犯人とネクタイは、締め上げろ
1990年代にクラシコイタリアというイタリアの男性服装文化が日本に紹介されてから、イタリアスタイルのネクタイとその結び方にぼくたちは夢中になった。5通りも6通りものノットを練習したけれど、それがほんとうに必要だったか。
残念ながら「熱に浮かされていた」としか総括できないのが今のホンネである。
締めるところは納得いくまで結びなおす。だが、その方法論については、こうでなきゃいけないなんて規約はない。朝そのために10分余計に早起きをする気持ちがあればいい。それが尊い。
基本にして深遠なるタイ結びの王道!「プレーンノット」
別名フォア・イン・ハンドと呼ばれるプレーンノットは、伊達男たちが最も愛用するダービータイの結び方。その日の気分をも表すプレーンノットは、人生をかけて追求したいタイ結びだ。
ノットに表れるわずかな形の差が、洒落た首元になる「ダブルノット」
プレーンノットよりも、さらにひと巻き多く結ぶダブルノットは、芯地の薄いセッテピエゲのタイで最適な結び方となる。わずかに二重に見えるノットが、遊び心である。
プレーンノットとダブルノット。ネクタイの結び方はこのふたつさえ押さえておけば大丈夫。結び方はたったふたつでも、しっかりと締め上げないと格好よく決まらないし、ネクタイの生地や織りの強さ、厚みにも左右される。ネクタイの結び方は奥が深いのだ。あなたも極めてみてはいかがだろうか?
※価格はすべて税抜きです。※価格はすべて2016年春号掲載時の価格です。
- TEXT :
- 林 信朗 服飾評論家
- BY :
- MEN'S Precious2016年春号『東京ジェントルマン50の極意』より
- クレジット :
- 撮影/唐澤光也(パイルドライバー/静物)スタイリスト/大西陽一(RESPECT)