「LADIES & GENTLEMEN」の文字の真っ赤なサインボードに迎えられて会場に入ると、まず目に飛び込んでくるのが、若き日のミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ブライアン・ジョーンズが共同生活をしていたというイーディス・ グローヴのアパートメントの再現コーナー。キッチンや居間がリアルに再現されていて、その散らかり様、汚れっぷりは、思わず笑ってしまうほど。しょっぱなからバンド誕生時代へのタイムスリップで盛り上がる。

興奮が止まらない「ザ・ローリング・ストーンズ展」

来場者を歓迎する大きな「LADIES & GENTLEMEN」
来場者を歓迎する大きな「LADIES & GENTLEMEN」
ザ・ローリング・ストーンズのシンボル「Lips and Tongue」は、もはや誰もが知っているアイコン
ザ・ローリング・ストーンズのシンボル「Lips and Tongue」は、もはや誰もが知っているアイコン

その先にも、ミック・ジャガーの歌詞ノート、貴重なオリジナルの楽器の展示、メンバーそれぞれの楽器が置かれたレコーディング・スタジオの再現、体験型ミキシング・コーナーなど、ファンならずとも楽しめる展示が盛りだくさん。

世界最強のロックバンドの歴史を知る

数々の伝説を残したザ・ローリング・ストーンズのデビュー当時の様子。©︎Philip Townsend
数々の伝説を残したザ・ローリング・ストーンズのデビュー当時の様子。©︎Philip Townsend

そんな中、おすすめしたいのが、ストーンズとコラボレーションした美術アーティストたちのオリジナル・アートワークの展示。アンディ・ウォーホルの作品やバンドの象徴であるベロのマークをデザインしたジョン・パッシュのアートは、時間をかけてじっくりと観ていたくなる。

アーティストとのコラボも見逃せない!

アンディ・ウォーホルの作品。
アンディ・ウォーホルの作品。

もうひとつ注目なのがステージ衣装のコーナー。メンバーたちがロンドンのチェルシー地区のキングズ・ロードでショッピングをしていた'60年代から現在まで、彼らが実際に着た衣装が展示されているのだが、とくに見入ってしまうのが“スペクタル”と名づけられたコーナー。エディ・スリマン、アレキサンダー・マックイーン、ジャンポール・ゴルチエなど、さまざまな大物デザイナーたちが手がけたステージ衣装を至近距離で見ることができる。その一着一着の豪華なこと。ため息が出る。

彼らが実際に着ていた衣装。
彼らが実際に着ていた衣装。
大物デザイナーたちが手がけた衣装が所狭しと展示されている。
大物デザイナーたちが手がけた衣装が所狭しと展示されている。

「500席しかないクラブのステージでゴテゴテに着飾っても意味がないけど、5万人を相手にしながらボロを着るのも意味がないからね」とはミックのコメント。一方で、なんとも新鮮な気持ちになるのが、1963年7月7日に初めてテレビ出演したときに着たという千鳥格子のテーラード・ジャケット。当時のマネージャー、アンドリュー・ルーグ・オールダムがユニフォームとして揃えたものだ。メンバーたちは、そんな優等生っぽいイメージとは早々におさらばしたため、すぐにおはらい箱になったジャケットだけに、逆に貴重。

擬似ミキシングのコーナーでは、好きな曲を選んで、自分でミキシングすることができる。
擬似ミキシングのコーナーでは、好きな曲を選んで、自分でミキシングすることができる。
メンバーが実際に使用していたお宝級のギターを展示。
メンバーが実際に使用していたお宝級のギターを展示。

終盤に待ち受ける、熱狂の3Dコンサートのコーナーも楽しい。実際に会場にいるような臨場感を味わえる。ずっと酔いしれていたくなるだろう。

1800平米にも及ぶ展示空間を巡っていくと、ストーンズは、音楽だけでなく、アートやファッションも含むカルチャー全体にインパクトを与える存在であり続けていることが分かる。

ザ・ローリング・ストーンズのメンバー ©︎Rankin
ザ・ローリング・ストーンズのメンバー ©︎Rankin

開催は5月6日まで。一度行くと、二度三度と足を運びたくなること請け合い。半世紀以上にわたりシーンの第一線で活躍、君臨し、ロックの代名詞的な存在であるザ・ローリング・ストーンズの熱気を肌で感じたい!

Exhibitionism-ザ・ローリング・ストーンズ展

  • Exhibitionism−ザ・ローリング・ストーンズ展
  • 開催会場:TOC五反田メッセ (東京都品川区西五反田6-6-19)
    開催日程:2019年3月15日(金)~5月6日(月・振休)※6月5日まで延長
    開館時間:月~金・土・祝前日 11:00~20:00
    日・祝日 11:00~18:00 ※最終入館は閉館の30分前まで。展示物は撮影可能です。但し、フラッシュのご使用はご遠慮ください。
この記事の執筆者
音楽情報誌や新聞の記事・編集を手がけるプロダクションを経てフリーに。アウトドア雑誌、週刊誌、婦人雑誌、ライフスタイル誌などの記者・インタビュアー・ライター、単行本の編集サポートなどにたずさわる。近年ではレストラン取材やエンターテイメントの情報発信の記事なども担当し、ジャンルを問わないマルチなライターを実践する。
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