気持ち良く歌えるステージで懐メロを

『メルヘン』にはちょっとしたステージがある。ここで歌うと、リサイタル気分だ。

照明のコントラストが妖しい雰囲気を漂わせる

背面は鏡張り、天井には季節によって変わる花が飾られている。ムーディな照明に照らされ、ここで歌うと気持ち良いだろう。

何を歌うのか、藤田さんに尋ねると八神純子の『パープルタウン』か、研ナオコの『夏をあきらめて』と即答。さすがスナック好き。選曲がツボを押さえている。『パープルタウン』を転送して、ステージに上がる。

カラオケは1曲¥200のシステム。「以前『もっと歌って』と他のお客さんがお金を出してくれたことも(笑)」

歌手を目指していたというお父上に、幼少の頃から鍛えられていたのだろう、うまい。曲と藤田さんの声質がよく合っている。

友子ママだけでなく、居合わせた紳士も一緒に盛り上がり、店に一体感が生まれた。

『メルヘン』に女性一人客が多い理由

友子ママは南三陸の出身。東日本大震災で地元の大切なものが津波に流されたという。それだけではない。震災の1週間前に17年も一緒にいた愛犬が、震災の3日後には当時のパートナーを亡くしている。そんな辛い経験をしながらも、趣味であるソシアルダンスをしながら海外を巡る目標を持っている。

レトロなデザインのコースターは、友子ママの手によるもの

そういうママの前向きさに引き寄せられ、サラリーマンだけでなく、藤田さん世代の女性一人客も足繁く通っているのかもしれない。藤田さんもこう続ける。

「スナックにいる間は、完全にプライベート。一人や仲の良い友人だけと楽しみたい私にとって、同じ業界の人がよく飲んでいる都心から少し離れた二子玉川にある。これが『メルヘン』に通う理由として大きかったんですね」

壁には雲をイメージした細工が。これもママの兄弟が手がけたもの

「でも立地だけじゃなくて、通ってみるとお客さんが本当に良い人ばっかりで。それはママがちゃんとしているから、お客さんにもそれが伝わっているんでしょうね。だから一人で来ても、初対面のお客さんとすぐ仲良くなれます」

「女性一人客が訪れやすい店は、良いスナック!」と藤田さん

さらに続ける。

「今では友人にも紹介しているし、その友人がボトルキープしていたり。一見さんにやさしいから、友人も安心して連れて来られる。これも私にとっての良いスナックの条件ですね」

友子ママは現在婚活中。パートナーを募集中だとか

昨年、友子ママは店を閉めようと思ったことがあるという。でも多くの常連客に希望で、できる限り店を続けることを決めた。この店が多くの客に愛されていることを象徴するエピソードだ。

この店がなぜ愛されているのか。貴方なりの理由を見つけに、足を運んでみてはどうだろうか。

【メルヘン】

問い合わせ先

  • メルヘン TEL:03-3707-0268
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  • 住所:東京都世田谷区玉川3-9-1 第3明友ビルB1F
  • 営業時間:火〜木、日曜19:00〜27:00、金・土曜〜29:00
  • 定休日:月曜日
  • メニュー:生ビール¥800、レモンサワー、ウーロンハイ、ハイボール、ソフトドリンク各¥900、焼酎ボトルキープ¥4,000〜、ウイスキーボトルキープ¥4,000〜、ボトルワイン¥4,000〜、セット料金¥2,000(お通し、氷、ミネラルウォーター、お茶、炭酸水含む)、カラオケ1曲¥200、女の子ドリンク1杯¥1,000、料理各¥1,000、チャージ2時間¥2,000
この記事の執筆者
フリーランスのライター・エディターとして10年以上に渡って女性誌を中心に活躍。MEN'S Preciousでは女性ならではの視点で現代紳士に必要なライフスタイルや、アイテムを提案する。
PHOTO :
小倉雄一郎