フランス式のVゾーンコーデというと、どんな印象を持つだろうか。フランスの地方を描いた映画などで出てくる一般市民のコーデは、ブルーのシャツに赤いネクタイだったりグリーンのネクタイにストライプのカラーシャツだったりして、もしかして狙ってる? と思わず疑ってしまうような「独創的」なコーデが多い。
しかしながらその独創に、洗練されたモードのエッセンスが降りかかれば、たちまちのうちに圧倒的なエレガントさを醸し出すのだから、フランスは奥が深いのだ。
うまく咀嚼(そしゃく)したスタイルが、フランスのメンズファッション。どこかにフェミニンな香りが漂うのは、モード大国の出自ゆえ。そんなフランス流のVゾーンは、多彩な色で華やかに表現するか、あるいは、モノトーン使いで、知的でモードな雰囲気の着こなしを楽しむのがポイント。緻密な織りのタイや、多色使いによるシャツを多く展開するのがフランスの持ち味だが、そんなアイテムの特性を生かして、エレガントに、そしてモードなスタイルも楽しみたい。
フランス式vゾーンのつくり方
ジャカードタイとカラーシャツを選ぶ
男が一層シックに見える、華やかで甘いVゾーンがフランス流だ。
選ぶべきタイは、鮮やかな光沢感を放つ、緻密に織られたジャカード。ソリッドや小紋、幾何学パターンまで、幅広い柄を柔軟に合わせるのがフランスのスタイルだが、ポイントは、綺麗な織り柄にこだわること。
一方、シャツ選びは、織り柄をさりげなく施している生地を使ったタイプが、ジャカードタイとの相性がいい。しかも、ベースに淡い色を施したシャツが、よりフランスらしい甘さを加えてくれる。
ストライプシャツも必須。単色のストライプではなく、多色使いの織りストライプ、通称ドビーストライプと呼ばれるシャツが、華やかなスタイルを具現化する。
華やかな織り柄のタイと甘い色のシャツを調和させたVゾーンで、フランス流を楽しみたい。
French V-Zone
モノトーンと色彩のハーモニーでイギリスの正統とイタリアの色気を
グレーフランネルを使ったワイドラペルの今季注目のスーツ。シャープなシルエットでモダンな雰囲気をかもし出したスーツに、上質な白いシャツと黒のソリッドタイを合わせ、知的な大人の男を演出。ツヤのあるシルクチーフが着こなしをよりクールに仕上げてくれる。
ジャケット別Vゾーンテク
ネイビージャケットの場合、同系色の組み合わせながら、圧倒的な色気を放つ
ロイヤルオックスフォードのシャツに、ドット柄を基本にしたジャカード織りのタイを合わせる。同系色ながらも、インパクトのある胸元を鮮やかに演出。
品格ある着こなしにも効果的!鮮やかな赤いタイの威力
淡いブルーのストライプシャツに、赤いペイズリータイで、胸元に強烈な色と柄を投入。これこそ、フランス流の醍醐味。
グレージャケットの場合
上質素材を巧みに合わせた王道の大人のスタイル
ポプリンの白シャツに、鮮やかな小紋を織り込んだブルーを基調とした上品なタイ。グレージャケット、白シャツ、小紋タイで、寡黙な大人の品格がにじみ出る。
しなやかなタイを主役とする一流紳士の遊び心
ストライプのシャツに、幾何学模様を配した芯地のないしなやかなタイを合わせ、洒落心を演出。グレージャケットを引き立たせる上級技だ。
ツイードジャケットの場合
ツイードスタイルを格上げする極上アイテムのコーディネート
ジュアルなツイードジャケットを品よく着こなすには、上質素材のシャツとタイの組み合わせが重要。しなやかなシルクのタイと極薄のシャツで、エレガントに仕上げる。
素材感を合わせて上品な大人のカジュアルを実現
起毛したツイードジャケットには、素材感を合わせたタイがなじむ。ニットを着用し、味わい深いコーディネートを。
いかがだろうか? フランスらしい着こなし例を堪能いただけただろうか。ここで紹介したコーデを参考に、知的雰囲気漂うフランス流Vゾーンを実践していただきたい。
※価格はすべて税抜です。※価格は2012年冬号掲載時の情報です。
- TEXT :
- 矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
- BY :
- MEN'S Precious2012年冬号「お洒落3大国、英仏伊シャツ×ネクタイのお洒落対決」より
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- クレジット :
- 撮影/川口賢典(アナーキック エージェンシー/人物)、小池紀行(パイルドライバー/静物) スタイリスト/梶谷早織 ヘア&メーク/MASAYUKI( the VOICE) モデル/Cuba 構成・文/矢部克已