急坂路を使ったヒルディセント・システムの作動確認、氷上での定常円旋回路という構成。モーグルでは対角の2輪が接地し、もう一方の対角2輪が浮き上がって空転するのだが、瞬時に空転しているタイヤにブレーキが掛かり、接地している対角のタイヤにトルクが伝わって、難なく脱出することができた。あまりのあっけなさに、特別な制御が行われている感じはほとんど無い。最低地上高が180ミリと余裕があることもあって、多少の凸凹路も難なく駆けぬけることができた。

 このモーグルのような悪路では、コンソールにあるドライブモード選択ダイヤルを「オフロードモード」にセットする。これによって完全な4WDとなり、高い走破性を発揮して、急坂路もどんどん進んでいく。一方、スラロームや平坦な雪道、そして定常円コースでは、ラインをトレースする走りに適した「スノーモード」を使う。このモードでは前後輪のトルクを絶妙に制御。挙動は安定して唐突な動きが抑制され、非常に安心できる走行感覚になる。走行モードによって異なる挙動を体験し、急激なアクセルワークがいかに雪道では不要なものなのかを理解するためには、最高の試乗コースだ。

 特設コースでの試乗を終えたあとは、パサート・オールトラック4モーションで今度は一般路に乗り出す。もちろん一般車両とのすれ違いなどがあるため、よりいっそうの慎重さが要求されるなかで、日常での使い勝手や一般路での安定性を確認しながらの試乗だ。これはVW車に共通する特徴だが、ボディの骨格がガッチリできているため、細かな凹凸が連続する圧雪&凍結路面の衝撃をサスペンションとボディでしっかりと受け止め、静かで快適に走ることができた。こうした試乗でいつもながらに感じるのは、ドライ路面より10%以上速度を落とすことや早めのブレーキ、そして急激なアクセル操作がクルマの姿勢を乱すことだ。

 試乗の終盤になったとき、4モーションだけでなく、ミシュランのスタッドレスタイヤがなかなかのパフォーマンスを披露してくれていることに気が付いたことが、さらなる収穫だった。日本の雪道により適していると思われる国産タイヤメーカーのスタッドレスとVW4モーションとの組み合わせも、試してみたくなった。

近頃の4WD車には、ドライブモードを選べる機能を装備したものが多い。各モードの特性を理解しておけば、雪道でより安心に走れるだろう。
近頃の4WD車には、ドライブモードを選べる機能を装備したものが多い。各モードの特性を理解しておけば、雪道でより安心に走れるだろう。
パサート・オールトラック4モーションは広い荷室を備えたステーションワゴン。
パサート・オールトラック4モーションは広い荷室を備えたステーションワゴン。
ミシュランのスタッドレスタイヤの性能の高さにも感心した。
ミシュランのスタッドレスタイヤの性能の高さにも感心した。

<SPECIFICATIONS>
フォルクスワーゲン・ティグアンTDI 4モーション コンフォートライン
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,500×1,840×1,675㎜
車重:1,730kg
駆動方式:4WD
エンジン:1,968cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:7速DSG(AT)
最高出力:150PS/3,500~4,000rpm
最大トルク:340Nm/1,750〜3,000rpm
価格:¥4,179,000(税込)

パサート・オールトラックTDI 4モーション
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,780×1,855×1,535㎜
車重:1,680kg
駆動方式:4WD
エンジン:1,968cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:6速DSG(AT)
最高出力:190PS/3,500~4,000rpm
最大トルク:400Nm/1,900〜3,300rpm
価格:\5,699,000(税込)

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この記事の執筆者
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで「いかに乗り物のある生活を楽しむか」をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。