正統のフォーマルスタイルをくずすポイントはシャツとタイの組み合わせ、つまりVゾーンにある。Vゾーンに変化を加えると、厳格なルールで縛られている正統との違いが明確になり、現代的なお洒落フォーマルを実践する近道を行くことができる。

たとえば、クレリックシャツにドット柄のボウタイを合わせてみると、ルールどおりの無地同士とは異なり、洒脱な個性が生まれ、一気にフォーマルスタイルとしてお洒落感が盛り上がる。またタートルネックニットにスカーフを添えるところまでアレンジしても、フォーマルらしいドレス感を醸し出すことができる。伊達男にとってVゾーンは、お洒落を楽しむための余白である。それはフォーマルでもまったく変わりがない。

■【with Cleric Shirt】友人の結婚式の二次会には、クレリックシャツでアレンジ

無地のタキシードに対し、身頃がストライプのクレリックシャツを合わせると、Vゾーンに変化が生まれ、現代的かつ洒脱感が出る。襟が白無地のため、清潔感を損なわないこともクレリックシャツのメリットである。

スーツ(伊勢丹新宿店〈タキザワ シゲル〉) カーディガン(ビームス ハウス 丸の内〈ジョン スメドレー〉) シャツ(トゥモローランド〈エリコ フォルミコラ〉) ボウタイ(ヴァルカナイズ・ロンドン〈ターンブル&アッサー〉) チーフ(ストラスブルゴ〈ラルディーニ〉)
スーツ(伊勢丹新宿店〈タキザワ シゲル〉) カーディガン(ビームス ハウス 丸の内〈ジョン スメドレー〉) シャツ(トゥモローランド〈エリコ フォルミコラ〉) ボウタイ(ヴァルカナイズ・ロンドン〈ターンブル&アッサー〉) チーフ(ストラスブルゴ〈ラルディーニ〉)

たとえば、友人の結婚式の二次会なら堅苦しくないフォーマルスタイルがふさわしい。ベージュのタキシードをベースに、カーディガン、クレリックシャツ、ボウタイで黒を基調にしてVゾーンを構成すれば、派手すぎない絶妙な華やかさを演出できる。ポイントはシャツのストライプ。白無地では地味すぎることを覚えておこう。

■【with Knit】仲間内のパーティに、タートルニットでアレンジ

フォーマルスタイルにセットするタートルネックニットは、黒のハイゲージであることが条件。ニットは脱力感を生むが、リラックスしすぎた印象はNGだ。比較的、どんなジャケットにも合うので取り入れやすい。

ジャケット・ニット・パンツ・スカーフ(フェラガモ・ジャパン〈サルヴァトーレ フェラガモ〉)
ジャケット・ニット・パンツ・スカーフ(フェラガモ・ジャパン〈サルヴァトーレ フェラガモ〉)

正統タキシードではない、アレンジを効かせたタイプはファンシータキシードと呼ばれる。このワインレッドのベルベットでつくられたジャケットがそれであり、大人の遊び心が感じられる。インナーはシャツが基本だが、あえて黒のタートルネックニットを合わせると、個性の強いジャケットを落ち着かせ、シックでありながら脱力感も醸し出すことができる。さらに、透けるほど薄い生地で艶つややかな色のスカーフを加えれば、エレガンスも備わる。友人とのパーティには、こんなフォーマルスタイルで臨みたい。

■ドレスダウンしながらスカーフ使いで品を保つ

スカーフで着飾った伊達男流のVゾーンが、フォーマルに艶やかな新風を吹き込む

ジャケット・シャツ・パンツ・スカーフ・チーフ(ルイ・ヴィトン クライアントサービス) ハット(ブルックス ブラザーズ ジャパン)
ジャケット・シャツ・パンツ・スカーフ・チーフ(ルイ・ヴィトン クライアントサービス) ハット(ブルックス ブラザーズ ジャパン)

下襟がベルベットのジャケットを主役とし、通例ならボウタイを合わせるところを、黒のシルクスカーフでアレンジ。スカーフの艶やかさとドレープがエレガントな表情を生み出し、まさに伊達男の本領発揮といえる出で立ちに。夜間のカジュアルなパーティには、少し着くずしたアプローチのほうが、場のドレスコードとも合致する。大人の男の余裕をそこで見せつけたい。

この記事の執筆者
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MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN'S Precious2012年冬号「必読!フォーマルの強化書」より / 2017.7.11 更新
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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クレジット :
撮影/熊澤 透(人物)、小池紀行(パイルドライバー/静物) スタイリスト/梶谷早織 ヘア&メーク/MASAYUKI(the VOICE)モデル/Cuba 構成/鷲尾顕司(ViVid)