ミラノ・デザインウィークが、2019年4月8日から14日にかけて開催された。ミラノ家具見本市に加え、ミラノ市内で1300を超えるイベントが開催されるという大規模な内容だった。
確かな存在感を示した日本企業
楽しいのは、ミラノ市ぜんたいがお祭り気分になることだ。デザインは、大がかりなインスタレーションから個人規模の絵画展示まで多様で、ガイドブックとカメラを手にした観光客で、街は朝から夜中まで大賑わいだった。
日本企業も(例年のごとく)大きながんばりを見せてくれた。代表的なものでは、レクサス、AGC(旭硝子)、SONY、DNP(大日本印刷)、グランドセイコー、ヤマハ、カリモク、ホンダ……。すらすらと名前があげられる。
ファッション性の高いものはブレラ地区、展示規模の大きいものはトルトーナ地区、ドラマチックな効果を狙ったものはミラノ中央駅のチェントラーレ地区など(ちょっと強引な区分けです)。分散しているので、多く見て回るためにはウェブでの最新情報をチェックしながら地図とにらめっこして決める必要がある。それもまた楽しいのだが。
建築はデザインの最高峰と言われることもあり、各国の建築家もインスタレーション(その場かぎりの展示)に力を貸していた。アルマーニの文化施設シーロスは安藤忠雄氏の仕事として模型などを展示していたし、ルイ ヴィトンはかつての貴族の邸宅の大きな中庭に坂茂氏の作品を設置していた。
世界を駆け巡るデザイン
トルトーナ地区では英のアレックス・チネックが、フィリップモリス・インターナショナルのために、建物のファサードに巨大なジッパーを取り付けた「IQOS World revealed by Alex Chinneck」が話題を呼んでいたのである。
マテオ・トゥン&パートナーズは3Mデザインと組んで、ラッピングフィルムで知られる3Mの反射素材をトップに張った「A Pinnacle of Reflection」をトルトーナ地区に置いた。てっぺんが空に溶け込むようで幻想的なタワー型の作品だ。
レクサスではOMAニューヨークの重松象平氏が「レクサス・デザインアワード」のメンター(ファイナリストに助言を与えながら作品を仕上げる手伝いをする役)を務めていたし、LGはフォスター+パートナーズの協力をあおいだというロールアップ(巻き取り)式の4K有機ELテレビで話題を呼んでいた。
こんなふうにたとえば建築家という切り口でインスタレーションを観てまわるのもいい。家具でもいいし、大がかりなインスタレーションにしぼってもいい。デザインという概念の大きさゆえ、楽しみかたはさまざまなのだ。
ミラノ・デザインウィークに続き「クリエイティブエクスポ・タイワン」(台湾・台北)、「NYC×デザイン」(米ニューヨーク)、「デザインマイアミ・バーゼル」(スイス・バーゼル)、「メゾン・エ・オブジェ」(仏パリ)、「ロンドン・デザインフェスティバル」(英ロンドン)、「オルガテック」(独ケルン)など、さまざまなデザインの催しが2019年は控えている。
- TEXT :
- 小川フミオ ライフスタイルジャーナリスト