あちこちに残る昭和のムードに泣けてくる
世田谷区玉川。駅前には玉川タカシマヤや二子玉川ライズといった大型商業施設があり、ファミリー向けの街のイメージが強い。一方で気軽に立ち寄れる飲み屋も、そこかしこにある二子玉川で、40年以上の歴史を持つスナックがある。今夜はその店の常連である藤田さんにアテンドいただき、遊びに行こう。
彼女は子どもの頃からご両親にスナックへ連れられていた影響で、20代半ばから一人でスナックホッピングをしている筋金入り。今回は彼女が考える“良いスナックの見極め方”とともに店を紹介していこう。
藤田さんが7年ほど通っているのが、二子玉川駅西口から徒歩2分のところにある『メルヘン』。昭和のムードが色濃く残る看板を見つけたら地下にある店へ。
藤田さんに『メルヘン』に通うようになったきっかけを聞いた。
「一人で夕食を食べたあと、スナックに行きたいな、と探していたら見つけたんです」
この気負わなさ。この嗅覚の良さ。彼女の日常にはスナックが溶け込んでいる。
店内はカウンター8席、4つのボックス席がある空間だが、昭和の名残があちこちに感じられ、長く客から愛されていることがわかる。
友子ママや女性スタッフが彼女に「いらっしゃい! 元気?」と親しく挨拶してくる。焼酎をボトルキープして、乾杯!
手作り惣菜のお通しが出てくるのは良い店の証拠
同時にお通しも出てくる。この日は鶏団子と白菜を煮た惣菜で、友子ママの手作りだ。
乾き物でなく、惣菜のお通しを出すのもが良いスナックのポイントだと藤田さんは言う。
「スナックって食事をしてから行くから、乾き物しかないところも多いです。でも手作りの惣菜を出すお店は、細部にまで目が行き届いていている。だから居心地が良いですね」
その後出てきた料理は、友子ママが「簡単だけど、おいしいの」と言うカキとセロリの炒め。もちろん、これも手作りだ。
仕切れるママがいると居心地の良い店になる
友子ママに店を開いた理由を聞いた。ラーメンとおでんの屋台くらいしかなかった二子玉川で、ママ自身が飲める店がほしいと思ったのがオープンのきっかけ。それが40年ほど前だったという。
当時には珍しい8トラのカラオケを導入していたため、毎日朝の5時まで客が切れなかったそうだ。先行者利益か、ママの朗らかな人柄のおかげか、今では二子玉川で一番の老舗スナックとなった。
「近くの飲食店で『2軒目、スナック行きたい』というお客さんがいたら、うちを案内してくれることも多くて。みなさんに支えられて、長く続けられています」
そう言うママに藤田さんはこう言う。
「友子ママっておもしろいだけじゃなくて、だめなものはだめってはっきり言ってくれる。ママがちゃんと仕切れていると、自然と良いお客さんが集まってくる気がします」
後編ではカラオケタイムに突入だ。
【メルヘン】
問い合わせ先
- メルヘン TEL:03-3707-0268
- 住所:東京都世田谷区玉川3-9-1 第3明友ビルB1F
営業時間:火〜木、日曜19:00〜27:00、金・土曜〜29:00
定休日:月曜日
メニュー:生ビール¥800、レモンサワー、ウーロンハイ、ハイボール、ソフトドリンク各¥900、焼酎ボトルキープ¥4,000〜、ウイスキーボトルキープ¥4,000〜、ボトルワイン¥4,000〜、セット料金¥2,000(お通し、氷、ミネラルウォーター、お茶、炭酸水含む)、カラオケ1曲¥200、女の子ドリンク1杯¥1,000、料理一律¥1,000、チャージ2時間¥2,000
- TEXT :
- 津島千佳 ライター・エディター
- PHOTO :
- 小倉雄一郎